どうしてこうなった。不思議で個性的な面々が連なる、キリストのお顔 9点集め | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

どうしてこうなった。不思議で個性的な面々が連なる、キリストのお顔 9点集め

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 キリスト教の始祖イエス・キリストは西暦の始まりから今まで、多くの画家に描かれてきました。西洋絵画の多くはキリストを肩までの茶色い長髪と髭、痩せていて思慮深い表情に描き、その容姿は共通しています。長い歴史の間で形式化され、その枠をほとんどの画家は守っていました。
 しかし、中には「・・・ん?」と思ってしまう作品が存在します。中世の作品はリアリティより抽象を重視し、内面さえ伝えれば良く、リアルに描く必要はない、という考えなのですが、それを加味しても「なんでそうなった?」と思わずにはいられないものがあります。描いている本人は至って本気で、キリストに敬意を払ってはいても、何かが違う。「いや、なんでこうなった?」という作品をご覧ください。

「ディルク・ボウツ作 15世紀」
こちらは若干目が充血しているけれど、まともなお顔のキリスト。
茨の冠が痛そうで、涙を流しています。 


「フラ・アンジェリコ作 15世紀」
充血しすぎで恐ろしい容姿のキリスト。唇の赤さも際立っています。
あと、髪の巻き方がわらびみたいで可愛らしい。

「ロシアのイコン」
顔は素敵だけれど、髪がおさげのように見えて可愛らしい。
いや、そのおさげだけの為に掲載しました。

「アントネロ・ダ・メッシーナ作 15世紀」
すっごい不満そうなキリスト。うーわ、かったりーやりたくねー。
といった感じに見えるのは私だけでしょうか・・・。

「アントネロ・ダ・メッシーナ作 15世紀」
アントネロさんどうしてこうなった。
このキリスト、あまり徳が高そうに見えないのですが・・・。

「作者不明」
頑張ったけれど、顔が、顔が。なぜこんなにまん丸。
手に持った球のようにまん丸です。

「マイスター・フランケ作 15世紀」
キリストの溶けたような表情が怖い・・・!
それ以上に、背後にいる天使の目線が怖い・・・!

「14世紀後半‐13世紀前半の三連祭壇画」
顔がある種の浮遊生物になっているような気がします。
そらされた目が死んだ魚のようになっています。

「2012年 スペインに住む80代のおばあちゃん」
オチはこれ。以前ニュースになった修復されたキリスト壁画。
「なんでこうなった」というキリストは、これに勝るものはないでしょう。

修復される前がこちら。天を仰ぐ見事なキリストの御姿。

それがこうなった。猿の惑星みたいになってる・・・。
「世界最悪の絵画修復」と言われてしまっています。

  彼ら描いたキリスト像は個性的としか言いようがありません。変と言ってしまえばそれまでですが、キリストへの愛は伝わって来るので、広い心で受け止めたいです。美術は自分の癖が出るものだから、しょうがないと思うんです。それにしても80代のおばあちゃんの修復は目に余るものがあります・・・。修復事件についてもっと知りたい方はこちら
以上、キリストの御顔拝見でした。

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは、初めまして。
    ご訪問ありがとうございます^^
    確かに、両頬の暗い部分は影ではなくて髭のような気もしてきました…。
    ふわっふわの真ん丸髭を剃ると面長に変化する。
    キリストの容姿の伝統を考えると、あり得そうですね!

  2. 美術を愛する人 より:

    初めまして。検索で飛んできてお邪魔しました、面白いなぁと読み進めています
    ところで今更ですが、このまん丸顔の彼はよく見ると輪郭がマリモ状というかふわっふわの頬髯が生えてる面長な人物じゃないかなと……

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