
「最後の審判」という言葉はゲームや本で聞いたことがあるのではないでしょうか。
最後の審判はキリスト教を筆頭に、ある種の宗教が持つ終末論的観念で、世界の終焉が訪れて破滅した後に神が降臨し、全人類の罪を神が審判し、天国か地獄行きか決めるという信仰です。すべての死者が墓から蘇り、天使ミカエルの天秤によって罪を図られるのです。天国行きの者は楽園で永遠の生と喜びを約束され、地獄行きの者は永遠の苦痛を与えられます。生前に罪を犯しているか否かで判定されるので、中世の人びとはどうにかして天国へ行きたいと、様々な努力を行いました。
画家たちも最後の審判に多大な興味を示し、多くの画家が作品を残しています。大体の作品が中央に神、左に天国、右に地獄の構図になっています。
では、神の審判である作品、14点を見ていきましょう。


ボッシュ、ボッスなどとも訳され、本名はヒエロニムス・ファン・アーケン。ネーデルラント(現オランダ)出身で、初期北方ルネサンスを代表する一人です。
ボスの作品はとにかく幻想的というか、不思議を越えて奇天烈というか・・・。はい、怪物に溢れているんです。当時の美術界にはない革命を起こしたので、シュールレアリスムの先駆者とも言われています。現在本物とみなされているのは20数点となります。(以前まで30数点とされていましたが、本物だと思われていた作品が追随者、もしくは工房の作品と判明したため) もっと作品を描いていたと思われますが、宗教改革の影響で焼き討ちにあってしまったそう。勿体ない!
管理人は画家の中でボスが一番好きです。当時の混合技法を学び、大学の卒業制作ではボス調の祭壇画を描き、今でも怪物を描いているくらいです。ともあれ、作品を見ていただくのが一番なのでどうぞ。ヒエロニムス・ボスの絵画20点をご覧ください!


ヴァニタスはラテン語で「空虚」という意味であり、人生の虚しさ、虚栄の無意味さを静物画で表した寓意作品のことを指します。16~17世紀の北ヨーロッパ(フランドルやネーデルラント)で盛んに描かれ、多大な影響を周囲に与えました。描かれる静物は頭蓋骨、腐りかけの果物、枯れかけの花、時計、楽器などすべて死や空虚の象徴とされるものばかりです。
日本にも諸行無常という言葉があり、それに似ています。人生はいつかは終わるもの。永遠に変わらないものなどない。というニュアンスです。ただ、ヴァニタスの方はキリスト教の観念があるので、「罪」といったものと結び付けられ、世の中の財産や物欲は罪づくりなだけで、死んでからは徳にならない。地獄に落ちるだけ。虚しい足掻きはやめて神に祈るがいい。という考えの方が近いと思います。
虚しさの盛り合わせ作品を見ていきましょう。


死の舞踏は14~15世紀の中世末期の西洋で広まった寓話、もしくは美術的様式です。
有名な呼び名ですと「ダンス・マカブル(フランス語)」があります。諸説ありますが、14世紀のフランス詩に「死の恐怖に人々が半狂乱になって踊り狂う」という一説があるというところから来ているようです。中世ヨーロッパは衛生状態も悪く、ペストが蔓延していました。また、戦争も頻繁に行っていた時代であったことから、死は常に隣り合わせの存在でした。貧富も地位も関係なくバタバタと人が死んでいくので、人々は死と延々と踊らされている気分だったのでしょう。
死の舞踏はだいたい死を象徴する骸骨と被害者が描かれ、無理やり踊らされているように描かれます。骸骨は時に楽器を持ち、楽しそうにしています。
死の勝利は広義では死の舞踏に含まれますが、死の勝利は死が鎌を振りかざし、人々を襲っている図になります。死の凱旋とも呼ばれ、有名な作品はピーテル・ブリューゲルが描いたもので、死神が稲を刈るかのように人々の命を奪っています。戦争と死をマッチングした恐ろしいテーマです。
死の舞踏と死の勝利の絵画、9点をご覧ください。

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