色彩の魔術師ディルク・ボウツの絵画9点。遠近感を初期に用いたフランドルの画家 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

色彩の魔術師ディルク・ボウツの絵画9点。遠近感を初期に用いたフランドルの画家

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 ディルク・ボウツは15世紀前半に生まれた初期フランドル派の画家です。ヤン・ファン・エイク、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの影響を受けており、北方で消失点のある遠近感を用いた初期の画家でもあります。また、鮮やかな色彩を用いており、書籍では「色彩の魔術師」と紹介されていました。
 洗練された作品9点をご覧ください。

 

「聖餐の秘跡の祭壇画 1464年」
両側のパネルは旧約聖書の場面が描かれています。
なんと、この両側パネル入れ替えができるらしいです。画期的!

「聖餐の秘跡の祭壇画 部分 「最後の晩餐」1464年」
消失点を用いて描かれた作品。
こちら、「最後の晩餐」をフランドルで初めて描いたパネルのようです。

「聖ヒッポリュトスの殉教 1470年頃」
キリスト教と対立しているローマ教皇を批判し、
八つ裂きの刑にあっている聖ヒッポリュトス。

「オットー皇帝の裁判  正義の勝利 1470年頃」
オットー皇帝の妃が伯爵に言い寄り、ふられてしまう。妃が皇帝に
伯爵に誘惑されたと言うと、皇帝は怒って伯爵を斬首してしまいます。
伯爵の妻が夫の無罪証明の為に熱い鉄塊を握ると、火傷一つ負いません。
皇帝はそれを見て、騙した妃を火刑に処したと言われています。

「聖エラスムスの殉教 三連祭壇画 1458年」
3世紀頃の聖人であり、生きながら腸を巻き取られて殉教したらしいです。

「中央パネル」
まきまきされている所。お腹から出ているのは細長い腸。
見ているとお腹がもぞもぞしてきます・・・。

「両翼パネル」
聖エラスムスのパネルですが、アトリビュートを見ると左の人が
聖ヒエロニムスに思えます・・・。右の人は・・・分かりません。

「ユダの接吻 1485年」
挨拶の接吻を合図にして、司祭たちにキリストを売った場面。
手前では聖ペテロが短剣で敵を退治しようとしています。

「荊冠のキリスト 15世紀」
こういったキリストの図像は「荊冠の救世主」と呼ばれ、ボウツによって
始まったそう。初めてだらけですね。この作品は原作の模写のようです。

 ディルク・ボウツはマイナーな画家ですが、遠近感の消失点の使用、最後の晩餐のパネル絵画、荊冠の救世主の普及など、初だらけの偉大な巨匠なのです。また、息子二人も父の後を継いで画家となり、「ボウツ風」を発展させたと言われています。

 

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