【絵画11点】儚き世、死を想え。―メメント・モリは中世ルネサンスの宗教的スローガン | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

【絵画11点】儚き世、死を想え。―メメント・モリは中世ルネサンスの宗教的スローガン

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 メメント・モリはラテン語で「死ぬことを忘れるな」という意味の、宗教的スローガンです。人間はいつか必ず終わりが来る。地位や財産を持っていても、無一文でも平等に死は訪れます。明日歩いていたら、突然悪魔に魂を抜かれるかもしれない。死神が鎌を持って立っているかもしれない。生きている限り、私たちは死から離れられないのです。
 昔からこの恐ろしいテーマは西洋の画家に好まれ、たくさんの作品が生まれました。死の象徴として骸骨は欠かせません。頭蓋骨そのものを描いたり、骸骨を持った肖像画が描かれたりと、画家は不気味で虚ろな存在を描き続けました。その一部をご紹介したいと思います。

 

「16世紀 ヤン・サンレーダム作」
装飾は素敵だが、頭蓋骨はこちらをしかと見ている。

「15世紀 ハンス・メムリンク作」
眼窩や歯の抜け落ちた感が不気味・・・。

「ドイツ出身の画家作  16世紀」
蛇とヒキガエルは不吉な魔のものの象徴。死は迫っている。

「17世紀 アレクサンダー・マール作」
自らの死に驚いているのか、死が哄笑しているのか・・・。

「イギリスの挿絵  1823年」
老若男女が死の懐の中におり、死は世界の王である。

「ポンペイのモザイク画 紀元前30-14年頃」
猿のようなお顔をしたドクロ。にんまりと満面の笑みを浮かべています。

「17世紀 フランス・ハルス作」
この肖像を画家に描かせた彼は心意気高しです。

「アーノルド・ベックリン作  1872年」
死の島で有名なベックリンは、自画像で死を描いてしまっています。

「17世紀 フランス・ハルス作」
お兄さん、白目で「どや!」は怖いです。

「ホアン・デ・ヴァルデス・リール作  17世紀」
俗と聖の振り子は絶えず揺れている。死の間際にどちらに傾くのか・・・。

「17世紀 バルデス・レアル作」
「どうだ、司祭だって俺の鎌で一撃だぜ?」

 懐を広くして考えると、鑑賞して死を想起させる作品はメメント・モリであるように私は思います。こういった絵画を観ていると、つくづく実りのある人生を送りたいと思うのですが、なかなか思うようにいかないのが人間の性というものですね。怠惰の悪魔の下僕とならないよう生きていきたいです。

→ 死の舞踏、死の勝利について知りたい方はこちら
→ ヴァニタスについて知りたい方はこちら

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは。
    未来はこれからも続くと思いたいですが、保障はないんですよね…。
    寿命は誰にも分からない。
    死は不明で恐ろしい存在ですが、死を意識するからこそ生を意識し、実りのある人生にしていきたいと考えます。
    終わりが訪れ人生を振り返った時、「これでよかった」と思えるような人生にしていけたらな、と思います。

  2. 美術を愛する人 より:

    メメント・モリ…死を忘れるなですね。先の長い小さい子が「死にたくない、死んだらどうなるんだ」と泣いた話を聞いたとき、より残りの少ない私は「そんなことはない」なんて一蹴したのを思い出しました。死があるということを心の片隅に置いておかないといけませんね。

  3. 管理人:扉園 より:

     >> 地獄の咎人エス・ノト様へ
    さすが死神をテーマにした作品だけありますね!
    深いお言葉です。鎌を持った死神が具現化して来たら、絶望しか沸きません^^;←ぇ
    自らの寿命を知ってしまったら、その者の人生は一体どうなるのだろう…。

  4. 地獄の咎人エス・ノト より:

    久保帯人「人が希望を持ち得るのは、死が目に見えぬものだからだ」

  5. 管理人:扉園 より:

     >> 今日のお礼はここで様へ
    こんばんは^^
    早速読んでいただきありがとうございます!
    オーパーツは様々な説が考えられていますが、「タイムトラベル説」は調べてみてもほとんど言及がなかったので「それがあってもいいじゃない!」と思って書いてしまいました。
    私はゲームや漫画の世界から入っていって、超常現象や不可思議な事象について興味を持ち始めました。
    今では家の本棚が、神話や美術、超常現象やオカルトなどの書籍で溢れています^^;
    今日のお礼はここで様のお陰で、また小説を書いてみようかなという気が起きてきました。
    書き上げるのに凄く時間がかかるタイプなので、ぼちぼち進めようと思います。
    こちらこそ幾ら感謝しても足りません^^

  6. 今日のお礼はここで より:

    扉園さん、おはようございます。
    早速の作品のご紹介あいがとうございました。
    一気読みでした。
    ドラえもんを読んことがあって・・
    ドラえもんの世界では時空間は自由自在。
    そのせいか『オーパーツ』は不思議な世界だけれど
    全く違和感なく読めました。
    扉園さんは漫画の世界にも詳しくていらっしゃるんですよね。
    でもドラえもんとは違う分野かな?
    もう一度、
    ありがとうございました!

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