andrea_previtali-memento_mori

 メメント・モリはラテン語で「死ぬことを忘れるな」という意味の、宗教的スローガンです。人間はいつか必ず終わりが来る。地位や財産を持っていても、無一文でも平等に死は訪れます。明日歩いていたら、突然悪魔に魂を抜かれるかもしれない。死神が鎌を持って立っているかもしれない。生きている限り、私たちは死から離れられないのです。
 昔からこの恐ろしいテーマは西洋の画家に好まれ、たくさんの作品が生まれました。死の象徴として骸骨は欠かせません。頭蓋骨そのものを描いたり、骸骨を持った肖像画が描かれたりと、画家は不気味で虚ろな存在を描き続けました。その一部をご紹介したいと思います。


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「16世紀 ヤン・サンレーダム作」
装飾は素敵だが、頭蓋骨はこちらをしかと見ている。
Jan_Saenredam

「15世紀 ハンス・メムリンク作」
眼窩や歯の抜け落ちた感が不気味・・・。
Memling

「ドイツ出身の画家作  16世紀」
蛇とヒキガエルは不吉な魔のものの象徴。死は迫っている。
Allegory of Vanity, German school, late 16th

「17世紀 アレクサンダー・マール作」
自らの死に驚いているのか、死が哄笑しているのか・・・。
alexander-mair-memento

「イギリスの挿絵  1823年」
老若男女が死の懐の中におり、死は世界の王である。
The British Dance of Death (1823)

「ポンペイのモザイク画 紀元前30-14年頃」
猿のようなお顔をしたドクロ。にんまりと満面の笑みを浮かべています。
Mosaic from Pompeii  30-14

「17世紀 フランス・ハルス作」
この肖像を画家に描かせた彼は心意気高しです。
Frans_Hals

「アーノルド・ベックリン作  1872年」
死の島で有名なベックリンは、自画像で死を描いてしまっています。
Arnold Böcklin 1872

「17世紀 フランス・ハルス作」
お兄さん、白目で「どや!」は怖いです。
Frans_Hals2

「ホアン・デ・ヴァルデス・リール作  17世紀」
俗と聖の振り子は絶えず揺れている。死の間際にどちらに傾くのか・・・。
Juan de Valdes Leal

「17世紀 バルデス・レアル作」
「どうだ、司祭だって俺の鎌で一撃だぜ?」
Juan_de_VALDES

 懐を広くして考えると、鑑賞して死を想起させる作品はメメント・モリであるように私は思います。こういった絵画を観ていると、つくづく実りのある人生を送りたいと思うのですが、なかなか思うようにいかないのが人間の性というものですね。怠惰の悪魔の下僕とならないよう生きていきたいです。

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