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 死の舞踏は14~15世紀の中世末期の西洋で広まった寓話、もしくは美術的様式です。
 有名な呼び名ですと「ダンス・マカブル(フランス語)」があります。諸説ありますが、14世紀のフランス詩に「死の恐怖に人々が半狂乱になって踊り狂う」という一説があるというところから来ているようです。中世ヨーロッパは衛生状態も悪く、ペストが蔓延していました。また、戦争も頻繁に行っていた時代であったことから、死は常に隣り合わせの存在でした。貧富も地位も関係なくバタバタと人が死んでいくので、人々は死と延々と踊らされている気分だったのでしょう。
 死の舞踏はだいたい死を象徴する骸骨と被害者が描かれ、無理やり踊らされているように描かれます。骸骨は時に楽器を持ち、楽しそうにしています。

 死の勝利は広義では死の舞踏に含まれますが、死の勝利は死が鎌を振りかざし、人々を襲っている図になります。死の凱旋とも呼ばれ、有名な作品はピーテル・ブリューゲルが描いたもので、死神が稲を刈るかのように人々の命を奪っています。戦争と死をマッチングした恐ろしいテーマです。
 死の舞踏と死の勝利の絵画、9点をご覧ください。


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「15世紀の木版 作者不詳」
博打も子供も王も司祭もみーんな踊ろうぜっ!
Totentanz_3Totentanz_2
Totentanz_1Heidelberger_Totentanz

「15世紀 ハイデルベルガー・Bilderkatechismus作」
ダンスに誘われて、まんざらでもなさそうですね・・・。
Heidelberg_Bilderkatechismus

「15世紀 ミハエル・ヴォルゲムート作」
曲に合わせて踊るぜ、やっほい!みんな集まれ!
danse_macabre1

「16世紀 ハンス・ホルバイン作」
ねぇ、いっしょに踊ろうよ~。ねぇ~いいでしょ~。
Holbein

「18世紀 エマニュエル・ブッセル作」
戦だ戦!死のお通りだ!どんどん、ぷーぷー!
ossuary_Dornai

「19世紀 アルフレッド・レーテル作」
死がヴァイオリンを弾いていると、絵になりますな・・・。
Alfred_Rethel

「作者不明  16世紀」
みんな手をつないで、仲よく死の舞踏!
 16th

「作者不詳  16-17世紀」
世界を掌握する死。例外なく、全ての人々は死の手を握っているのです。
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「トマス・ローランドソン作  18世紀後半-19世紀前半」
世界を征服している死がだるそうな顔をしています。
仕事が多すぎるのでしょうか・・・。
Death and time, Thomas Rowlandson

「16世紀 ピーテル・ブリューゲル作」
死が押し寄せる阿鼻叫喚・・・。
圧倒的、一方的な支配で、まさに死の勝利。
Pieter Bruegel

 死の舞踏の作品は数えきれない程あります。それくらい魅力な、それ以上に身近なテーマだったのでしょう。人間あまりもの恐怖に遭遇すると、笑えてきますから。はち切れんばかりの恐怖を背負って、踊りだす人がいてもおかしくないと思います。それらの感情は表裏一体のような気がするのは、私だけではないように感じます。

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