
アンティオキアの聖女マルガレーテは聖マルガリータとも言い、3世紀後半頃に生きた聖女です。
アンティオキア(現在のトルコ)に生まれた彼女はキリスト教の信仰心が芽生えましたが、異教徒の地方高官から「キリスト教を捨て、俺と結婚しろ」と迫られます。マルガレーテはそれを拒んだので捕らえられ、竜に喰われるという拷問にかけられてしまいました。しかし、奇跡は起きました。竜に呑み込まれた時に彼女が十字架を握って祈ると、御力で竜の体内が裂け、中から出ることができました。それ故、彼女は妊娠の守護聖人とされています。
表紙の絵はマルガレーテが竜の体内から出て来たところを描いています。画家たちは彼女と竜を結び付けて考え、竜を踏み付けた聖女を多く描きました。そんな作品10点を紹介します。
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「15世紀の絵画」
一角獣っぽい竜が可愛らしい絵。なんだかアニメに出てきそうです。

「彩色写本の挿絵の一部」
こちらは脱出感が半端ない聖女。竜の嗚咽が見てて痛そう。

「彩色写本の挿絵と思われるが不明」
佇む聖女に悶絶する竜。外の牧歌的な光景がなかなかギャップです。

「彩色写本の挿絵」
目を見開いて硬直する竜に、それを無感動に見つめる聖女。
竜の表情が可哀想&滑稽で、なかなかシュールな光景です。

「フランスの彩色写本の挿絵 15世紀」
竜の口からマントの端を出すのは、聖女がさっきまで体内に
入っていたことを示しているのでしょうか。
喉を詰まらせて「ヴッ!」と窒息しているように見えます・・・。

「作者不明 15世紀後半」
心なしか嬉しそうに見える竜。ですが、血がだらだらと出ており、
身体から突き破って出て来た感満載です。

「不明 18-19世紀?」
すでに飼い犬状態。「あら、ポチ。今日は元気ないわね。」といった
感じです。殉教者の棕櫚の葉だけではなく、剣を持っているのは剣で
殉教した証なのでしょうか。竜を刺しそうですが・・・。

「Jan Rombouts I 作 一部 1500-35」
「まぁ、どうしたのポチ。何か具合が悪いの?」
「ぎゃおーーー!!」

「Peter Candid作 16-17世紀」
マルガレーテさんでかくて吞み込められないレベル。
竜が踏んづけられて痛そうです。

「テオドール・ファン・テュルデン作 17世紀」
竜が完全におまけ状態。奥様、肩を揉みますよ~。といった
下僕化になっております。

中世の作品は絵こそ抽象的ですが内容に忠実になっているのに対し、16世紀以降の作品は竜がマルガレーテの持ち物と化しているように思えます。やはり中世の絵画の目的は見て「キリスト教の教化と教育」を図ることを重視していて、後世に行くほど絵画の「テクニック、美しさ」を重視しているのが関係していると感じました。
しかし、どうであれ竜は聖女様の乗り物か下僕となってしまってますね。竜も大変です。
→ 聖人の絵画を見たい方はこちら
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>> 美術を愛する人様へ
こんばんは。
クトゥルフ神話は実在する人物や土地、古代の神話を混ぜて物語を作っているので、現実味がありますよね。私も「ティンダロスの猟犬」はお気に入りです。
現在クトゥルフ神話に関する古い雑誌の表紙絵について、記事を書こうと思っています。いつとは明確に言えませんが、進行させておりますのでお待ちくださいませ。