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 聖アントニウス(アントニヌス、アントニーとも)は251年にエジプトに生まれ、キリスト教徒として生きた聖人です。
 20歳の頃両親と死別し、隠遁者として砂漠で瞑想と苦行に身を投じました。苦行中に悪魔が現れ、彼をどうにか堕落させようと豊満な女性の幻覚を見せたり、掴みかかって恐喝したりします。アントニウスはそれでも悪魔に屈せずにキリストを信じ、人々に信仰を伝え続けました。こうした逸話が広がりに広がって、多くの画家に描かれることになります。今回はお色気作戦を決行する作品を見ていきましょう。
フルボッコ作戦を見たい方はこちら


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「ヒエロニムス・ボス作 祭壇画中央部分 1500-05年頃」
隣に可愛い娘さんが寄りそい、お酒を勧めている様子。
他の怪物たちも友好的に接し、堕落を狙っています。
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「デイビッド・リッカート作 17世紀」
こちらは半分強硬手段に出ている作品。
右向けば美女、左向けば怪物でダブルの誘惑。
David Ryckaert - The Temptation of Saint Anthony

「Cornelis Massys作 16世紀」
うふぅ~おじいちゃん、これ食べる? いや、いらん。 いいでしょ~。
といった感じの作品。全裸美女の横には悪魔のような老婆が・・・。
Cornelis Massys - The Temptation of Saint Anthony

「ジャン・フランソワ・ミレー作 19世紀」
羽交い絞めで誘惑しまくる美女に、じいちゃんも抗いがたいようです。
もう少しで負けてしまいそうになっています。
the-temptation-of-st-anthony_Jean-Francois Millet

「Louis Gallait作 19世紀」
こちらも抗しがたい誘惑に駆られているおじいちゃん。
背後のマッチョの悪魔が次の出番を狙っています。
Louis Gallait - The Temptation of Saint Anthony

「ポール・セザンヌ作 1877年」
ナイスバディーを見るがいい!と迫る悪魔にアントニウスは全力拒否。
一生懸命耐えている感が伝わります。
 Paul Cezanne

「ロヴィス・コリント作 19世紀」
一度見たら忘れられないインパクトのある誘惑。こんな全力なハーレム
されたら、ひえぇ~~といった表情になりますね。
Lovis Corinth - The Temptation of Saint Anthony

「サルバドール・ダリ作 20世紀」
シュールレアリスム的に誘惑を描いたらこうなったようです。
性的な欲望の塊が全裸のアントニウスに襲い掛かってきています。
dali

 個人的に、聖人を描いた作品の中で「聖アントニウスの誘惑」が一番描かれているような気がします。性の誘惑に打ち勝った聖人にあやかりたい!と思う画家と、跋扈する怪物を描きたい!という画家と、裸体を描きたい!という画家。それぞれの思惑が上手に画面上に表れているように思えます。・・・聖人も大変ですね。



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