
オルフェウスはギリシャ神話の吟遊詩人です。彼の最愛の妻エウリュディケが亡くなり、冥界まで行って連れ帰ろうとしたのですが、失敗してしまいました。→ オルフェウスの冥界下りの絵画はこちら
彼は絶望し、女性を避けて暮らすようになります。トラキアの乙女たちがオルフェウスの気を引こうといくら頑張ってみても、彼は素知らぬ顔。そっけないオルフェウスに対し、ディオニュソスの祭の最中、娘たちの堪忍袋の緒が切れます。「あいつが私を侮辱した男だ!」と叫び、娘は槍を掴むとオルフェウスに投げつけます。それを皮切りに他の娘たちも加わり、彼は八つ裂きにされてしまいました。頭と竪琴は河に投げ込まれ、ゆらゆらと河をさまよい、ニンフたちに発見されました。
また、オルフェウスは自らの宗教を広めようとした為にディオニュソスの神に疎まれ、彼を信仰する乙女たちに八つ裂きにされたという説もあります。いずれにせよ彼は無惨な殺され方をして、画家たちにこぞって描かれたのでした。オルフェウスの悲劇的な様相をご覧ください。
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「Gregorio Lazzarini 作 1710年」
乙女たちがよってたかってオルフェウスをフルボッコです。

「Emile Bin 作 1874年」
既にバーバリアンと化している女性たち。女の恨みは怖いです。

「Emile Levy 作 1866年」
虫の息ぐったりです。湾曲した剣がまがまがしい。

「ルイ・ブーケ作 (Louis Bouquet) 20世紀前半」
このシュールさに思わず笑ってしまいました。ごめんなさい。
この八つ裂き感は悪夢すぎますね・・・。

「Emile Levy 作 19世紀後半」
こうして首を切られてしまったオルフェウス。

「ジャン・デルヴィル作 1898年」
頭はへブロス河を漂い・・・。

「ギュスターヴ・クルトワ作 (Gustave Courtois) 1875年」
岸に打ちあがり・・・。

「ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作 1900年」
美しいニンフたちに発見され・・・。

「ギュスターヴ・モロー作 1865年」
過去の姿を偲ばれたのです。

ギリシャ神話はゼウスの妻ヘラといい、愛の神ヴィーナスといい、恐い女性がたんまりといます。たなびいてくれなかったからって、槍を突き刺して八つ裂きにするのはホラーすぎます。オルフェウス、女運がなかったんですね・・・。このことを悲しんだ主神ゼウスは琴を天へ投げて琴座を作り、オルフェウスは冥界で妻エウリュディケと再会できたのだから、結果的には万事OK、ハッピーエンドではないでしょうか(?)
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