Pieter Bruegel the Elder (1563) - コピー

 バベルの塔は旧約聖書の「創世記」に登場する塔です。
 聖書によると、かつて人々は同じ言語を用いていました。彼等は全国から集まり「さぁ、私たちの街と塔を作ろう!天へ届くほどの高い塔を。名声がとどろくような塔を作ろう!」と言い、塔を建設し始めました。着実に建てられていく塔を見て、神は「人間は団結し、天の領域を侵そうとしている。その原因は言語が統一しているからだ」と呟き、人々の共通言語を奪ってしまいました。突然話が通じなくなった人々は混乱し、街と塔の建設をやめざるを得なくなりました。人々は散り散りになり、やがて異なる言語を話すようになります。そして、置き去りにされた街は「バビロン」と名付けられました。
 崩壊した街バビロンのモチーフはバビロニア王国の首都だと言われています。バベルの塔は王国の神殿「ジックラト」に由来しています。後期になって、バビロンの塔だから「バベルの塔」と呼ばれるようになったとされています。
 神の天罰を受けた塔を描いた作品を見ていきましょう。


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「ドイツ中世後期の彩飾写本  1370年」
初期に描かれたバベルの塔はシンプルなもの。
上からにょっきり現れた神がシュールです。
 1370s)

「15世紀の彩飾写本」
一世紀経って塔が少し複雑になりました。ですが、ちっちゃい感じ。
15th century)-'Tower of Babel

「彩飾写本の挿絵 年代不明」
現実的に建設している感じのバベルの塔。まだ始まったばかりですね。
(Miniature) Book

「グリマーニ聖務日課の一部 Gerard HORENBOUT作 1510年」
更に一世紀経ってかなり細密になったバベルの塔。
建設に携わる多くの人や道具が描かれています。
 1510

「ピーテル・ブリューゲル(父)  1563年」
彼の代表作である作品。
規模が一気に飛躍し、塔や背景の細かさが際立っています。
Pieter Bruegel the Elder (1563)

「ピーテル・ブリューゲル(父)  1568年」
五年後に描かれたバベルの塔。スケールが更に大きくなり、遠目からでは
人は視覚できません。しかし、ここには1400名が描かれているとか!
当時の建築技術を忠実に再現してあるそうです。
babel

「Marten van Valckenborch作  1580年頃」
近景と遠景を描き、奥行き感を再現しています。
しかし、ブリューゲルほどのスケール感や細密描写はありません。
Lucas van Valckenborch, Construction de la Tour de Babel (1595)

「Marten van Valckenborch作  1600年頃」
 Valckenborch第二弾。
ブリューゲルの作品を参考にして描かれたのが分かります。
Marten van Valckenborch, The Tower of Babel, circa 1600

「アベル・グリマー作  1604年」
巻貝のようにくるくるしたバベルの塔。
こちらも先人達を参考にして構成された作品に感じます。
Abel Grimmer 1604

「ジェームズ・ティソ作 1896-1902年」
塔を建設する人たちをクローズアップさせた作品。
他の作品と趣旨が違い、面白いです。
 1896-1902

 有力な説によると、バベルの塔は7階建てで90mあったとされています。東京スカイツリーは634mだから、そんなに高くないじゃん!と思われるかもしれませんが、当時の建築技術では馬鹿でかい規模だったと思われます。(一説では13kmらしいです・・・)
 しかし、ブリューゲルの描いたバベルの塔は150m~200mと推定されています。本物よりでかいんです!5年後に描いたバベルの塔は7階建て以上に思われますし、本物以上に大きく描いた彼の力量は恐るべしという他ないでしょう。後年の作品もスケールは大きいですが、ブリューゲルに勝る者はいないように思えます。



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