
グリロスは頭足人と呼ばれ、頭と足が合体したような怪物のことを指します。
厳密に言えば頭部を色々なパーツと組み合わせて作る怪物で、頭と足でなくてもグリロスと呼ばれるものもいます。グリロスはギリシア・ローマ時代の玉石彫刻から発生したと言われており、中世時代になってヨーロッパ全土へ広がっていきました。宝石の彫刻から始まり、壁や柱、彩飾写本の余白を埋める怪物として描かれ、北方ルネサンスの画家ヒエロニムス・ボスがグリロスを芸術まで高めていきます。絵画の世界へ進出したグリロスは、様々な形態となって美術界に時々姿を現すのです。
今回は中世の写本と、ボスの作品のグリロスを見ていきましょう。
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「印章(インタリオ)に描かれたグリロス」
貴族のエンブレムに怪物を使用することはよくあったようで、
足が鳥のような男のグリロスが刻まれているのが分かります。

「詩篇集に描かれたグリロス(上)と、建築物に描かれたグリロス(下)」
頭と足だけのシンプルな者から、顔が二つあったり悪魔的だったりと
一ひねり効いたグリロスまで様々です。個人的に右上が好き。

「誌篇集に描かれたグリロス」
更にレベルアップして縦に伸びたグリロス。胴体あるじゃん!と突っ
込みたくなりますが、胴体に顔がある怪物もグリロスと呼ばれます。

「彩飾写本の挿絵」
鳥魚風の騎士がグリロス爺さんに戦いを挑んでいます。
グリロスの服がパジャマっぽくて可愛いです。

「陶器につけられた挿絵」
火を噴くドラゴン風グリロス。首が180度回ってる感が面白いです。

「彩飾写本の挿絵」
日本画の妖怪のように感じますが、彩飾写本のアルファベットに
組み込まれたグリロス。これが走ってきたら流石に逃げます。

「彩飾写本の挿絵」
獣のような人面グリロス。これは映画かなんかで出てきそうな予感。
とぼけた顔と、虹色の身体がナイスです。

「彩色写本の挿絵」
長いっ!上の鳥の顔が可愛いな~と思ったら、下から
可愛くないおじさんの顔が出てくるというグリロスマジック。
足が長くてスレンダーで羨ましいなぁ。

「ヒエロニムス・ボス作 最後の審判 部分」
グリロスを絵画として初めて導入した画家。偉大です。
足の凹凸感や卵から覗く顔が、きもかわいさを出しています。

「ヒエロニムス・ボス作 聖アントニヌスの誘惑 部分」
真面目な表情から出るのはムチムチ生足。
コサックダンスをしているように見えるのは私だけでしょうか・・・。

「ヒエロニムス・ボス作 最後の審判 部分」
教皇のような面相をしたグリロス。怪物にしては賢者そうに見える。

「ヒエロニムス・ボス作 快楽の園 地獄部分」
ボス界の中では有名な怪物。豚の尼さんにインクを運んでいます。

「ヒエロニムス・ボス作 最後の審判 部分」
憂鬱な表情でこちらを見つめている。顔に足だけのシンプルなグリロス
だからこそ、一番グリロスらしいように思えます。

グリロスを詳しく知る上で教科書になる本を以下に載せました。グリロスが好きすぎて本を漁り、この本まで辿り着いたんです。この記事の参考文献にもさせていただいております。怪物が大好きという方にはぜひお勧めしたいのですが、専門書、古い、高額という三拍子が揃っておりますので、怪物と相談のうえご検討お願いします。私としてはグリロスファンが増えると嬉しいなぁ・・・と思っております。
ちなみに「異形の怪物」のラインスタンプにグリロスを描いて申請したのですが、リジェクトに合いました。理由は「不快に思われるデザイン」だから。そうかなぁ!? 泣く泣くグリロスを削除して違う怪物さんを描きました。グリロスってそんなに不快ですかね・・・。ボスのスタンプにグリロスが入らなかったのは残念で仕方がないです。
→ 異形の怪物ラインスタンプを見たい方はこちら
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>> 違いを愛する人様へ
こんばんは^^
そのお言葉本当に励みになります。
何度もしつこいかと思いますが、どれだけ感謝しても足りません。
実はグリロスをテーマとした小説も考えております。
まだ構想だけで何にも決めておりませんが…^^;
「みんな違ってみんないい」というフレーズの元があるのは知っていましたが、歌を聴くのは始めてでした!
ゆるいけれど耳に入って来る歌声に、個性的過ぎるきのこたち…。
特に緑のきのこさんの表情が何とも言えませんw
まさにこのフレーズを代弁しているようですね。
違いを愛する人様にとって、これからも良い日が続きますように^^