Titania Awakes Surrounded by Attendant Faries - 1794 -

 ヨハン・ハインリヒ・フュースリ (ヘンリー・フュースリ) はスイス出身の、18世紀後半から19世紀前半に活躍したロマン派の画家です。
 彼はミケランジェロの作品に強く影響を受けており、ダンテの神曲、神話、シェイクスピアからテーマを得て描いていました。絵画は200点以上、スケッチは約800点が残っています。強い明暗を用い、不気味な怪物や悪魔が現れる幻想画を描いております。フュースリが絵を描き始めたのは20代半ば頃。それから頭角を現したのだから、相当の努力か才能があったと思います。フュースリは劇的なポーズ、シーンを好み、オーバーじゃないか?と感じられるポーズも描いていました。
 暗闇の中からふいに現われる悪夢のような作品、10点をご覧ください。


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「ナイトメア(夢魔)  1781年」
一番有名な作品。眠っている女性を夜な夜な襲う不埒な悪魔と、
好色のシンボルである馬。この絵画は大人気となり、複製が作られ
貴族の館に飾られたそう。本当に悪夢を見そうですけど・・・。
John_Henry_Fuseli_-_The_Nightmare(1781)

「ナイトメア(夢魔)  1790-1年」
約10年後にフュースリは同じ主題を描いています。女性が半端なく反り、
悪魔がいやらしい表情になっています。馬の白目が不気味すぎます。
The Nightmare (1790-1791)

「武装頭のビジョンを受けるマクベス  1793年」
シェイクスピアの戯曲「マクベス」のシーンを描いた作品。
三人の魔女、その先の鎧頭が夢に出てきそうです。
Macbeth_consulting_the_Vision_of_the_Armed_Head 1793

「夜の老女―ラップランドの魔女  1796年」
おそらく幼児を生贄に捧げて、夜の老女という悪魔を呼び出そうと
している場面。子供に向けられる白い短剣が恐ろしい。
The Night-Hag visiting the Lapland Witches, 1796

「ティターニアとボトム   1790年」
シェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」に登場する妖精の女王ティターニア
とボトムを描いた作品。妖精パックがかけた魔法により、ティターニアが
下級労働者のボトムに恋をしてしまうという場面。
Henry_Fuseli_-_Titania_and_Bottom 1790

「目覚めると妖精に囲まれていたティターニア   1794年」
こちらも「夏の夜の夢」より、ティターニアとボトム。
女王にべたべたされて、恥ずかしそうなロバ頭のボトム氏がなんだか
可愛く見えます。
Titania Awakes Surrounded by Attendant Faries - 1794

下部の怪物がなんとなく気になります(笑)
もしかして妖精パック?
Titania Awakes Surrounded by Attendant Faries

「槍でサタンを刺そうとするIthuriel  1779年」
ミルトン「失楽園」より。
天使ガブリエルとIthurielがサタンを追跡しているシーンと思われます。
fuseli_satan_ithuriels_spear  1779

「ベルゼブブを召喚するサタン  1802年」
サタンを敵としての悪魔ではなく、崇高な人格を備えた存在として描いた
のはフュースリが始めてだそうです。のびのびとしたポーズ!
'Satanic Call to Beelzebub in Hell', 1802

「ヨルムンガンドを釣り上げるトール  1790年」
北欧神話より。ヒュミルと共に釣りに出かけた雷神トールは、世界蛇
ヨルムンガンドを釣ってバトルを繰り広げます。
Johann_Heinrich_Füssli 1790

「沈黙  1800年」
夜中に見たらぎょっとしてしまうほど、不気味に感じる絵画。
恐怖、不信、無力感を表した作品。本当に沈黙してしまいそう・・・。
Silence by Henry Fuseli (1800)

 絵画だけを見ていくと「病んでるのかな?」と心配になるような暗黒さですが、実際はユーモアを持ち合わせた聡明で社交的な人だったそうです。新古典主義が歴史のありのままの姿で描こうとしているのに対し、ロマン派であるフュースリは目に見えない、無意識の恐怖を描こうとしました。無意識からポツンと現れ出て来た何か。それが夢魔や悪魔、魔女であったり、不気味な怪物であったりするのではないでしょうか。



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