Sirin and Alkonost (1896), Viktor Vasnetsov - コピー

 今年の干支は酉年。
 年賀状では可愛いニワトリやヒヨコ、かっこいい鷹、鷲などが出回っていますが、それだけではつまらない。普段見ないような鳥のモンスターを折角なら見たい!というあなた。ちょっとここの鳥の巣を覗いてみてはいかがでしょうか。鳥に関係した、伝説上の怪物の絵画11選をご紹介したいと思います。


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「グリフォン  ギリシャのクレタ島のクノッソス遺跡にあるフレスコ画」
鷲の上半身、ライオンの下半身を持つ怪物。様々な伝承に登場し、
王家の紋章としてよく使用されました。
Knossos_fresco_in_throne_palace

「グリフォン  中世写本」
コーカサスの山中に住み、鋭い鉤爪で獲物を捕まえて食べたと
言われています。挿絵のグリフォンは逆に襲われているような・・・。
list-mythical-monsters-griffin

「ヒッポグリフ  Louis Edouard Rioult 作  1824年」
グリフォンと馬から産まれた合いの子。
上半身が鷲、下半身が馬の幻獣とされています。
Roger délivrant Angélique (1824) by Louis-Édouard Rioult

「コカトリス 挿絵 1633年」
雄鶏と蛇を合わせたような姿を持ち、人の血を吸うとされています。
バジリスクと同一視され、猛毒を持ったり視線で人を殺せるという
伝承も生まれました。
 1633

「バジリスク  Wenceslaus Hollar 作  17世紀」
古代においては蛇の姿をしていましたが、コカトリスの伝承と混合し、
鶏と蛇の怪物に変化しました。バジリスクも猛毒を持ち、視線で人を
殺せるとされています。火を噴くという記述も。
Wenceslas_Hollar_The_basilisk_and_the_weasel 17

「ハーピー(ハルピュイア)  ウリッセ・アルドロヴァンディ作  1642年」
ギリシャ神話に登場する怪物で、上半身は女、下半身は鳥とされます。
神話では意地汚く醜い怪物と描写されています。
Ulisse Aldrovandi's Monstrorum Historia, Bologna, 1642

「ハーピー  エドヴァルド・ムンク作  19世紀後半-20世紀前半」
時代が下るにつれて、ハーピーは男をそそのかす悪女の性質を得て、
男を誘惑する妖艶な怪物に変化します。
Edvard Munch, Harpy

「セイレンとアルコノスト ヴィクトル・ヴァスネツォフ作  1896年」
セイレンはギリシャ、アルコノストは東欧出身ですが、双方とも歌が得意
で、前者は海を渡る者を歌で誘惑して難破させ、後者は悪事をなした魂
を歌で一生苦しめるとされています。女の歌声は怖いです。
Sirin and Alkonost (1896), Viktor Vasnetsov

「フェニックス   FJ Bertuch作  18世紀後半‐19世紀前半」
寿命が来ても炎の中で蘇るとされ、不死鳥として名が高い伝説の鳥。
古代エジプトに起源があるとされますが、詳しくは分かっていません。
a book of legendary creatures by FJ Bertuch 1747–1822

「ロック鳥  Charles Maurice Detmold 作 19世紀後半‐20世紀前半」
アラビアの千夜一夜物語で有名な、白い巨大な怪鳥。
三頭の象を掴んでヒナに食べさせるくらい強いとされています。
Charles Maurice Detmold, 1883-1908

―おまけ―
「仮装祭にまつわる本  鳥の怪物  1590年」
カラスを想起させる鳥型の悪魔。背負っている箱の
中の悪魔と人間が喧嘩しているシュールな怪物。
Nürnberger Schembart-Buch, 17

 鳥は一見可愛く見えても、よく見ると目が据わっていて不気味にも感じる時があります。鳥 (特にハト) が苦手な人がいるのはその為でしょう。現在ブームになっているハシビロコウも愛嬌ある顔をしていますが、最初知った時は頭とくちばしと身体が全てアンバランスに見えて、「なんじゃこりゃあ!」と思ったものです。そのヘンテコさがすっかり癖になってしまいましたが(笑)
 過去の人たちもそういった鳥のイメージを膨らませ、鳥の怪物を作り上げていったのでしょう。



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