Eudrian - コピー

 宮廷道化師は中世西洋において、王や貴族などの支配者層に仕えるエンターテイナーです。
 彼等は主人を楽しませる為に、物語を語ったり、歌や音楽、ジャグリングやアクロバット、奇術など様々な芸を披露しました。また、そのパフォーマンスに風刺も織り交ぜ、当時のニュースや人物を笑いものにしました。
 地位が低く人々に小馬鹿にされる職業でしたが、相当の切れ者ではないと宮廷道化師は務まりません。時には国の状勢を見透かし、王に正しいアドバイスを与えることも必要とされていたからです。
 今回はおどけと真面目が交錯する、宮廷道化師の姿を見ていきましょう。


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「1450-60年の時祷書の挿絵」  
王に進言する道化。王の政策に対する自由な言動は宮廷道化師のみが
許されていました。たまに批判しすぎて叱責されることもあったそう。
Book of Hours 1450-1460

「ウィリアム・メリット・チェイス作  1875年」
お酒を大事そうに注ぐ宮廷道化師。この一杯が旨いんだよなぁ・・・と
いった感じです。洋服や靴のもふもふ質感の表現が見事です。
Court Jester 1875 William Merritt Chase

「Eduardo Zamacois (Y Zabala) 作  1868年」
cochonnet というゲームで遊んでいる宮廷道化師たち。
手前二人が喧嘩を始めて、小人さんはやれやれまた始まったか、
奥のおじさんは楽しそうに行方を見守るといった感じでしょうか。
Eduardo Zamacois - Jesters Playing cochonnet

「G. Eudrian 作  年代不明」
マンドリンを弾きながら、全力で歌を歌っている道化師さん。
絶妙なバランスで座っている姿が素敵です。
 Eudrian

「ユディト・レイステル作  1625年」
見ているこちらも楽しくなりそうな快活な表情。
上の道化師さんとマンドリン共演をして欲しいです。
the-jester-1625 Judith Leyster

「ディエゴ・ベラスケス作  1635年」
フェリペ四世に仕えた宮廷道化師、パブロ・デ・バリャドリードさん。
衣装こそ派手ではないですが、堂々とした身振りは道化らしさが。
DIEGO VELAZQUEZ Pablo de Valladolid, (1635)


「ディエゴ・ベラスケス作  1645年」
王に仕えた小人症の宮廷道化師、セバスティアン・デ・モーラさん。
握りしめた手と投げ出した足が、いじらしく感じします。
Velázquez_Bufón_don_Sebastián_de_Morra 1645 velazquez

「Igor Maikov 作   1966年」
背筋を丸め、寂しく縫い物をしている道化師。
服が破れてしまったのでしょうか。小さくなった背中がなんとも切ない。
Igor Maikov 1966  Latvian painter

「ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作  19世紀後半-20世紀前半」
道化師だって深く悩む時があります。国の行く末を案じているのか、
自らの境遇を悲観しているのか。物憂げな表情がイケメンです。
からの・・・。
John William Waterhouse

「ハインリヒ・フォークトヘトル(息子)作 1513 - 1568年」
笑う道化。
Schalcksnarr   fool Heinrich Vogtherr the Younger 1513 - 1568

「Jacob Cornelisz. van Oostsanen 作  1500年」
笑う道化。
 van Oostsanen 1500

「作者不明 ネーデルランド絵画  15世紀」
笑う道化。
Court_jester_stockholm Anonymous, Netherlands 15

 これで笑ってしまった方は、もう道化の術中にはまっています。
 「笑う道化」という題名の三作は作者こそ異なるものの、かなりのインパクトを持っています。ですが、案外宮廷道化師の本性を一番表している表情じゃないでしょうか。ふざけていて、器用そうで、ずる賢そう。愉快で愚か者だけど、時には狡猾な切れ者になる。そういった、場をかき乱すトリックスター的な側面を上手に表現しているように思います。そういった性格を魅力的に思うのは、私だけじゃないはず。

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