
ギリシャ神話に登場するアポロンは詩や音楽の神で、主神ゼウスの息子です。彼は理想の男性像とされ、かなりの美男子でした。
ある日、アポロンは愛の神エロスに向かい「お前なんかが弓を持つなよ」と馬鹿にしました。エロスは怒り、彼の胸には情熱の矢を、テッサリアの娘ダフネの胸には拒絶の矢を打ち込みました。アポロンはたちまち強烈なる愛情を抱きましたが、彼女は強い嫌悪を抱きました。愛の文句を叫びながら追いかけてくるアポロンに対し、彼女は全力で逃げ続けます。しかし、どこまでも追いかけてくるアポロン。彼女の体力は限界に近付き、遂に父親に「私の姿を変えてください!」と懇願します。河の神である父は願いを受け入れ、彼女を月桂樹に変えてしまうのです。
この物語はギリシャ神話の中で有名な話で、多くの画家が作品を描きました。嫌がるダフネとストーカーのアポロンをご覧ください。
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「ロバート・レフェブ作 1810年」
ねぇ、逃げないでよ。その美しい顔を振り向かせておくれ。
嫌よ。あなたの顔を見るだけで虫唾が走るわ。

「ミケーレ・ロッカ作 18世紀」
ねぇ、僕はゼウスの息子だよ?美形だし、音楽もできる。医術だって
お手のものさ!触らないで!お父様、私の姿を変えてちょうだい!

「Benedetto Luti 作 1700年頃」
おお!どうして僕から逃れようとするんだい?こんなに愛しているのに?
あなたがストーカーだからよ!私はもう樹になるんだから!

「ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作 1908年」
壁ドンをしたって無駄よ。放っておいて!
あなたに身を捧げるくらいなら、樹となった方がましなんだから!

「ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作 1743-44年」
お父様、はやく変えてください!ちょっと待ってくれ、
樹になるには時間がかかるのだ・・・。なら私、樹のふりをするわ!

「ギュスターヴ・モロー作? 19世紀」
おおお~ダフネ~!僕の愛しい人~!思いとどまっておくれ!
やめて、しがみつかないでちょうだい!

「テオドール・シャセリオー作 1846年」
嫌だ・・・離れたくない・・・。樹にならないでおくれ・・・。
私はもう樹なの。喋らないわ。

「二コラ・プッサン作 1658年」
ねぇ、僕の愛に応えておくれ。恋という僕の病気を治しておくれよ。
(ダフネは頑なに喋らない。隣で父が大号泣)

「ピエロ もしくは アントニオ・デル・ポライオーロ作 1470-80年」
シュボッ!ほーら、私はもうすぐ月桂樹。

「クリスティーヌ・ド・ピザン作の著書の挿絵 15世紀」
ねぇ、立派な樹になったでしょう?これで安心・・・。
![83r (‘Daphne ]Apollo) Christine de Pisan](https://livedoor.blogimg.jp/mement_mori_6/imgs/e/f/efab6550-s.jpg)
「クリスティーヌ・ド・ピザン作の著書の挿絵 1406-08年」
おおおぉぉ・・・ダフネよ・・・。

ふざけてしまって失礼しました。ジョークがふんだんに入っているので、絵画中の話は間に受けないでください。ダフネが月桂樹になってしまい、アポロンは非常に悲しみました。彼は「君を僕の聖樹にしよう。僕の頭に冠として乗せ、竪琴の飾りとしよう。ローマの勝利の証とし、永遠に枯れない葉を君に授けよう」と言い、月桂樹の幹を撫でました。月桂樹はその葉を少し揺らし、感謝の念を伝えたとされています。
エロスの矢でこうなったとはいえ、元正せばアポロンが悪口を言わなかったらダフネは樹にならなかったわけで。ストーカーに散々追いかけ回され、樹にならざるを得なかったダフネはとんだ災難ですね。
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>> 季節風様へ
こんばんは^^
オリュンポス十二神は普通の神々よりも位が高く、力関係があると思います。
アポロンはゼウスやヘラ、ポセイドン、ハデスに次ぐぐらいの立場の神なのです。
河の神だとしても、アポロンの邪魔をすれば逆鱗に触れて滅ぼされてしまった可能性があります。
ダフネもそれが分かっていて、父に樹に変化する事をお願いしたのかもしれませんね。
ダフネさんにとって本当に災難な事です…。
他の物語で、エロス(クピド)は母ヴィーナスやゼウスを説得して、プシュケーと結婚しており、見た目は子供や美少年だとしても侮れませんね。