The Sacrifice of Isaac by Pedro Orrente - コピー

 イサクの犠牲はイサクの燔祭(はんさい)とも呼ばれ、旧約聖書の物語の一つです。
 ある日、アブラハムは息子イサクを生贄にせよ、と神託を受けました。信仰する神のお告げは絶対ですが、イサクは年老いてもうけた一人息子であり、非常に愛していたので、アブラハムは深く苦悩しました。悩んだ末、彼はロバに鞍を付け、愛すべきイサクを連れて神の命じられた場所へ向かいました。イサクは「どうして捧げ物の動物がいないの?」と問いかけるものの、父は「神がきっと授けてくださる」と言うだけでした。
 生贄を捧げる場所へ到着し、アブラハムは息子を縛って祭壇の上へ寝かします。イサクはすでに事情を察しており、悟りきった様子で成すがままになっていました。苦悩を抱えたまま刃物を握り締める父。そして、アブラハムは息子に向かって凶器を振り上げ・・・。
 イサクの犠牲を描いた傑作の数々をご覧ください。


PR
 


「クリスチャン・ヴィルヘルム・エルンスト・ディードリッヒ作  18世紀」
祭壇の上に乗るよう、父が息子に伝えています。
画面の余白が物寂しさを生み、これからの悲劇を物語っております。
The Sacrifice of Isaac  – DIETRICH (1712-1774)

「ヤン・リーフェンス作  1659年」
「これは神が望んでいることだ。お前は犠牲の子羊にならねばならぬ」
「・・・はい、分かっております。お父様」
jan lievens 1659

「ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作  18世紀」
アブラハムは息子へ向かって、刃物を振り上げた。そして・・・。
Giovanni Battista Tiepolo 18

「レンブラント・ファン・レイン作  1635年」
「アブラハム、お止めなさい。貴方の敬虔さは伝わりました」
舞い降りてきた天使が、彼の腕をそっと掴みました。
ナイフは乾いた音を立てて地に落ちます。
Sacrifice of Isaac REMBRANDT (1635)

「Pedro Orrente 作  17世紀」
どこからともなく現われた羊を指し、天使はこれを使いなさいと言いました。
「神は貴方を試しました。清き信仰を示し、息子は助かったのです」
The Sacrifice of Isaac by Pedro Orrente

「ヤーコブ・ヨルダーンス作  1630年」
正座をしてぎゅっと目をつぶり、全身の筋肉を硬直させるイサク。
彼の緊張を迫真で描き出しています。
The Sacrifice of Isaac, 1630 - Jacob Jordaens

「カラヴァッジョ作  1603年」
父の押さえつけ感が恐ろしい。天使さんも厳しめの表情。
息子さんの顔が、恐怖と痛みに歪んでいますから。
isaac_Caravaggio 1603

「ティツィアーノ・ヴェリッチオ作  1544年」
イサクの年齢は諸説あり、5歳~37歳まで様々。
ティツィアーノのイサクはほんの少年です。それでも悟りきった表情を。
sacrifice-of-isaac-1544_Titian

「Juan de Valdes Leal 作  1659年」
黄色と赤の色が鮮やかな天使が、そっと手を置いて制止しています。
劇的なシーンですが、緊迫した静寂さが漂います。
The Sacrifice of Isaac, 1659 - Juan de Valdes Leal

「ハンブルクの聖ピーテルのGrabowerの祭壇一部  1383年」
中世時代のイサクの犠牲は、天使が片手真剣白刃取りで、羊が
二足歩行してくるようです。何とも言えないシュールな素敵さを感じます。
 Peter's in Hamburg, the Grabower Altar, 1383

「ヤン・リーフェンス作   1638年」
こうして息子は助かり、父はよりいっそう神を信仰するようになったそう。
天を仰いで抱き合う二人と、足元に転がるナイフが印象的です。
1638)

 ハッピーエンドだったとはいえ、信仰の深さを試す為に息子の命を天秤にかけさせるなんて、神様は鬼畜すぎるなぁと私は思うのですが。もしアブラハムがイサクの方を選んだら、神はどうしたんでしょうか・・・。恐ろしい結末と化すんでしょうかね。聖書の内容は悲惨なものも多いですし。なかなか時代や文化の違いの垣根は高いです。
 なんにせよ、二人が助かって良かったです。



PR