Padovanino 17 -

 サムソンは旧約聖書の「士師記」に登場する怪力の英雄です。
 ある日、イスラエルの民マノアの妻に神の御使いが現れ「これから貴女に特別な子が生まれるが、葡萄酒を飲まない、汚れた物を食べない、髪に剃刀を当てないという、三つの事を子に遵守させなさい」と言いました。こうして産まれたのがサムソンでした。彼は豪傑に成長し、ティムナに向かいました。途中、ライオンが現れますが瞬く間に倒してしまいます。彼は敵であるペリシテ人の館へ向かい、1000人を打ち殺します。
 やがて、サムソンはデリラという女性を愛すようになります。敵側はそれを知り、彼女にサムソンの力の秘密を探るようにけしかけます。彼は始めこそ話しませんでしたが、デリラがしつこく聞くと神の三つの約束を話してしまいます。デリラは敵側に密告し、彼が寝ている間に髪をすっかり剃り落としてしまいました。力を失ったサムソンは目を抉られ、牢で粉ひきをさせられました。
 ペリシテ人は異教の神殿へサムソンを連れだし、見世物にしました。神に祈ったサムソンは力を取り戻し、柱をへし折って神殿を倒壊させ、大勢のペリシテ人を道連れにしながら命を落としました。
 この物語も多くの画家の手によって描かれ、特にサムソンとデリラのシーンは人気がありました。波乱万丈な人生を歩んだサムソンの姿12点をご覧ください。


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「ルカ・ジョルダーノ作  1695-96年」
勇ましくライオンを倒しているサムソン。
馬乗りになり、口を掴んで上下に引き裂こうとしています。
Giordano-Luca-Samson-Lion-c1695-96

「Orazio Riminaldi 作  17世紀」
ペリシテ人1000人を殺しているサムソン。ロバの顎骨がその時の
武器だったとか。いくらなんでも超人すぎてベルセルク状態です。
Orazio Riminaldi 17

ジュリオ・チェーザレ・プロカッチーニ作    1625年」
ペリシテ人バトルパート2。人間が画面一杯にひしめき合っております。
中央の人物がサムソンでしょうか。しがみつかれまくっています。
Giulio Cesare Procaccini 1625

「Pascal Blanchard 作   1886年」
妖艶な美女デリラにすっかり惚れ込んで、すやすやと眠っているサムソン。
美しい薔薇には棘がある。美女を簡単に信用しちゃいけませんよ。
デリラも悪女「ファム・ファタール」の一人と数えられます。
Pascal Blanchard, 1886

「Padovanino(Varotari Alessandro Leone) 作   17世紀」
ちょっとイケメンなサムソンですが、もうデリラの手に落ちています。
小姓の子がハサミを渡し、今にも髪をちょきっとしそうです。
Padovanino 17

「レンブラント・ファン・レイン作   1630年」
こちらもおじさんにハサミをもらっているデリラ。というか、デリラが
おばさんすぎやしませんか?サムソン、おば様趣味!?
Rembrandt van Rijn - Samson and Delilah, 1630

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1609年」
サムソン絵画で有名な作品。デリラの膝の上ですやすやと子供の
ように眠っているサムソン、その頭には既に魔のハサミが・・・。
Peter Paul Rubens - Samson and Delilah, 1609

「アンソニー・ヴァン・ダイク作  17世紀」
彼はルーベンスのお弟子さんになります。丸刈りになってしまったサムソンが
デリラに助けを求めるような視線を送るものの、いってらっしゃいとばかり。
ペリシテ人たちにひっ捕らえられてしまいました。
After Sir Anthony van Dyck, 17

グエルチーノ(ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ)作  1619年」
無駄な抵抗を試みるサムソン。躍動感ある作品の中、
手で顔を押されている兵士の一人の表情が冷静で、個人的に気になる。
Giovanni Francesco Barbieri 1619

「ソロモン・ジョゼフ・ソロモン作   1887年」
ダブルソロモンで間違えた訳ではなく、本当にこういった名前のよう。
その後サムソンは目を潰され、牢屋で粉ひきの仕事をさせられます。
Solomon Joseph Solomon Samson and Delilah (1887)

「ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作   18世紀」
盲目になってペリシテ人の見世物になったサムソンは、
神殿内の柱を折って敵を巻き添えにして命を落とします。
最期の火事場の馬鹿力がよく表されている作品。
Giovanni Battista Tiepolo, Samson, 18th

「Giovanni Benedetto Castiglione 作  17世紀」
神殿がガラガラと音を立てて、今にも崩壊してきそうです。
サムソンの赤い服と手前の少年の青い服の対比が目につきます。
Giovanni Benedetto Castiglione

 サムソンもキリストと同じく、神に約束された無原罪の御宿りとして生を受けたものの、その生き方は正反対と思えるものでした。キリストが静ならサムソンは動。前者は青で後者は赤のイメージがあります。
 豪傑として敵を1000人倒しても、結局美女に騙されてしまう。ユディトの話もそうでしたけれど、旧約聖書の男性は警戒心が薄いというか、心が純粋というか・・・。
 最期の雄姿は格好いいと思いますよ!

→ ユディトについて詳しく知りたい方はこちら



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