François Lemoyne 1723 -

 ペルセウスは主神ゼウスとアルゴス王女のダナエとの間に生まれた子です。アルゴス王に捨てられたものの、命拾いをしてたくましく成長しました。
 成り行き上ペルセウスは怪物メデューサの首を斬り落として倒し、その首を袋に入れてエチオピア国の上空を飛んでいました。すると、美女が岩に括りつけられているではありませんか。ペルセウスが国に入って王に事情を聞いてみると、王妃カシオペアが「私は海の乙女ニュムペーよりも美しい」と豪語した為に、海神ポセイドンが怒って怪物ケートスを国に放ったそう。そして、大暴れする怪物を鎮めるために、娘のアンドロメダが生贄に捧げられる事となったらしい。ペルセウスは「彼女を妻にくれるなら助けてもいいよ」と持ち掛け、王は即座にOKを出しました。
 その間に海の怪物が現れ、アンドロメダがまさに喰われようとしています。ペルセウスは怪物に飛び掛かって剣を突き刺し、激しい決闘になりました。そして、彼がメデューサの首を突き付けると、怪物は石化してしまいました。こうしてアンドロメダは助け出され、ペルセウスの妻となったと言われています。
 怯えるアンドロメダと颯爽と現れて怪物と戦うペルセウス。ネタの作品を交えながら、絵画11点をご覧ください。


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「ジローラモ・ダ・カルピ作  16世紀」
怪物ケートスとアンドロメダの元へ、ペガサスに乗りながら
颯爽とやって来る影が。その男の名はペルセウス!
Girolamo Da Carpi (1501–1556

「フレデリック・レイトン作  1891年」
「これでもくらえ!」
上空から矢を放ちましたが、まったく利いた様子はありません。
愛しのアンドロメダは今にも怪物に喰われてしまいそうです。
Frederic Leighton 1891

「フランソワ・ルモワーヌ作  1723年」
「俺に任せろっ!」ペルセウスは怪物に飛び掛かります。
メデューサの血から生まれたペガサスに乗る絵画と、
ヘルメスから借りた翼のサンダルを描いた絵画の二種類があります。
François Lemoyne 1723

「シャルル・アンドレ・ヴァン・ルー作  18世紀」
「これでどうだ!」メデューサの首の盾でごちん!
生首は盾に取り付けられ、アテネに捧げられたとされています。
物語によって時系列が異なり、アンドロメダ救出の時に
まだ袋に入っている段階と盾の段階と二種類あります。
Vanloo Charles

「ピエロ・ディ・コジモ作  16世紀前半」
「やあっ、とうっ!」これは異時同図法になっており、
エチオピアの人々悲しむ左下、ペルセウス飛んでくる右上、
戦う中央、救出右下といった感じになっています。
Piero di Cosimo

拡大図。
怪物の背中の傷や鼻息など、結構緻密に描いております。
Piero di Cosimo 2

「ローマのアウグストゥス邸の壁画  1世紀」
「これでどうだ!」
ちっちゃ!壁画なので人物のアップを控えたのでしょうか。
これも中央と右側で二つのシーンが入っております。
1st  Augustan Roman Wall painting

「パリの彩色写本  1410-1414年」
ペルセウスが全身甲冑で、武器は鎌。
鎌はヘルメスからもらったという逸話がありますが、
ギリシア神話が完全に中世騎士物語になっています。
 1410-1414

「クリスティーヌ・ド・ピザンの書籍挿絵  1450-1475年」
ぺ、ぺ、ペガサス!口からなんか汁出してます!
目がイっちゃってるし、甲冑ペルセウスより気になるペガサス。
Christine de Pisan 1450-1475

「Abraham van Cuylenborch 作  17世紀」
アンドロメダさん暇そう!あーだりぃとか言ってそうです。
ペルセウスの戦いが長引いているんでしょうかね。
Abraham van Cuylenborch

「ティツィアーノの追随者作  16-17世紀?」
アンドロメダさん、完全にリラックスしてる!
縛られてても余裕の笑みを浮かべている・・・恐ろしい人だ。
Follower of Titian

「アントン・ラファエル・メングス作  18世紀」
そんなこんなで怪物を倒し、彼女を救出しました。
「ありがとうペルセウス。私、あなたと結婚する!」
天使が意味ありげな視線を投げかけています。その真意やいかに・・・。
Anton Raphael Mengs

 ふざけてしまい失礼しました。
 アンドロメダの姿がバリバリ白人で描かれておりますが、エチオピアの王女という事は黒人であったと思います。ミルトンもそう考え「英知に秀でた黒く美しい女性」とアンドロメダのことを詩に書いています。当時の画家もエチオピアがアフリカにあるのは分かっていたと思うので、わざと白人に描いたのでしょう。白人主義が現れているなぁと感じました。(ここまで書いて、wikiで言及されているのに気付きました)

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