Robert Wilhelm Ekman (1808–1873) -

 「カレワラ」はフィンランドで伝えられている民族叙事詩です。
 フィンランドには独特の伝説や伝承があったものの、内容は地域によってまちまちで一貫性がありませんでした。そこで、エリアス・リョンロットという医師は物語を集め、それを組み合わせて一つに纏め上げました。それが1835年に出版された旧カレワラとなり、更に話を増やして新版が創刊され、これが現在の「カレワラ」となります。
 物語は爺さんの英雄「ワイナミョイネン(ヴァイナモイネン)」、真面目な鍛冶屋「イルマリネン」、乱暴な美形「レンミンカイネン」の三名を筆頭に、織りなされる壮大なドタバタファンタジー。吟遊詩人、天空神、魔女、魔法具、精霊、戦争、愛憎といった要素が詰め込まれ、ファンタジーが好きな方にはたまらない内容になっております。
 フィンランドの画家たちが描いた、カレワラの絵画11点をご覧ください。


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「Robert Wilhelm Ekman 作  19世紀」
ワイナミョイネンはカレワラの主人公で、高名なる吟遊詩人。
表向きでは思慮深く、賢く、力強い老人とされていますが、
その実は・・・。
Robert Wilhelm Ekman (1808–1873)

「Sigfrid August Keinänen 作  1896年」
「のぅ、わしとでぇとしない?」「・・・なにこの爺さん、キモい」
相当の女好きなのであった。綺麗な女性を見ると俄然元気となって
求婚しまくります。しかも、物語では魔法の呪文忘れるし、
血に弱く、根性がまるでないという困った爺さんなのです。
Sigfrid August Keinänen 1896

「Marja Vanni 作  19-20世紀」
女の子アイノはワイナミョイネンに求婚されたことが
嫌すぎて海に飛び込み、海の精霊になってしまいます。
可哀想ですって。この作品の爺さんの顔がいやらしすぎる。
Marja Vanni

「アクセリ・ガッレン・カッレラ作  1897年」
アイノの兄、ヨウカハイネンは爺さんに復讐を試み、魔法の込めた
矢を放ちます。矢はワイナミョイネンの肩に当たって
彼は海に落ちたものの、一命を取り留めます。
Akseli Gallen-Kallela  Joukahaisen kosto

「アクセリ・ガッレン・カッレラ作   1893年」
ポポヨラという国の女主人の依頼で、鍛冶屋イルマリネンは
持つ者に富と幸福を与える「サンポ」という魔法の道具を作ります。
作業は何か月も続いたとか。
Akseli Gallen-Kallela Sammon taonta, 1893

「アクセリ・ガッレン・カッレラ作  19世紀後半」
ポポヨラに置かれたサンポは、国に繁栄をもたらしました。
その返礼として、イルマリネンは女主人ロウヒの娘と結婚しました。
残念ながら、その幸せは長くは続きませんでした・・・。
Akseli_Gallen-Kallela_-_Sammon_ryöstö

「Robert Wilhelm Ekman 作  19世紀」
レンミンカイネンは戦好きのプレイボーイですが、怪物の毒で死んで
しまいます。冥界の番人は彼をバラバラに切断し、川に放り込みます。
レンミンカイネンの死を知った母は調査に乗り出し、
息子の細切れ死体を巨大熊手でかき集めます。ぎゃー!
Robert Wilhelm Ekman 1862

「アクセリ・ガッレン・カッレラ作  1897年」
母は丁寧に息子の身体を合わせると、魔法の力でくっつけてしまいます。
凄いぃ!そして、至高神から蜜を持って来るよう蜜蜂に頼み、
それを息子の口に入れます。そうするとレンミンカイネンは見事に
復活を果たしたのです!母最強!カレワラで一番強いと思う。
Lemminkäinen's Mother, 1897

「アクセリ・ガッレン・カッレラ作  1899年」
悲劇の英雄クッレルヴォ。彼は異なる逸話が組み込まれたので、
主軸には入っていません。滅ぼされた部族の復讐を、超人的な
力を持った青年クッレルヴォが一人で行う話。全体的にシリアスで、
明るい調子のカレワラでは異彩を放つ物語です。
Akseli Gallen-Kallela - Kullervo Cursing, 1899

「アクセリ・ガッレン・カッレラ作  1896年」
なんやかんやでサンポの取り合いとなり、ワイナミョイネン率いる
イルマリネン&レンミンカイネンチームと、ロウヒ率いるポポヨラ
軍勢は戦いとなります。ロウヒは大鷹に変身し、襲い掛かります。
カレワラのメインとなる一大シーン。
しかし、サンポは海に沈んでしまい、行方不明になるのでした・・・。
Elias Lönnrot 19

「アクセリ・ガッレン・カッレラ作  19世紀後半」
ロウヒは復讐に乗り出しますが結局和解(?)し、世に平和が訪れます。
その後、マリヤッタという女性が産んだ特別な子供は、言葉によって
賢者ワイナミョイネンを打ち負かします。こうして爺さんは船に
乗って、何処かへ姿を消してしまったとされます。
Akseli Gallen-Kallela, Väinämöinen's Departure

 言葉不十分な説明を付けてしまい、失礼しました。カレワラの大長編を、短い文に入れる事がそもそもの間違いでした。それだけカレワラは読みごたえがあり、面白い物語なんです!詩の形式になっていて少し読みづらい部分はあるものの、読む価値は充分にあります。突っ込みどころも満載です!とにかくキャラクターが楽しいです。ぜひ読んでみてください^^
 カレワラが創刊された時代は、戦争によってフィンランドの文化が押さえられており、カレワラの存在で一気にフィンランド独立の声が高まりました。現在でもカレワラはフィンランド人に愛され、歴史ある民族叙事詩として誇りに思われています。
 


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