Mabuse-Jan Gossaert (1478-1532) -

 アダムとイブ(イヴ、エヴァ)は旧約聖書の「創世記」に登場する、世界最初の人間です。
 世界創造の後に唯一神はアダムを作り、彼をエデンの園に住まわせました。そこには様々な種類の木が置かれており、中心には命の木と知識の木の二本が植えられていました。唯一神はアダムに知識の木の実は食べてはならないと告げ、アダムのわき腹からイブが創造されます。
 二人はしばらく幸せに暮らしていましたが、ある日イブの元に蛇が現れ「善悪の知識の実を食べるがいい」とそそのかします。彼女は果実をかじってアダムに勧め、彼もそれを口にしました。二人はとうとつに自分達が裸であること恥じ、イチジクの葉で腰を覆いました。実を食したことが原因で二人は楽園を追い出されてしまいます。
 禁断の果実を採るアダムとイブの絵画、12選をご覧ください。


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「ラファエロ・サンツィオ作  1509-11年」
イブの手から小さな実を受け取ろうとするアダム。
人間の姿をした蛇がほくそ笑みながら、その様子を見ています。
Adam and Eve, Raphael

「Alessandro Turchi 作  16世紀後半-17世紀前半」
禁断の果実はどのようなものであったかは諸説あり、
りんご、イチジク、葡萄、小麦、中にはトマトという説もあります。
トマト食べて楽園追放されたらちょっと悲しいなぁ…。
 Italian 15781649

「フランス・フロリス作  1560年」
容姿や肉体の美を追求しまくったアダムとイブ。最初の男女という
ことから、美のイデアの体現のようなイメージだからでしょうか。
 1560

「ルーカス・クラナッハ(父)工房作  1502-22年」
仁王立ちをしているアダムとイブ。背景が黒という事も合わさり、
なんだかシュールでシリアスな映画ポスターのように見えます。
Lucas Cranach, the elder, 1502-22

ヤン・ホッサールト作  15世紀後半-16世紀前半」
もこもこ頭が気になるアダム。二人は仲良く腕を組んでいますが、
自信満々のイブと心配げなアダムの表情が対照的です。
Mabuse-Jan Gossaert (1478-1532)

「フランチェスコ・サルヴィアーティの後のPietro Facchetti 作  1554年」
蛇の多くが女性の容姿で描かれていますが、これは男性のような姿。
どのアダムとイブも、上手に手や葉っぱで隠すところが隠されている…。
Pietro Facchetti, after Francesco de’ Rossi  1554

「フランソワ・ルモワーヌ作  18世紀前半」
天使のような容姿と小さな羽が生えた蛇。足元にはライオンと兎が
仲よく眠っており、弱肉強食のない平和な園だということが分かります。
François Le Moyne

「コルネリス・ファン・ハールレム作  1592年」
エデンの園では様々な動物が寄りそって暮らしています。
猿と猫がぎゅっと抱き合っている姿が可愛い。
Cornelis Corneliszoon van Haarlem, 1592

「フーゴー・ファン・デル・グース作  1470年」
人間とトカゲ、カエルのハイブリッド怪物になっている蛇さん。
二人が楽園を追い出された後、蛇は罰として腹ばいにされてしまったとか。
Hugo van der Goes c 1470

「Hans Sebald Beham 作  1543年」
果実を蛇がかじっちゃってます。背後には不気味なドクロが
浮かび、今後の二人の暗い運命を暗示しているかのようです。
Hans Sebald Beham - 1543

「ハンス・トーマ作  19世紀前半-20世紀後半」
知識の木の隣に生えている生命の木の果実を食べれば、
人間は不老不死になれたそう。しかし、神は彼等を追い出し、
木に近付けさせませんでした。ぬっと立つドクロが布を掛けようとしています。
Hans Thoma

「コルネリス・ファン・ハールレム作  16世紀後半-17世紀前半」
アダムに狙いを定め、矢を突き刺そうとしているドクロさん。
人間には永遠に死が付きまとう事となった、というメッセージでしょうか。
Cornelis van Haarlem - 1562-1638

 後半三つの作品は、禁断の果実の物語というより、メメント・モリのテーマになってしまいました…。アダムとイブは衣服を与えられて楽園を追放され、大地の実りが少ない枯れた土地へ向かいます。そこでは女性は腹を痛めて子供を産まなければならないし、男性は汗水たらして田畑を耕して働かなければなりません。そこから人類の最大の罪、原罪は始まったとされています。

→ 楽園追放の絵画を見たい方はこちら


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