
ヤコブは旧約聖書に登場し、イスラエル民族の始祖となる人物です。
カナンへ向かっていたヤコブ一行は、夜にヤボク川に差し掛かりました。ヤコブは家族たちを先に渡らせ、一人その場で野宿することにします。すると、いきなり闇の中から何者かが襲い掛かって来て、激しい格闘になりました。戦闘は夜明けまで続けられ、徐々にヤコブが優勢になってきました。何者かはヤコブの腿を打って関節を外してしまいましたが、彼は怯まずにつかみ合いを続けます。
「去らせてくれ」と相手に言われても「いいえ、祝福してくださるまでは離しません!」とヤコブは格闘を止めません。遂に相手は観念し「お前は以後、イスラエルと名のるがいい。人と神の間に勝ったからだ」と言って、その場で祝福を与えました。こうしてヤコブはイスラエルの民族の始祖となり、彼の息子12名が十二部族となりました。
ヤコブと天使がガチで格闘し合う絵画、11選をご覧ください。
PR
「ドイツの写本より 1350年」
熾烈な格闘を繰り広げる二人!
ですが、中世の絵画では抱き合っているように見えてしまいます・・・。

「フランスのHours of Anneの挿絵より 1473年」
牧歌的な草原の中、二人はダンスを踊って・・・いるのではなく、
真剣に決闘をしています。長い梯子は何を意味しているのでしょうか。

「Golden Haggadah より 14世紀」
河の対岸で家族が待っている中、ヤコブは天使とキスを・・・じゃなくて
真剣に格闘をしています!

「ルカ・ジョルダーノ作 1694年」
中世時代が過ぎ、激しい肉弾戦が描かれるようになりました。
夜闇の中、突然現れた天使。身体の動き、足さばきなど
瞬発的な動きを見事に表しています。

「ギュスターヴ・ドレ作 1855年」
凄まじい腕力で圧倒しようという天使。その後ろは断崖絶壁が・・・。
背水の陣の中、ヤコブが馬鹿力を出してみせます。

「アレクサンドル・ルイ・ルロワール作 1865年」
英語では「Jacob Wrestling with the Angel」となり、
「天使とレスリングをするヤコブ」と訳されるので、
私の脳内ではリング上でのバトルに変換されてしまう・・・。

「Circle of Pieter Lastman 作 17世紀前半」
こちらの天使さんは童顔ですが、ムキムキな肉体を持っております。
対するヤコブは禿げかかったおじさん。よく勝利ができました。

「レンブラント・ファン・レイン作 1659年」
余裕の表情を浮かべた天使さんが、
膝を使ってヤコブの腰をへし折ろうとしています。
ラスボス並みに滅茶苦茶強そうです・・・。

「ウジェーヌ・ドラクロワ作 1861年」
掴みかかろうとするヤコブに、それを牽制しようとする天使。
足元には剣が落ちており、己の肉体だけで強敵に立ち向かう様が
よく表現されています。

「ポール・ボードリー作 19世紀」
女性のように見える華奢な天使と、全裸でホールドアップするヤコブ。
なんかセクハラをしているようにしか見えない!

「レオン・ボナ作 1876年」
結局二人とも服がとれちゃいました。
男の戦いに衣類など不要!肉弾戦あるのみ!
天使の観念した、という表情が長き戦闘の終わりを告げています。

ヤコブはヘブライ語で「かかとを掴む者(人を出し抜く者)」を意味するとされています。それは彼が双子の兄のかかとを掴んで一緒になって産まれたことと、成人になった時に兄を出し抜いて長子の祝福を受けたことに由来します。
かかとを掴んだり、天使と取っ組み合いをしたり。なんだか掴みかかることが好きな人物だなぁと思いました。
PR
>> 脚立を愛する人様へ
こんばんは^^
「ヤコブの梯子」というエピソードがあるのですね!
調べてみたところ、同一人物のようです。
ヤコブが梯子の夢を見てから後に、天使との格闘があったそう。
この絵画は異時同図法で、梯子も天使も描いてしまったのですね。
雲間からの光線が「レンブラント光線」とも言うのを初めて知りました!
光の魔術師という異名も伊達ではありませんね。
光線が描かれたレンブラント特集、かしこまりました!
レンブラントオンリーで特集を組むのが難しい場合は、光線が描かれた他の画家作品も混ざる可能性があるのでご了承ください。
ゆっくりとお待ちくださいませ^^