Frans Floris the elder (1517–1570) -

 皆様知っての通り、4月1日はエイプリルフールです。この日は誰もが悪意のない嘘ならついてもいい日とされ、皆が騙し合って楽しみます。その起源は古代ローマまでさかのぼることができますが、、「万愚節 (All fools day)」と呼ばれる盛大なお祭が、中世ヨーロッパで行われていました。万愚節では道化師が主賓席に座り、少年が司教となり、ロバが説教を行い、祈りの言葉は逆さまに朗読されます。何もかもがあべこべに変わるのです。
 大騒ぎの逆転現象である「万愚節」の絵画11点をご覧ください。


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「Antoine Francois Callet 作  18世紀後半-19世紀前半」
万愚節ではどんちゃん騒ぎが行われます。
給士はどうでもいいような場所からお膳を運んだり、後ろ向きに歩いて
空っぽのお盆を持っていたりします。何もかもがあべこべに行われます。
Saturnalia, opera di Antoine-Francois Callet

「ハンス・ブルクマイアー作  15世紀」
大人が子供のおもちゃで遊び、子供が年上の者を嘲ったり、
命令したりしています。あらゆるところで逆転現象が起こります。
Hans burgkmair der weisskunig

「ピーテル・ブリューゲル(父)作  16世紀」
道化師は「無礼講の王」と呼ばれ、一番高い身分の席に座って
人びとをあげつらいます。弟子が親方になったり、下級聖職者が
司教になったりします。
Pieter Brueghel - The Feast of Fools

「作者不詳  16-17世紀頃」
ゲームも行われますが、あべこべのルールでゲームなんてできた
ものじゃありません。秩序は根底からひっくり返されているのです。
Feast of Fools

「フォーヴェル物語  1316年、フランスの挿絵」
仮装した人々が派手な音楽を鳴らしました。演奏が始まる前、司会者は
「演奏します。ファンファーレを!楽人たちが、さぁ!」とわざと言葉を
逆にして言うのです。徹底していますね。
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「フランスの挿絵  1600年頃」
先の尖った帽子と鈴、杖、カラフルなまだら衣装は道化師の正装
であり、「モトリ―」と呼ばれていました。
1600

「Hendrick Hondius 一世作  1642年」
人びとや社会の欠点、弱点を道化師が誇張して真似たり、風刺することに
よって、その部分が明確に見えてきます。知識人は愚者となり、
馬鹿者は賢者となるのです。
Hendrick Hondius I 1642

「ドイツの挿絵Tournament Bookより  1560 - 1570年」
騎士が頭に鳥かごを被って、とんでもない色合いのミニスカと服を
着ています。万愚節ではこういったパレードも行われていたのでは
ないでしょうか。
Tournament Book German (Nuremberg)

「フランスの写本Alexander romanceより  1338-44年」
また、ロバが主人公の愉快な12世紀の小説「愚者の鏡」を朗読したり、
神話や聖書の話を面白おかしく馬鹿げた話にして語り聞かせるのです。
The Romance of Alexander in French verse, 1338-44

「Frans Floris (父)作   1517–1570年」
道化師たちの集いはカオスそうですが、万愚節は誰もかもが
道化者であり、愚者になるのです。
Frans Floris the elder (1517–1570)

「Jan Matsys 派の画家  1560年」
「どう?愚者になってみるのは。あべこべなことをして、嘘もいいけど」
Artiste anonyme (attribué à Jan Metsys)1560

 ルールに縛られることというのは、ストレスのかかることです。こんな面倒な規則なんて、なくなってしまえばいいのに、と一度は思ったことがあるのではないでしょうか。ですが、もし世界の秩序がひっくり返ってしまったなら、とんでもない事になります。下剋上が行われまくり、世の中が血の海になってしまいます。
 なので、4月1日の万愚節くらいは規則を派手に破って、馬鹿騒ぎをすることによって、人々のガス抜きを行っていました。また、あべこべな世界を体験することにより、無秩序な世界は破滅を呼ぶことを思い起こさせ、世の中のしがらみを我慢できるようにしていたのです。こういった中世ヨーロッパの人々の風習が、現代のエイプリルフールに結びついたのだと思います。

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