Thomas Brigstocke  1840-60 - コピー

 モーセは旧約聖書の「出エジプト記」に登場する人物です。イスラエル人(ヘブライ)はつねづねエジプトの圧政に苦しんでいたので、「エジプトを脱出せよ」と神託を受けたモーセは彼等を束ね、この地を発ちました。→ エジプトを脱出するモーセについて知りたい方はこちら
 約束の地を求めて旅をするイスラエル人たち。神から与えられたマナという食糧を摂取しながら、進み続けます。しかしモーセが神の預言を受けている間に、人々は金の子牛を崇拝し始めたのでモーセは激怒し、子牛を壊します。いざこざを起こしながら旅をして40年が経ち、モーセたちは神の言いつけ通り進みました。しかし、些細なことがきっかけでモーセは罪を犯し、次の指導者はヨシュアに変わってしまいます。役目を終えたモーセはネボ山の頂上に登り、約束の地カナンを眺めながら生を終えました。享年120歳でした。
 出エジプトから指導者が変わるまでのモーセの旅路の絵画、11点をご覧ください。



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「作者不詳  1460-70年」
イスラエルの民が飢餓にならないよう、神は天からマナという
食糧を降り注がせます。マナは白くて薄くて壊れやすいもので、
蜂蜜ケーキのような味がするそうです。
Gathering_of_the_Manna  1460-1470

「ジェームズ・ティソ作  1896-902年」
毎朝マナは降り注ぎ、日差しが強くなると溶けて消えてしまいます。
自分が食べられる分だけしかもらえず、とっておこうとすると臭くなります。
James Tissot  1896-902

「トーマス・ブリグストック作  1840-60年」
中心をモーセにして、モーセの兄アロン(右)と、マイナーな仲間ハー(左)。
このように三位一体のように描いた絵画は幾つか存在します。
Thomas Brigstocke  1840-60

「ジョン・エヴァレット・ミレー作  19世紀」
こちらも倒れそうなモーセを支えるようにしている仲間二人。
爺さん三名が奮闘中です。
Aaron and Hur  John Everett Millais 19

「二コラ・プッサン作  1633年」
モーセが行方不明になってしまったので、
アロンの扇動で金の子牛を崇めているイスラエルの人々。
ニコラ・プッサン 作  1633

「ドメニコ・ベッカフーミ作  16世紀前半」
帰って来たモーセはそれを知り大激怒!折角神からもらってきた
十戒の石板を叩きつけて、粉々にしてしまいます。
(また代わりの石板をもらえましたが)
Moses and the Golden Calf BECCAFUMI (1486-1551)

「バッキアッカ作  1525年頃」
「水がない」と不平を洩らす人々。モーセが祈ると「岩を打て」との
神託が。人々を集めて大きな岩を打つと大量の水が出てきました。
Bacchiacca 1525

「アブラハム・ブルーマールト作  1596年」
しかし、岩を打つ際に「神が水を出す」ではなくて「モーセとアロンが出す」と
言ってしまったので神はへそを曲げてしまい、
「貴方たちだけでは民を約束の地に導けません」と断言してしまいます。
Abraham Bloemaert  1596

「フランドルの画家  17世紀」
「荒野で死にたくないし、マナを食べ飽きた」とイスラエルの人々が
不平を洩らしたので、神は怒って地上に毒蛇を送ります。
毒牙にかかってバタバタと倒れていく人々。
Flemish 17th century

「ベンジャミン・ウエスト作  18世紀後半-19世紀前半」
モーセが許しを乞うと「銅の蛇を柱につけろ」と神が言いました。
毒蛇に噛まれた人々がそれを見つめると、あら、神の御力!
すっかり元気になりました。
Benjamin West 1738 – 1820

「ジェームズ・ティソ作  1896-902年」
神は「次の指導者をヨシュアにせよ」とモーセに告げます。
モーセは岩を打った時に罪を犯したので、約束の地を踏めませんでした。
土地を遠くで眺めながら、彼は120歳の人生の幕を閉じました。
James Tissot  896-902


衝撃のおまけ

 この記事を書いていて、「ちゃんと絵画の内容を調べないといけないな・・・」と切実に思いました。
 なぜなら、私は、以下の絵画が「表紙」の「北欧神話の洋書」を持っているからです。

Aaron and Hur  John Everett Millais 19


 これ・・・。題名は「ヴァイキングの神話と伝説」。ばっちり表紙になっているでしょう・・・。
 中を見ると一面にこの絵画が印刷されており、中央がオーディン、右がロキ、左がヘーニルと紹介されています。ついこの間まで、私はこの絵画を北欧神話のものだと信じていました。でも、オーディンがへろへろに疲れていて、ロキとヘーニルに支えられている場面なんてないよなぁとは思っていました。
 そして今回、モーセについて調べてみたら、この絵画が出てきてモーセと紹介されていたではありませんか!管理人、目が点。頭にクエスチョンマークです。おかしいと思って調べてみたら、やはりこの絵画はモーセ、アロン、ハーを描いたものだと判明し、北欧神話の洋書はまったくの嘘っぱちが書いてあったのです。

 私たちは本に書いてあることは正しいと思いがちです。しかし、やはり本も人が作ったものだから、間違いもあります。(安いコンビニ本とか読むと、北欧神話の物語にたまに間違いがあります) このブログも気を付けているつもりですが、間違えを含んでいる可能性があります。誤りを見つけましたら、遠慮なくご指摘を!
 長文失礼いたしました。読み手である私たちが情報を吟味し、取捨選択していかなければなりませんね。



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