Joachim Wtewael 1615 -

 パリスの審判はギリシャ神話の物語で、トロイ戦争の発端となった出来事です。
 ある日、アキレスの両親の結婚式が催されました。全ての神が出席しましたが、ただ一人不和の女神エリスが招かれませんでした。彼女は怒り、結婚式に乗り込んで「最も美しい者へ」と黄金のリンゴを投げ入れました。リンゴは私のものよ!と名乗り出たのはヴィーナス、ヘラ、アテナでした。三名は全く譲らなかったので、主神ゼウスはイリオスの息子で、羊飼いの仕事をしているパリスに審判させることに決めました。ゼウスの使者であるヘルメスがパリスの元へ行ってリンゴを渡し、事情を説明しました。
 そして、最も美しい女を主張する三名の女神がパリスの前に現れます。ヘラは「君主の座」、アテナは「戦争の勝利」、ヴィーナスは「最も美しい人間の女」を与えると彼に言いました。パリスはヴィーナスに黄金のリンゴを渡しました。それにより、パリスはヴィーナスの助けを得てスパルタ王ヘレネを手に入れることができましたが、それがトロイ戦争の元凶となってしまったのです。
 女神の戦いである「パリスの審判」の絵画、14点をご覧ください。


PR
 

「1495年頃の写本」
赤い衣服のヘルメスが、鎧を着たパリスを起こそうとしています。
パリスは羊飼いをしていましたが、王子で弓が得意という事で、鎧を
身にまとった絵画も存在します。
 1495

「ルーカス・クラナッハ(父)作   1512-1514年」
クラナッハ特有の耽美スタイルで三美神がパリスににじり寄ります。
この絵画は使者ヘルメスではなくて、じきじきに主神ゼウスが出向いています。
パリスの服装がめっちゃ豪華。頭のぽんぽんが可愛いです。
Lucas Cranach the Elder, 1512-1514

「ルーカス・クラナッハ(子)作  1540-46年」
クラナッハの息子も父に準じ、似たような構図で描いています。
輝く裸体が父よりレベルアップしているように見えます。
ただ、ゼウスが禿げたお爺さんになってしまったのは何故でしょう?
Lucas Cranach the Younger 1540–1546

「Carel van Savoyen 作  1650-60年」
椅子で直々にお越しのヘラ様と、盾を持ったアテナ様と、クピドを連れた
ヴィーナス様。「この中から最も美しい女神を選びなさい」とヘルメスは
パリスにささやきます。
Carel van Savoyen 1650-1660

ヘンドリック・ファン・バーレン(父)作  1599年」
私を選んでくれたら権力をあげるわ。とヘラが言うと、じゃあ私は勝利を、
とアテナが言い、じゃあ私は美しい女をあげるわ!とヴィーナスが言います。
美しさ対決より、もはや賄賂合戦になっております。
Hendrick van Balen the Elder 1599

「アンゼルム・フォイエルバッハ作  1869-70年頃」
美しい裸身を惜しげもなくさらし、「私にしろ」とパリスに迫りくる三女神。
パリスが選んだ女神は・・・。
Anselm Feuerbach circa 1869-1870

「フランスのパリの写本  1410-1414年頃」
「ヴィーナス。最も美しい女神は貴女です」
パリスは黄金のリンゴを愛と美の女神に渡しました。
「まぁ、嬉しい!そうよね当たり前だわ!」とヴィーナスは上機嫌です。
Paris, France 1410-1414

「フランソワ・グザヴィエ・ファーブル作  1808年」
ヘラとアテナは批判と憎悪の目でパリスを見ます。
「うふふ、美の女神である私が一番。私と競うことが間違いなのよ」と
優越感たっぷりのヴィーナスは二人に目を向けます。
François-Xavier Fabre 1808

「Niklaus Manuel 作  1520年」
「だから、最も美しい女性を紹介してくれませんか?」との言葉に
「勿論よ!スパルタにとびっきりの女がいるから任せなさい!」
とヴィーナスは答えます。アテナの頭の羽がなんか凄いです。
Niklaus Manuel 1520

「サンドロ・ボッティチェリ作 (部分) 1485-88年」
「美しさじゃなくて、人間の女が欲しかったからヴィーナスを選んだんじゃ
ない?なにそれ腹立つ」とヘラとアテナは喋ります。
ボッティチェリの絵画にしては露出が少ないような気がします。
→ ボッティチェリの絵画をもっと見たい方はこちら
Sandro Botticelli 1485–1488

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1636年」
豊満な肉体のルーベンス。アテナの盾のメデューサがさり気に怖いです。
パリスは美女ヘレネと結婚することができますが、それによりトロイ戦争が
起こってしまい、彼も勿論戦争に巻き込まれてしまいます。
Peter Paul Rubens 1636

「ヨアヒム・ウテワール作   1615年」
ヴィーナスはパリスを援助し、ヘラとアテナは反対にギリシャ側を
応援しました。戦争の加護が真っ二つに分かれてしまったのです。
華々しい色彩の絵画。ヘラが鑑賞者に「おかしい」と訴えています。
Joachim Wtewael 1615

「ジョゼフ・ハウバー作  1819年」
パリスはトロイ戦争で瀕死の重傷を負ってしまいます。
その傷を治せるのは、見捨ててしまったかつての妻、オイノネだけでした。
パリスは命を助けてくれと懇願します。
Joseph Hauber 1819

「ハンス・フォン・アーヘン作  1593年」
しかし、オイノネは「私を捨てたくせに」と拒絶して、パリスはそのまま
死んでしまいます。ヴィーナスを選んだことにより、人生を崩壊させたパリス。
しかし、どの女神を選んでも破滅が待っていそうな気はします。
女の戦いは恐ろしい・・・。
Hans von Aachen 1593

 ふざけてしまい失礼しました。会話は創作なので半分信用しないようお願いします。
 絵画によって様々ですが、人物の足元に動物や物が置かれている絵画があります。それはアトリビュートと呼ばれ、人物を識別するのに使われます。例えば、ヘラの足元には孔雀が、アテナの足元には盾やフクロウが置かれ、ヴィーナスの近くにはクピド(キューピッド)がいます。パリスの足元にも羊飼いという事を伝える為に、牧羊犬がいる絵画もあります。もし、顔や姿形で誰を描いているか分からない場合でも、アトリビュートが描いてあれば、誰だかが一発で分かるのです。「パリスの審判」は登場人物が多い為、アトリビュートの宝庫ですね。

→ アトリビュートについてもっと知りたい方はこちら



  PR