
怪物、モンスターという単語の響きは、ドラゴンや吸血鬼、巨人など、少なくとも凶悪で強そうなイメージが湧くのではないでしょうか。ルネサンス期のボスやブリューゲル、近代のブレイク、フュースリ、ルドン等は怪物を描いた画家で知られていますが、彼等の描く怪物はどちらかと言えば不気味で、人々に怪物の恐ろしさを伝える目的で描いた部分があるように思えます。しかし、中世写本に描かれたモンスターたちの中には、全く不気味ではないどころか、愛嬌があって可愛げのある怪物が存在します。何を思ってこのとぼけた、面白い怪物たちを描いたのだろうと不思議に思ってしまう程です。
中世の人々が思い思いに描いた、きもかわいい怪物の挿絵、12点をご覧ください。
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「13世紀の英語版の聖書」
漫画のような魚に、獣の足が生えた怪物。一点を見つめる目と、
ヒレの付き方がさり気なく面白いです。

「時祷書より 1486-1506年」
こちらもお魚の怪物二匹。
とろんとした半目と、ひげがゆるさを醸し出しています。

「ベルギーのブルッヘかヘントの写本より 15世紀」
親に見捨てられ、置いてけぼりにされてしまった孤児のような
目をしたドラゴン。手のひらサイズのように感じます。

「イングランドの中世彩色写本より 14世紀」
こちらも親に怒られて、すねてしまったかのように見えるマンモスの
ような怪物。ふん、どうせいいもん・・・と、のの字を書いていそうです。

「アメリカのエールにある図書館所蔵の中世写本」
何かいいことがあったのか、全力で嬉しさを表現しているような怪物。
角と尻尾がこの怪物の感情の現れなのでしょうか。

「年代不明 中世写本より」
とっても素朴なお顔をしているモンスター。可愛い顔をして、腹側に
ついている本体でがぶりと食べちゃうぞ!といった腹積もりでしょうか。

「年代不明 中世写本より」
ネズミ兎のような姿をしているモンスター。
木の実を食べているのでしょうか。見た目は奇抜ですが、人間に対して
あまり害はなさそうです。

「中世写本 Luttrell Psalter より 1325-1335年」
昭和のアニメに出てきそうなドラゴン(?)。お茶目でとぼけた設定で、
主人公の周りをぱたぱたと飛び廻っていそうです。

「フランスの時祷書より 1480年」
なんだろう。この心が温かくなる光景は・・・!狐のような動物が鶏の
頭をなでなでしています。背景の不思議な花も合わさり、
ある種のメルヘンチックさを醸し出しています。

「時祷書より 1450-60年」
ラッパの口をした、灰色のけもけもモンスター。きょろっとした目が可愛い。
世界中をくまなく探せば、この世に一体くらいは生息していそうです。←ぇ

「フランスの聖書の挿絵より 13世紀」
なんとも言えないオーラを出した、ゆるーい謎の生物。
どの動物に似ているとも言えません。
強いて言うなら、恐竜にじょうろが混ざった感じ?

「年代不明 中世の写本より」
アンモナイト型の怪物が激おこ!歯をむき出して激おこ!
でも真ん丸で迫力より面白さが勝ってる!

中世時代の写本は、古い本の内容を修道院の写字生や、写本職人が手書きで写したものになります。本の余白部分には、写字生や職人のオリジナルのイラストがある場合もあり、そこには不思議な怪物たちがひしめいています。余白部分のゆるゆるな怪物たちは、毎日根を詰め、ほとんど間違えることが許されない写字の仕事の合間の、息抜きという意味合いもあったのではないでしょうか。
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>> オバタケイコ様へ
こんばんは^^
ロスト・チルドレン面白そうですね!
SFダークファンタジーは私の大好物ですし、登場人物が素敵^^
紹介して下さりありがとうございます。また観てみますね♪