Hansen  1861ー

 ロキは北欧神話の悪戯好きの神として知られています。
 変身能力に長けており、頭の回転が速く、気まぐれで饒舌家。名前は「終わらせる者」という意味です。主神オーディンと義兄弟の仲で、雷神トールとは親交があります。巨人族出身で、妻にシギュンがいますが、最初の妻アンクルボザとの間にフェンリル、ヨルムンガンド、ヘルの三兄弟がいます。非常にプレイボーイで、手を出していない女神はいない程。物事を引っ掻き回して困らせる存在ですが、持ち前の知恵で問題事を解決することもあります。
 しかし、バルドルの死を皮切りに神々のロキに対する評価が変わってゆき、ロキが神々の悪口を散々言うこと (ロカセナ) があってから、完全にロキは敵側に付いてしまいます。ロキは捕らえられて岩に縛り付けられますが、ラグナロクが起こる時に解放され、神々へ復讐をすると言われています。
 北欧いちのトリックスター、ロキの絵画と挿絵、14点をご覧ください。


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「18世紀のアイスランド写本」
首が180度回っている不気味なロキ。
持っているのは投網で、魚を捕らえる為に彼が発明したとされています。
しかし、皮肉なことに投網によって彼も神々に捕らえられてしまうのです。
18th century Icelandic manuscript

「Carl Emil Doepler 作 1882年」
北欧神話の挿絵を数多く手がけた画家、エミール・ドプラーのお父さんの
作品。燃えさかる炎をバックに、意味ありげなセクシーポーズ。
Carl Emil Doepler (1882)

「Carl Emil Doepler 作を元にした構想」
上の作品を元にして、ワーグナーの楽劇「ニーベルンゲンの指環」
のロキ(ローゲ)のコスチュームが考案されました。
1876年の初演でこの様相をしたロキが演じられました。
Carl Emil Doepler

「アーサー・ラッカム作  
ロキを火の神と紹介する本もありますが、神話の文献ではそのような
記述はありません。ウトガルザ・ロキとの競争において、彼は炎と戦って
負けています。火と関連があるのは、災いにおける繋がりだからだと思います。
→ ウトガルザ・ロキの競争について知りたい方はこちら
Arthur Rackham loki

「キャサリン・パイル作  1930年」
トールの妻シフは黄金の美しい髪を自慢にしていました。しかし、ロキは
彼女が寝ている間にその髪をざっくりと切ってしまいます。
坊主になったシフは泣きじゃくり、夫トールは怒り狂います。
Katharine Pyle (1930)

「作者不詳  1906年」
シフの髪を元通りにするとトールに約束し、ロキは小人達の住いへ出かけます。
そこで小人達から髪以外に、オーディンの槍グングニルや、
トールのハンマー、ミョルニルなど様々な宝物を作ってもらいました。
Artist Unknown  1906

「W. G. コリングウッド作  1908年」
ロキは女神フレイヤから鷹の衣を借り、頻繁に空を飛んでいました。
これで巨人族の国へひとっ飛びです。
 Collingwood 1908

「Dorothy Hardy 作   1909年」
ロキが巨人スィアチが化けた鷹を攻撃しようとしたところ、木の棒に鷹が
くっついて離れず、そのまま滑空されてこっぴどくやられてしまったという話。
Dorothy Hardy 1909

「ローレンツ・フローリク作  1895年」
ロキの一番の大舞台ともいえる「ロカセナ」。得意の毒舌で、
ほとんどの神々をことごとくこけ下ろします。この挿絵の場面は
女神フレイヤに「お前の周囲の男はみんな情夫だろ?」と言っています。
Lorenz Frølich 1895

「エミール・ドプラー作  1855-1922年」
矛先はオーディンの妻フリッグにも向けられ「お前の最愛の息子バルドルは
俺が殺したんだぜ!」と暴露します。それには神々の顔色は真っ青に。
→ バルドルの死について知りたい方はこちら
emil doepler loki lokasenna

「C. Hansen 作  1861年」
巨人退治から帰宅したトールが怒って脅し、ロキはようやく宴会の席から
撤退します。それから彼は指名手配となり、川辺で鮭に変身した
姿を発見され、投網によって神々に捕まります。
 Hansen  1861

「エミール・ドプラー作  1905年」
捕まえられたロキは岩に縛り付けられ、毒蛇の毒を顔に受けるという
刑罰を与えられました。妻シギュンが毒液を杯で受けてくれていますが、
杯がいっぱいになると毒液は顔にかかり、ロキは苦しんでもがきました。
→ ロキの捕縛について知りたい方はこちら
Emil Doepler (1905)

「Ernst H. Walther 作  1897年」
ラグナロクが到来した時、ロキの戒めは解かれ、息子のフェンリル、
ヨルムンガンドと共に神々に復讐ををするため、巨人族と冥界の悪霊、
炎の民と合流して、神々の国へ進撃します。
 Walther, 1897

「チューダー・ハンフリーズ作  20世紀」
ロキは白き神ヘイムダルと戦い、相打ちになって果てます。
ヘイムダルは過去に争ったことのある、因縁の相手でした。
→ ラグナロクについて知りたい方はこちら
LokiHeimdal

 ロキは文献によっては「悪神、邪神」として紹介され、ルシファーといった悪魔のような神とされる場合もあります。しかし、それはキリスト教の影響があるように思え、個人的には賛同しかねます。
 ヴァイキング時代において、親族の仇討ちは遵守されていましたが、裏切りや策略は当たり前のこととして考えられていました。エッダやサガにおいて、そういった行為はたくさん見受けられます。主神オーディンも謀略や裏切りを平気で行う神なので、ロキだけが裏切者とされて悪神と考えられるのは、疑問に思ってしまいます。
 ロキは味方でも敵でもない、そういった枠組みから飛び出した存在であるトリックスターだと私は考えています。



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