Jacques Laurent Agasse, 1805 -

 ロムルスとレムスはローマを建設したとされる、伝説の双子の兄弟です。
 双子はギリシャ・ローマ神話の軍神マルスと、人間の王族の娘であるレアとの間に産まれました。しかし、レアの父であるヌミトル王は弟のアムリウスに王権を奪われ、国は彼の天下にありました。アムリウスは双子が大きくなった時に復讐するのではないかと恐れ、彼等を川に捨てました。ですが、双子は狼に養われ、後に羊飼いの夫婦に育てられて成人し、やがてヌミトル王と出会います。ロムルスとレムスは祖父と協力をしてアムリウスを倒し、祖父を復権させました。
 それから、双子は自分たちが拾われた場所に国を建てようと相談します。どちらが支配者になるかを決める為、二人は鳥占いをして、兄のロムルスが選ばれます。ロムルスは牛にひかせた犂(すき)で聖域を線引きしました。しかし、結果が気に喰わないレムスは線を飛び越えてしまいます。それに怒ったロムルスは弟を殺し、聖域を侵す者は誰であろうと殺すと明言し、ローマの絶大な支配者になりました。紀元前753年の事であり、ロムルスは40年間ローマを統治し、何処かへ消えていきました。
 権力と嫉妬が渦巻くロムルスとレムスの絵画、13点をご覧ください。


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「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1616-17年」
軍神マルスは王族の娘レアに愛を抱きます。こうして産まれたのが
ロムルスとレムスの双子でした。二人のクピドが祝福しています。
Peter Paul Rubens, 1616-1617

「ボローニャのフレスコ画  16世紀」
双子は権力争いのせいでテヴェレ川に流されてしまいます。しかし、
二人はイチジクの木に引っかかり、狼に育てられます。
16th-century fresco Bologna

「作者不詳  18世紀」
狼と共にいるロムルスとレムスの姿はローマの証となり、今でも
ローマの町のシンボルになっています。一番親しまれている場面は
ここだと思います。歴史の教科書にも載っていますしね。
18th unkown

「Jacques Laurent Agasse 作  1805年」
双子を優しそうに舐める狼。この物語の伝承は紀元前3世紀には
広まっていたとされており、ローマ建国の伝説の古さがうかがい知れます。
Jacques Laurent Agasse, 1805

「シャルル・ド・ラ・フォッス作  1636-1716年」
ある日、狼に育てられていた双子は優しい羊飼いの夫婦に発見されます。
二人は話し合い、この子たちを息子として育てることに決めました。
Charles de la Fosse (1636-1716)

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1615-16年」
羊飼いの夫が双子を発見・・・って、左の人は誰だ!?
父マルスとその愛人ヴィーナスが様子を見に来たのでしょうか。
双子はがっつりと左を向いています。神様は神出鬼没ですね。
Peter Paul Rubens, 1615-1616

「中世の写本の挿絵  年代不明」
羊飼いが無表情、狼がブチ切れ顔、羊さんがミニマム、双子がすまき状態、
中央の白い布はなんだろうという、ツッコミどころ満載の中世挿絵です。
Romulus  Remus

「Nicolas Mignard 作   1654年」
お家に迎えられたロムルスとレムス。若いお姉さん方が大歓迎です。
それからは彼等の家へ貰われていき、すくすくと成長します。
夫婦に他の家族がいることは記述されていませんが、絵画的イメージの
為に人数を増やしたのでしょうか。
Nicolas Mignard, 1654

「セバスティアーノ・リッチ作  1708年」
双子はすくすくと育ち、成人になります。そこで偶然祖父の軍隊と出会い、
二人は自らの出生を知ります。彼等は祖父へついて行き、叔父のアムリウス
を討伐して祖父を復権させます。
1708, Sebastiano Ricci

「ジュゼッペ・チェーザリ作  1568-1640年」
その後、二人は自分が拾われた場所に国を建てようと話し合い、
鳥占いの結果、兄のロムルスが国の支配者になることになりました。
兄は牛で犂を引いて聖域を線引きします。
Giuseppe Cesari

「ドミニク・アングル作  1780-1867年」
不満を持った弟は聖域を飛び越え、兄に殺されてしまいます。足元に
倒れているのがレムスです。ロムルスはローマの建国者となり、
約40年間絶対的な国の支配者になりました。
Jean Auguste Dominique

「二コラ・プッサン作  1633-34年」
伝承の余談にこのような話があります。ローマを建国したロムルスですが、
女性が一向に移住してきません。そこで彼は近くのサビニの女性を
略奪してしまいました。当然男性たちは怒り、戦いになります。
Nicolas Poussin, 1633-1634

「ジャック・ルイ・ダヴィッド作   1799年」
しかし、サビニの女性たちは「親兄弟を失うか、夫を失うか、どちらが
勝っても私は不幸になるから止めて」と両者の戦いに割って入ります。
それからローマはサビニ系の住民も住むようになったと言われています。
Jaques-Louis David, 1799

 北欧神話のフレイとフレイヤ、ギリシャ神話のアポロンとアルテミス、カストルとポルックスのように、双子は個人的には以心伝心で、とても仲が良い印象があります。しかし、鏡合わせのように最もよく似ているからこそ、憎みが生じ、殺し合いにまで発展してしまう場合もあるのかもしれません。
 一説にはミカエルとルシファーも双子とされていますし、北欧神話のバルデルとホズも双子とされています。前者は天使と悪魔の間柄で、全面対決をしていますし、後者はロキの策略ですが、バルデルはホズに殺されています。彼等の場合は、互いに光と闇を象徴していると考えられます。
 神話ではなく、現代に生きる双子でも仲が悪いという人も聞きますしね。同じ学年で生活していると、何かと苦労はありそうです。



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