Paolo de Matteis  1712 -

 受胎告知は新約聖書の物語の一つで、マリアがイエス・キリストを懐妊したことを天使に告げられる話です。
 ある日、処女マリアの元に天使ガブリエルが降りてきます。天使は「おめでとうございます。貴女は神の子を身籠りました」と告げると、彼女はひどく驚いて「私は婚約者のヨセフがおりますが、まだ男の人を知りませんのに、どうして子を産めましょうか」と訊きます。天使は「聖霊が貴女へ降ります。産まれた男子をイエスと名付けなさい。子はやがて王となりましょう」と答えたので、マリアはガブリエルの言葉を信じ、神のみ心のままに従うことを決めました。こうしてマリアは神による「無原罪の御宿り」でキリストを身ごもり、聖母となったのです。
 このエピソードは画家にとても人気のある主題で、たくさんの作品が残されています。受胎告知の絵画15点をお楽しみください。


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「ドイツの彩色写本  1275年」
中世時代の受胎告知。立派な椅子に座ったマリアにガブリエルが
歩み寄り、懐妊することを告げています。
1275 german manuscript

「作者不詳の中世絵画  14世紀」
本を手に持ったマリアを指さし「あなた、宿るよ」と言っているガブリエル。
足元には純潔の象徴である百合の花が置かれています。百合の花は
物語にはありませんが、絵画にはよく登場します。
14th-century unknown painters

「アンブロージョ・ロレンツェッティ作  1344年」
ひざまずくガブリエルの口から、言葉がほとばしっています。
マリアはそれを理解し、受け入れる姿勢をとっています。
Lorenzetti Ambrogio 1344

「フラ・アンジェリコ作  15世紀」
アンジェリコの代表作。虹色の翼をしたガブリエルとマリアは二人とも
手を交差させています。神への誠意を示すポーズなのでしょうか。
この頃から遠近法の萌芽が芽生え始めてきます。
Fra Beato Angelico

「ロベルト・カンピン作  15世紀」
初期ルネサンスの巨匠カンピンも遠近法はぎこちないものの、
奥行き感を出そうとしているのが伺えます。マリア様は読書に
いそしんでいて、ガブリエルの言葉を聞いていないように見えますが・・・。
robert campin

「アレホ・フェルナンデス作  16世紀」
左上には神が浮かんでおり、十字架を持った赤子イエスが舞い
降りてきています。宿る気満々ですね。
Alejo Fernández  16th


「カルロ・クリヴェッリ作  1486年」
彼の作品はとにかく完璧で凄い!遠近感のみならず、装飾の細密さ、
質感に至るまで完璧です。所々に配置された果物や動物、マリアに注がれた
後光までが遠近法にこだわっているのが分かります。
Carlo Crivelli 1486

「作者不詳  1490年」
祭壇画の翼に二人がそれぞれ描かれています。ガブリエルの頭上の
白鳩は聖霊の象徴を表しています。
1490 unknown painters

「サンドロ・ボッティチェリ作   1489-90年」
ボッティチェリの美麗な受胎告知。百合の花を持ったガブリエルに、
うろたえる仕草を見せるマリア。透明な布の描写が美しいです。
Cestello Annunciation - Alessandro Botticelli

「サンドロ・ボッティチェリ作  1445‐1510年」
ボッティチェリはこんな絵画も描いています。
マリアの元へガブリエルが猛ダッシュ!クリヴェリの作品にも似た、
相当な奥行き感のある技巧的な作品です。
→ ボッティチェリの絵画をもっと見たい方はこちら
Annunciazione  Botticelli-1490

「カラヴァッジオ作  1608‐10年」
こちらは飛来して現れたガブリエル。マリアの赤色と青色の衣服は、
慈愛と天への真実を意味します。マリアの多くはその二色の服を
着ていることが分かります。
Caravaggio  1608-1610

「バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作  17世紀」
聖霊の鳩だけではなく、沢山の子天使達が祝福に来てくれました。
絵画の多くは左からガブリエルが来ていたので、これは反対向きです。
画家の利き腕とか関係あるのでしょうか。それか気分?
Bartolomé Esteban Murillo  17th

「Fabrizio Boschi 作  17世紀」
他の画家に比べ、マリア様がぽっちゃりめ。マリアは清楚な美しい女性の
代表格なので、画家の好みの女性が反映されているのでしょうかね。
Fabrizio Boschi, 17th century

「フィリップ・ド・シャンパーニュ作  1644年」
物語では「いつもと変わらぬ日々を過ごしていた日」とされているので、
画家によってマリアのしている事が違います。本を読んだり、
椅子に座っていたり、中には糸紡ぎをしている絵画もあります。
Philippe de Champaigne  1644

「パオロ・デ・マティス作  1712年」
この天使は顔だけなので、ケルビムかセラフィムでしょうか。
胴体まで描くのが構成的に大変という場合に、
こういう表現をする絵画も存在します。それにしてもびっしりいる。
Paolo de Matteis  1712

 カトリック教において、マリアは無原罪の御宿りをした聖母として広く信仰されていますが、正教会、復古カトリック教においては、無原罪の御宿りを認めていません。アダムとイヴから派生した子らは原罪を背負って生きており、イエスが人々の原罪を背負って命を落としたなら、マリアが無原罪というのは変じゃないか!という理屈です。なので、カトリック以外の教義はそこ辺りを曖昧にさせ、聖霊によってイエスを懐妊したマリアという感じに留めています。また、プロテスタントに至っては、聖母マリアを信仰すること自体を否定しています。
 ですが、画家にとっては聖母マリアは大変人気のある、無垢な女性の象徴になっています。

→ 美しい聖母子像の絵画を見たい方はこちら


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