Lundbye  1907 -

 北欧神話に登場するヘイムダルは、アースガルズとミズガルズを結ぶ橋ビフレストの番人です。
 彼は白き神と呼ばれており、知恵や力、五感に優れ、ずば抜けた視力と聴力を持っています。どんな時間帯でも800kmを見渡せ、草や羊の毛が伸びる音が聞えたほどでした。ほとんど眠ることがなく、歯はすべて黄金でできています。始終ビフレストのたもとに座り、世界中を監視して神々の見張り番をしているとされます。
 ヘイムダルはギャラルホルンと言われる角笛を持っており、ラグナロクが到来した際に、それを吹いて皆に知らせる役割を持っています。絵画や挿絵には、大体ギャラルホルンが描かれています。また、彼は人間の階級制度を作った始祖と言われており、貴族、農民、奴隷の三制度を作りました。
 そんな超人的なビフレストの番人、ヘイムダルの絵画と挿絵10点をご覧ください。


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「W.G. コリングウッド作  1908年」
ヘイムダルは神々を父に、9名の巨人の姉妹を母に生まれてきました。
一般的には海神であるエーギルとラーンの9名の娘「波の乙女」と
解されています。波乗りでうぇーいとしているヘイムダルですが、
なんだかとんでもない出生です。
 Collingwood (1908)-

「18世紀のアイスランドの写本」
中世の本を写本したものなので、絵の原典はかなり古いです。
ギャラルホルン以外にカドゥケウスのようなものを持っています。
頭と足には翼が…。あれ、ヘルメス混じってませんか?
Icelandic 18th century heimdall

「中世時代の写本」
もんぺのようなものを履いて、ほっぺが赤い可愛らしいヘイムダル。
見つめていると、なんか愛嬌がにじみ出てきます。
medieval manuscript

「Fredrik Sander's 作  1893年」
羊の頭の付いた兜を被ってポーズを取り、軽いドヤ顔をしています。
個人的にちょっと鼻に付く顔をしているような・・・。
Fredrik Sander's 1893

「ローレンツ・フローリク作  1895年」
彼は常に肌身離さず角笛を持っているイメージですが、そうではなく、
ギャラルホルンはミーミルの泉に安置されています。(諸説あり)
ラグナロクが到来した時に一生懸命取りに行って、角笛を吹くのです。
Lorenz Frolich  1895

「Johan Thomas Lundbye 作  1907年」
ラグナロクの到来の際、三匹の雄鶏が鳴くとされています。ヘイムダルと
雄鶏は関係がありませんが、共に終末を知らせる役目を持っているので、
共に描かれた挿絵も存在します。頭に鶏は可愛いですね(笑)
 Lundbye  1907

「ウィリー・ポガニー作  1920年」
女神フレイヤと夫オーズの間に生まれた娘フノスは、いつもビフレストの
たもとにいました。理由は放浪の旅に出た父を真っ先に見つけたいから。
彼女はよくヘイムダルから万物についての話を聞いていました。
Willy Pogany

「W.G. コリングウッド作  1908年」
彼はリーグと名乗って人間界へ行きました。
三件の家へ泊めてもらうと、その家の妻は懐妊しました。貴族、農民、
奴隷の階級の元となったのが、そこから産まれた息子たちなのです。
 Collingwood (1908)

「ニルス・ブロメール作  1846年」
ロキに盗られたブリージングの首飾りを取り返してフレイヤに返すシーン。
ロキとヘイムダルはどうも折が合わなかったようです。しかし、ロキは
オーディンに命じられて首飾りを盗ったので、悪くはないんですよ~。
Nils Blommér 1846

「Emil Doepler作 1855-1922年」
ヘイムダルはラグナロクにおいてロキと交戦し、互いの胸に剣を
突き刺して相打ちを果たします。
→ ラグナロクについて知りたい方はこちら
Doepler-Heimdallr

 ヘイムダルは謎多き神です。古代には「ヘイムダルの謎」という文献があったようなのですが、永遠に失われてしまいました。
 一説に、彼は世界樹ユグドラシルが神格化された存在とされており、牡山羊の擬人化や、暁光(ぎょうこう)の擬人化とも考えられています。また、ラグナロクが過ぎて世界の再生が行われた時、名前の不明な二人の新たなる神が天上界から降り立って、人々を導くとされています。その中の一人が、ヘイムダルなのではないかと考える者もおります。彼は人間の階級を作った始祖で、名前の由来が「世界を照らす輝き」という事を考えれば、そういう可能性もあるのかな・・・と感じます。ヘイムダルの正体は今後も解明されないかもしれませんが、謎があるのも魅力的で、それでもいいのかなぁと思います。



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