Nicolas Mignard  1651 -

 ハデスはギリシャ神話に登場する冥界の神です。
 ある日、ハデスは馬車に乗って地上に出ていました。すると、お花畑ですこぶる美人な女神がお花を摘んでいるではありませんか。彼女はデメテルの娘、ペルセポネでした。彼は一瞬で一目ぼれをしてしまいましたが、どう声を掛けていいか分かりません。そして、ハデスは勢いのあまり彼女をさらって行ってしまったのです。(一説にはデメテルが嫌いなヴィーナスが嫌がらせの為に、ハデスに恋するように仕向けた) 花を散らして悲鳴を上げるペルセポネ。しかし、その声は冥界の中へ吸い込まれて消えてしまいました。彼女の運命やいかに!?
 ペルセポネをさらうハデスの絵画、13点をご覧ください。


PR
 

「Simone Pignoni 作  1650年」
花を摘んでいたペルセポネに、突然黒い影が忍び寄ります。
「きゃ!?何するの!?」 相手は腕を掴んだまま、何も言いません。
Simone Pignoni  1650

「パリス・ボルドーネ作   1571年」
「やめて、離して!」ペルセポネがどんなに嫌がっても男はその手を
緩めないどころか、掴もうと近寄ってきます。
Paris Bordone  1571

「リオネッロ・スパーダ作   1618年」
「きゃーー!助けてー!」男は無言で彼女を担ぎ上げました。
そのままどんどんと歩み続けます。
Lionello Spada  1618

「Carlo Francesco Nuvolone 作 1630-40年」
その男は冥界の王ハデス。不器用な彼は恋するあまり強行に及んで
しまったのです。自分の妻にすべく、ハデスはペルセポネをお持ち帰り
しようとします。
Carlo Francesco Nuvolone 1630-40

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1640年」
絵画によって、驚いたり止めようとしたりする人物が描き込まれています。
ルーベンスの作品にはニュムペーやアテネのような人物がいます。
Peter Paul Rubens  1640

「Nicolas Mignard 作  1651年」
頭を押して嫌がる彼女にもお構いなしなハデス。
上空では一説に暗躍者とされている、ヴィーナスとエロスが状況を
楽しんでいます。恋は盲目ですね。
Nicolas Mignard  1651

「ローマの墓の絵画  2~3世紀」
ペルセポネさんが垂直になっていてもお構いなしなハデス。
全力で冥界へ向けてダッシュです。
Roman tomb painting, 2nd–3rd century AD

「Jan van Huysum 作  1700年」
冥界へ連れていかれたペルセポネは、ハデスの妃となってしまいます。
一方、母デメテルは行方不明の娘を血眼になって探していました。
捜索の末に、娘が冥界の王の妃となっていることが判明。
Jan van Huysum  1700

「ヘンドリック・ファン・バーレンとヤン・ブリューゲル(父)の共同作品 1530年」
デメテルは大飢饉を起こしながら「娘を返せ」とゼウスに申し立てをしたので、
「ペルセポネが冥界の食べ物を口にしていないなら連れ出そう」と
主神は約束します。早速ヘルメスが冥界へ使わされました。
Hendrick van Balen - Jan Brueghel the Elder  1530

「Charles-Antoine Coypel 作  1720‐30年」
ヘルメスの呼び掛けに、基本いい人であるハデスは渋々了承します。
しかし、ペルセポネは冥界のザクロを数粒食べていました。
食べてしまった理由に、ハデスが勧めたから食べた、とか冥界で孤独な
ハデスが可哀想になって自主的に食べたとか幾つかの説があります。
Charles-Antoine Coypel IV  1720‐30

「ジョゼフ・ハインツ・ザ・エルダー作  1564-1609年」
彼女はザクロを食べたことによって、一年の半分は冥界へ、
残りの半分は神々の元で暮らすことになりました。
絵画は女性だらけのストリーム状態になっていますね。
三名ほどくつろいで見えるのは私だけでしょうか・・・。
Joseph Heintz the Elder

「フレデリック・レイトン作  1830‐96年」
こうして無事に愛娘に再会できたデメテル。この物語は植物の芽生えを
象徴しているという説があります。ペルセポネは土の中でじっと耐え、
地中に出てきて母に再会できるのです。
Frederic Leighton

「Francois Perrier 作  1647-50年」
一方、夫婦となった二人は喧嘩もなく円満な関係になったようです。
オルフェウスやヘラクレスの冥界下りでは、立派な冥界の女王の姿を
見せています。めでたしめでたしですね。
→ オルフェウスの冥界下りの絵画を見たい方はこちら
Francois Perrier  1647-50

 女性をさらう話はローマ神話の建国者のロムルスとレムスにもみられ、その物語でも略奪した男性とされた女性は夫婦となり、救出に来た家族らに「双方が戦争になれば、どちらが勝ったとしても夫か家族を失うことになってしまう。だから止めて」と止めに入っています。
 ヴァイキング時代にも女性を略奪した話があるので、古代においてはよくある事件だったのでしょう。現代ではあまり考えられないことですが、略奪されたその土地に順応することは、女性の生き残る術だったのだと思います。

→ ロムルスとレムスの物語はこちら


  PR