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 ペイズリー修道院はスコットランドのペイズリーという町にある、プロテスタント系の教会です。
 教会の礎は7世紀頃にできたとされ、13世紀頃にエル修道院が建てられました。しかし、何度かの火災にあい、16世紀には修道院は廃墟になってしまいました。それを再建したのが建築家Macgregor Chalmers という者で、修復は1858‐1928年の間に行われました。彼の死後も続けられ、ペイズリー修道院は復活するに至ったのです。
 1900年初頭の再建の際、南西の回廊の上にあった、12体のガーゴイル像は新しく取り替えられました。→ ガーゴイル像について知りたい方はこちら  11体は中世時代にならったガーゴイル像なのですが、残りの1体は何を想ったのか、1979年に上映された有名SF映画「エイリアン」をモチーフにした像を作ってしまったのです。
 ペイズリー修道院の本気とジョークが溢れた12種類のガーゴイルをご覧ください。


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西洋界の「見ざる、言わざる、聞かざる」さんの見ざるさん。
何も見まいと必死に目を隠していますが、服は着ないポリシーなのですね。
口から雨どいの向こう側が見えます。
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言わざるさん。いや、でも口を覆っていないので、口から水がだばだば
出てきてしまいます。三人の中でこの人だけ牙が生えています。
内股の足元から生えた草が可愛いです。
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聞かざるさん。ムンク作の叫びのように耳を押さえ、
悶絶しているように感じます。クロスさせた足が複雑です。
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犬と鷲がドッキングしたかのような怪物。
岩を「重いよ~。助けて~」と一生懸命背負っているように見えます。
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威信も何もない狼さん。牙や口の表現はリアルですが、耳や目、
前足のせいでゆるさが際立っています。口から水が出ていたら
なお残念な感じになりそうですね・・・。
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これは怖ーー!ホラー漫画に出てきそうな感じです。
聞かざるさんとは違って、逆に情報を聞いてとんでもなく驚いて
いるのでしょうか。あの子、彼氏いるの?マジでー!?みたいな?
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蛇の怪物さん。どことなくスマホで電話をして大笑いをしている
ギャルのように見えます。スマホとかかなりデコっていそうですね。←ぇ
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北欧の巨人トロールのように見える怪物。左手は棍棒を持っていて、
右は自分の喉を持っています。手で支えていないと、顎が大きすぎて
呼吸困難になってしまうのでしょうか・・・。
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魚の口からわぁー!!と飛び出ています。魚の口から出る物語はヨナが
有名ですが、西洋ではよく使われるモチーフなんでしょうかね。
→ 魚に喰われた預言者ヨナの絵画を見たい方はこちら
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鎌を持ってフードを被った死神さん。地を見下ろして、次の犠牲者を
探しているようです。でも、表情がどことなく人間味があってユーモラス
に見えます。
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ナイフを持って大笑いをしている狂人さん。ぱっと見たら持ち物がお酒に
見えて、酒豪の人だと思ったらナイフでした。映画で言ったらフレディ系かな?
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そして、異彩を放つエイリアンさんのガーゴイル。
他の作品も決して手は抜いていませんが、このエイリアンの表現の
緻密さは群を抜いています。夜中にこの下を歩いていたら、
頭からがぶりと喰われそうですね・・・。
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 中世時代の修道院の再建にエイリアンをくっつけることは、きっと賛否両論あったことでしょう。「歴史ある建造物にエイリアンを付けるとは何事だ!」という声もあったかもしれません。しかし、現代の私達から見たら数百年前の作品は「文化的な作品」に見えますが、中世時代の人々も当時話題になった怪物をガーゴイルにしていた可能性もあります。このエイリアンも数百年後の人々が見たら、歴史的な作品となりうるかもしれませんね。
(参考HP:Paisley Abbey Wiki)


本物のエイリアンさんはこんな感じです。
エイリアン
(フリー壁紙)



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