Mephisto, 1895  Eduard von Grützner -

 メフィストフェレスは16世紀のドイツで発祥した、ファウスト博士の伝承に登場する狡猾な悪魔です。
 ファウストは実在する人物で、15‐16世紀の占星術師、錬金術師でした。彼は各地を遍歴し、怪しい実験を行った為、悪魔を呼び出したという噂が広がり、伝説が生まれることになったのです。1587年の民衆本「実伝ファウスト博士」が最初の創刊で、ファウスト博士が悪魔メフィストフェレスを召喚し、24年間使役させる代わりに、自らの魂を売ります。彼は大きな富を手に入れ、ギリシャ神話の美女ヘレネと結婚して息子をもうけたものの、期限が切れて魂を奪われてしまいます。この物語はドイツに衝撃を与え、悪魔に魂を奪われて地獄へ落ちるバッドエンド、上手く悪魔から逃れるハッピーエンドなど、様々なバリエーションが生まれました。
 メフィストフェレスは口達者で、嘘つき、忠実なふりをして彼を巧みに堕落させようとします。物語によって設定は違いますが、サタンの忠実な部下で堕天使だったとか、誘惑の悪魔であるとか言われています。17-18世紀にはファウスト伝説は幅広く知られるようになり、1808年になってヴォルフガング・フォン・ゲーテが大作「ファウスト」を発表したのです。
 契約する悪魔の代名詞ともなった、メフィストフェレスの絵画12点をご覧ください。


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「ポール・マシー作  1844-1929」
メフィストフェレスは基本、赤いマントやローブを着た男として描かれます。
ゲーテのファウストには「赤チョッキ」という記述がみられました。
赤という色は欲望や色情を表すので、「美女ヘレネを攫ってきた」という
民衆本の悪魔のイメージの為なのでしょうか。
Paul Mathey

「ジョン・ペティー作  1839–93年」
口八丁手八丁であるメフィストフェレスは、道化役者と混同される場合が
あります。悪魔なので職業は道化ではありませんが、固定観念を揺るがす
不気味な存在である道化と通ずる部分があったのでしょう。
→ 道化師について知りたい方はこちら
John Pettie (1839–1893) Mephistopheles

「Eduard von Grutzner 作  1895年」
狡猾な老道化師といった風情のメフィストフェレス。
ポーズもびしっと決まっており、なかなか素敵に見えます。
Mephisto, 1895  Eduard von Grützner

「アリ・シェフェール作  1848年」
悩めるファウスト博士の上でにんまりと笑っているメフィストさん。
机には文献や髑髏が置かれています。
Ary Scheffer  Faust and Mephistopheles, 1848

「ウジェーヌ・ドラクロワ作  1826-27年」
こちらのメフィストはキザな騎士のような恰好をしています。
彼の名前の由来は諸説あり、「光を愛せざる者」「悪臭を愛す者」
「噓つきの破壊者」などがあります。
Eugene Delacroix 1826-27

「作者不詳  19世紀」
ファウストとメフィストフェレスがチェスをしています。審判者は天使。
ゲーテのファウストにそんな場面あったっけ・・・?昔に読んだから
忘れてしまいました(> <) 思い出せません。
Unknown Artist 19th  Faust and Mephistopheles

「ウィリアム・ヘンリー・マーゲットソン作  1861‐1940年」
二人は魔女が料理をしている元へ行き、ファウストを30歳若返らせる
よう頼みます。鍋をかき混ぜているのは怪物の猿です。こうして
初老のファウストは20歳のぴちぴち青年に変化します。
Mephistopheles~ William Henry Margetson

「Charles Buchel 作  1908年」
若者となったファウストは、メフィストフェレスに連れられて様々な
場所へ向かいます。びゅーんとひとっ飛び!
Charles Buchel FAUST Her Majesty's Theatre 1908

「Sandor Mayer Liezen 作 1839‐98年」
噴水のほとりでグレートヒェンという女性を見かけたファウストは、
彼女に恋をしてしまいましたが、それがグレートヒェンの身の破滅
につながります。黒い衣服に身を包んだメフィストフェレスが、
何かを耳うちしています。
Faust and Marguerite by Sandor Mayer Liezen

「作者不詳  1912年」
また、二人は魔女の宴「ワルプルギスの夜」に参加します。
魔女たちや様々な職業の者達が、現れては消えていきます。
→ 魔女の集会「サバト」について知りたい方はこちら
Little, from Faust and Marguerite 1912

「ジョゼフ・フェイ作  1848年」
しかし、母親と兄を亡くしたグレートヒェンは気が狂ってしまい、
ファウストとの子供を殺してしまいます。牢獄に繋がれた彼女をファウストは
助けようとしますが、悪魔と契約した彼に助けられるのを拒否し、
彼女はそのまま息絶えます。
Joseph Fay Faust und Mephisto im Kerker 1848

「セオドア・フォン・ホルスト作  1834年」
何とも言えない世界観の絵画。闇の中で異形たちがうごめき、
メフィストフェレスやファウストのみならず、グレートヒェンまでもが
ダークサイドに堕ちているように見えます。
Theodor von Holst 1834

 ファウストは期限が訪れてメフィストフェレスに魂を奪われますが、間一髪でグレートヒェンの霊に救われて、彼女と共に天界へ向かい、エンディングとなります。
 もし私がメフィストフェレスを召喚したら、契約期間を48年に延期してもらい、富はほどほどに頂いて創作がゆっくりとできそうな隠居場所が欲しいです。たまに世界旅行や創作のイベントに参加し、地獄のツアー(?)や異郷に連れて行ってもらい、感じたこと見たことを絵画にする。期限の48年が近付いてきたら、地獄の画家として雇ってくれるようお願いしてみます(笑) 貴方をイケメンに描きます!とか画集出して地獄で売ります!とかおだてたらメフィストフェレスは聞いてくれますかね。これは悪知恵の闘いになりそうですね(笑)



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