The Burning of Troy (1759-62)  Johann Georg Trautmann -

 ギリシャ神話で伝えられているトロイ戦争は、トロイ国とギリシャ連合軍との戦争です。
 トロイの王子パリスがスパルタの妃ヘレネをさらったことから勃発し、約10年間続けられました。英雄たちが討ち死にをする中、ミケーネ側の知将オデュッセウスが一つの案を思い付きます。それはトロイの木馬。木製の巨大な馬の中に大量の兵士を潜ませ、策に気付かれないように中に運び入れる算段です。彼等は山の木々や船を用いて木馬を組み立てました。それが完成すると、オデュッセウス以下5名の将軍と、その兵士たちが中に入り込み、蓋が閉じられました。

 そして次の日。トロイ側は連合軍がいなくなり、巨大な木馬が残されているのを発見しました。彼等は連合軍側の者を発見して拷問してみたところ、彼は「木馬はアテネの怒りを鎮める為に作った。だが、我らは逃げざるを得なかった。これを城内に入れると、勝利がもたらされると予言に出た」と言いました。トロイ側はこれを信じ、城内に搬入しようとしました。王女カサンドラと神官ラオコーンが「それは嘘だ」と反論しましたが、海から出て来た蛇により彼と息子たちは殺されてしまいます。カサンドラは呪いを受けていた為、信じる者は誰もいませんでした。かくして木馬は城内へと入れられ、アテネ神殿に奉納されました。その夜は大規模な祝宴が催され、トロイの勝利が祝われました。

 彼等が寝静まった頃、オデュッセウスたちは木馬より脱出し、松明で連合軍に合図を出します。そして、彼等は内部からトロイを攻め、王を討ち取りました。こうしてトロイ王国は滅亡してしまったのです。
 トロイの木馬に関係する絵画と彫像13点をご覧ください。
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ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ作 1760年」
オデュッセウスが見守る中、トロイの木馬が建設されています。
1760 giovanni domenico tiepolo

ジョン・レッジゲイト作の本の挿絵  1370‐1451年」
木馬は完成し、オデュッセウスらが中に乗り込みます。中に入り込んだ
人数は十名程度と考えられていますが、木馬が非常に巨大だったこと
を考えると、もう少し入っていたかもしれません。
John Lydgate, Troy Book (British Library)

「写本挿絵 イギリスのフィッツウィリアム美術館蔵」
トロイ側は「女神アテネを鎮める為に作った木馬で、ギリシャ側は
撤退した」という言葉を信じ、木馬を中に入れようとします。
しかし、横から反対の声が・・・。
The Wooden Horse Fitzwilliam Museum

「エル・グレコ作  1604 - 14年」
木馬を入れてはならぬ!敵の策略じゃ!と言ったのは神官ラオコーン。
彼は木馬に槍を突き刺してそれを証明しようとしますが、海から現れた
巨大な蛇によって息子二人と共に殺されてしまいます。
エル・グレコ ラオコーン1604 - 14

「アゲサンドロス、アテノドロス、ポリュドロス作  ラオコーン像」
見事な肉体のこのラオコーン像は、超有名ですね。
ラオコーンらの死により、「アテネの祟りだ!」とトロイ側は完璧に信用しました。
アゲサンドロス、アテノドロス、ポリュドロス

ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ作  1773年」
巨大な木馬をよいしょよいしょと運ぶトロイ市民。現代の感覚で言えば
「どうして騙される?」と思うかもしれませんが、神の力は偉大であり、
絶対的なものだったのでしょう。
Giovanni Domenico Tiepolo 1773

「写本挿絵  14世紀  フランスの国立図書館蔵」
木馬は余りに大きかった為、城門を壊して中へ引き入れます。木馬は
アテネの神殿に奉納され、勝利の宴会が催されます。
内部で声も出せずにじっと待っていた将軍たちは、狭いし暗いし揺れるし
で大変だったことでしょう。私だったら酔って吐いてる。
Bibliothèque nationale de France 14

「写本挿絵  14世紀  フランスの国立図書館蔵」
夜になって市民が寝静まった頃、木馬の蓋がぱかっと開きます。
そこからオデュッセウスらが出てきて、松明を灯して仲間に合図を
出しました。連合軍側は彼等の手引きで内部に侵入します。
Bibliothèque nationale de France 14-

「挿絵  16世紀  フランスのブロワ美術館蔵」
ギリシャ側は街中を荒しまわりました。反抗する者は剣で切り伏せ、
子供や女性の泣き声が響き渡りました。手前にいる人物は、混乱を
無事に逃げ延びた将軍アエネアスと家族です。
The Siege of Troy (Musée des Beaux-Arts, Blois, 17th)

「 Kerstiaen de Keuninck 作  17世紀」
セピア色の街の中、奥に木馬があり、左には犠牲者が横たわっています。
右側にアエネアスが脱出を図ろうとしているのが描かれています。
17th  Depiction of the Fire of Troy by Kerstiaen de Keuninck

「モンス・デジデリオ作  17世紀」
闇の中火の手があちこちから上がり、大混乱が起こっています。
中央にぼんやりと木馬の姿が見て取れます。燃え行くトロイの街並みを
リアルに描いた作品です。
→ モンス・デジデリオの絵画をもっと見たい方はこちら
monsu-desiderio2

「Johann Georg Trautmann 作  1759-62年」 
メラメラと燃える町に倒れる人。建物や人物はいずれもシルエットに
なっており、大混乱というよりも一種の静けさを感じます。
The Burning of Troy (1759-62)  Johann Georg Trautmann

ジュール・ジョゼフ・ルフェーブル作  1861年」
城内へと侵入した彼等は権力者を討ち取っていき、遂にトロイの王
プリアモスはアキレスの息子ネオプトレモスによって殺害されて
しまいます。こうしてトロイの王国は滅亡してしまったのです。
プリアモスの死 1861 Jules Joseph Lefebvre

 トロイの木馬の大きさは幾つかの説があるものの、約縦12m、横幅10mとされています。ビルで言えば三階の天井辺りかなと思います。現代から見れば小さい?と思うかもしれませんが、コロッセオの高さが約48mだと比較すると・・・。あれ、ちょっと小さいですかね? パンテオン神殿の高さが約43mだとすると・・・あれ、やっぱり小さい?(笑)
 まぁ、戦争の最中にこっそりと隠れて作製した木馬で10mものサイズだとすると、かなり大きいのではないでしょうか。

→ オデュッセウスの冒険の絵画を見たい方はこちら


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