antichrist 16th -

 反キリストは邪悪なる偽の救世主のことを指します。
 キリストが善なら彼は悪。真実に反し、悪魔の具現化した存在だとされています。反キリストを象徴している獣の数字666は有名ですね。ヨハネの黙示録において、反キリストと悪の王たちは嘘の説教で人々を惑わせて世界を掌握し、真実を捻じ曲げようとしますが、ハルマゲドンへ赴いた彼等は激しい雷と地震に巻き込まれます。絵画の中では反キリストは赤い龍や大悪魔サタンと混同され、聖ミカエルに踏み付けられる反キリストの作品も存在します。(→ ヨハネの黙示録について詳しく知りたい方はこちら)
 また、広義に言えばキリストの教えに背き、宗教的に対立している者達を全て「反キリスト」とみなします。異教の者達や、ロシアの君主、はたまたローマ教皇でさえ「反キリスト」の烙印を押された者もいます。彼は言うなれば、キリストと敵対する悪の象徴的な存在です。
 邪悪なる反キリストの絵画、14点をご覧ください。

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「作者不詳 木版画  1450年」
反キリストの誕生の挿絵。これは二人同時に産んだのではなく、聖なる
誕生と邪悪なる誕生を比較した絵でしょう。帝王切開をした子供は天使
が手を差し伸べているのでキリストで、口から出た子供は悪魔が産婆を
やっているので反キリストでしょうか。
Birth of the Antichrist Anonymous Woodcut 1450

「ドイツの書籍挿絵  1521年」
指導者の在り方を比較した作品。左側はキリストが弟子ペトロの足を
洗っている場面。右は反キリストの王が部下にひざまずかせ、足に
接吻をさせている場面。人の上に立つ者は傲慢ではいけないという
メッセージが込められているように感じます。
Christus wascht die Füße seiner Jüngers (1521)

「中世の写本挿絵  12世紀」
反キリストの作品と紹介されていましたが、内容はよく分かりません。
人を燃やしている男に、「俺にもやらせて」と言っているように自分を
指さしています。目障りな者は排除だぜ!という感じでしょうか。
12th century Antichrist

「ルカ・シニョレッリ作  1500年頃」
キリストそっくりの容姿をした者が、壇上に立って説教をしているよう
ですが、その傍らにはスキンヘッドの悪魔が耳うちをしています。よく
見ると、反キリストの頭にも角のようなものが生えています。
antichrist  luca signorelli  1500

「中世絵画  1270年」
サタンの軍勢を描いた作品。邪悪で黒づくめの悪魔や猿人、騎士、
道化などがひしめき合っています。反キリストもこういった邪なる
者達を率い、聖なる存在に立ち向かったことでしょう。
Douce Apocalypse, Satan’s army, 1270

「中世写本の挿絵  1151年」
左下の空中浮遊をしている半怪物の人物が反キリストです。
彼は悪魔を呼び出し、人々を混乱に陥れようとしています。
上の絵画は怪物たちが地下に縛られ、キリストの千年王国が
生じたことを示しているのでしょうか。
Antichrist from Hildegard von Bingen’s Scivias 1151

「中世写本の挿絵  12世紀」
海の怪物レヴィアタン(リヴァイアサン)に乗った反キリスト。
牙が生えた怪物は火を吹き、竜のような姿をしています。
この図像はしばしば描かれています。
the Antichrist riding Leviathan 12th

「作者不詳  16世紀」
こちらもレビアタンON反キリスト。
レヴィアタンは巨大な魚やワニ、クジラ、蛇、竜の姿で描かれることが
多いのですが、この作品はカバ(?)のような姿をしていますね。
antichrist 16th

「中世絵画  1270年」
キリストVS反キリスト。怪物たちも善悪に分かれて火花を散らしています。
ですが、反キリスト側はなんだかもめ事を起こしているようです。
キリスト側が強そうで怖気づいたのでしょうか。
赤い竜の尻尾の子が暇そうにしています。
Douce Apocalypse  1270

「Jaume Huguet 作  1455‐60年」
反キリストとサタンは混同されている部分があり、こちらの作品は
聖ミカエルに倒されているのは反キリストになっています。
頭に槍を向けられて踏み付けられた反キリストは、
観念したように目をつむっています。
Jaume_Huguet Michael_Vanquishes Antichrist 1455-60

「中世絵画 年代不明」
ミカエルが槍と聖書を持ってラッパを吹きながら、馬に乗っているという
器用なことをしています。足元の怪物はサタンのようですが、反キリスト
とも紹介されていました。悪の具現化ですね。
Archangel Michael triumphing over Antichrist

「ルーカス・クラナッハ(父)作  16世紀」
プロテスタント派だったクラナッハは、煌びやかな装飾をまとい、
汚職が蔓延するローマ教皇を批判的に見ていました。人々の寄付金
を見てにやにや笑う教皇は、反キリストの象徴として描かれています。
Passional Christi und Antichristi  Lucas Cranach the Elder

「書籍挿絵  15世紀」
教皇アレクサンデル6世を反キリストに見立てて怪物にした、痛烈に
皮肉った作品。彼は贅沢の限りを尽くし、何名もの愛人を持つという堕落
しきった生活をしており、批判者が多くいました。彼の遺体は粗末な布に
巻かれ、安っぽい棺桶に入れられたそう・・・。
Protestant View of Pope Alexander VI as  Antichrist -15th

Cristóbal de Villalpando 作  1691年」
この絵画は聖フランシスが反キリストを倒す場面なのですが、明らかに
他と様子が違います。反キリストはイスラムの者の姿をしています。
敵対している異教は絶対悪だということが、如実に表れていますね。
1691 cristóbal de villalpando

 ヨハネの黙示録において、反キリストは獣の数字を持つ邪悪なる者とされていますが、一体誰なのでしょうか。ネロ帝やアドルフ・ヒトラーなど、様々な説が取り立たされておりますが、はっきりしたことは分かっていません。まだ出現しておらず、これから台頭するという説もあります。
 現代では「キリスト教の正反対なる異端的存在」というより、「世界の終焉を引き起こす邪悪なる存在」に変化しているように感じます。「反キリストはこいつだ」「いや、あいつじゃないのか」と、日本でも噂はまことしやかにささやかれており、なんと、とある日本人が反キリストではないかという話まであります。「反キリストは現在、裏で世界を操っている」という噂もあり、この概念は一人歩きして、段々とオカルト化していっているように感じますね。まぁ、そういうオカルティックな話も嫌いではありませんが・・・(笑)



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