Death of Achilles  Peter Paul Rubens 1630-35 -

 アキレスはギリシャ神話のトロイ戦争に登場する英雄です。
 母テティスによってかかとを除いて不死となった彼はケイロンに養育され、立派な青年になります。トロイ戦争に参加することになったアキレスは総大将アガメムノンともめ、険悪な仲になってしまいます。それ以降彼は戦いに出陣しなくなり、ギリシア側は総崩れとなってピンチに陥りました。それを見かねた親友パトロクロスは彼の鎧をこっそりと借り、アキレスと偽って戦争に出ました。戦況を盛り返したものの、パトロクロスは大将ヘクトルによって討ち取られ、鎧を奪われてしまいます。大親友がヘクトルに殺されてしまい、大激怒をするアキレス。彼はヘクトルに一騎打ちを挑み、圧倒的な強さで倒してしまいました。怒り収まらぬアキレスはヘクトルの遺体を戦車に取り付け、そこら中に引きずり回しました。
 それからアキレスは次々と敵将を討ち取っていきますが、ヘクトルの弟のパリスによって弱点であるかかとを射られ、絶命してしまいます。(一説にはアポロン神) その後、息子のネオプトレモスがトロイの王プリアモスを討ち取り、トロイは陥落したのでした。
 親友の死からヘクトルの討伐、アキレスの死までの絵画12点をご覧ください。
→ アキレスの幼少期と戦争以前の絵画を見たい方はこちら

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ギャヴィン・ハミルトン作  18世紀」
アキレスの鎧を無断で借りて戦場へ赴いたパトロクロスは、大将ヘクトル
によって殺されてしまいました。親友の亡骸を見て嘆き悲しみ、怒り狂う
アキレス。その憤慨ぶりは鬼気迫るものがありました。

Achilles Mourning Patroclus by Gavin Hamilton

ディルク・ファン・バビューレン作   1594-1624年」
アキレス激おこぷんぷん丸です。この単語のネタってどこ由来だろう
と思って調べたら若者言葉から派生したという説が出てきました。
レベルMaxは「大噴火レジェントサイクロンフレアァァッ‼」のようです。
アキレスはまさにそんな状態だったのでしょう。(参考HP)
Dirck van Baburen Wijk bij Duurstede 1594-1624

アンリ・ルニョー作 1866年」
そんな大噴火状態の彼に、「これを使いなさい」と母テティスの登場。
鎧はヘクトルに奪われてしまっていたので、新しい武具を手渡すのです。
母は女神なので何処へでも現れます。
Thetis  arms Vulcan 1866 Alexandre Georges Henri Regnault

「ニコライ・ゲー作  1855年」
親友の死を嘆き悲しむアキレスの傍らに、武具を持ってそっと寄りそう母。
この作品は怒りよりも悲しみを重点的に描いています。
ちなみに「ガチしょんぼり沈殿丸」という派生語も存在するとか。
知らなかったです・・・。いっぱいあるんですね。
Achilles and the body of Patroclus 1855 Nikolai Ge

ベンジャミン・ウエスト作  1804年」
新しい武具を渡す絵画が思ったよりも多かったですね。
あと、パトロクロスの容姿が美青年のような感じに描かれている作品が
幾つか見られるのが気になるところ。噂によると、二人は親友以上の
関係だったとか。真意は果たして・・・。
 Benjamin West (1738–1820)

ベンジャミン・ウエスト作  1806年」
ウエストさん二作目。おおっと驚く兵士数名が描き加えられました。
こちらは何故かパトロクロスの顔を描いていませんね。
遺体にそっと置かれる手が、心霊現象になっているのですが・・・。
ん?それかパトロクロスの手なんですかね?
 Benjamin West

ギャヴィン・ハミルトン作  1723 - 98年」
アキレスは大将ヘクトルに一騎打ちを仕掛け、倒してしまいます。
怒り収まらぬ彼は亡骸を戦車に括り付け、そこら中引きずり回し、
さらし者にしました。
GAVIN HAMILTON 1723 - 1798

「Joseph Barthelemy Lebouteux 作  1769年」
未だ怒りが収まらぬアキレスは、遺骸を持って来て「ほら、お前の仇を
取ってやったぞ!」と指を指しています。また、更にパトロクロスの霊を
慰める競技会を開き、そこでも亡骸は見世物にされました。
ここまでくるとやりすぎ感がありますね・・・。
Hector Patroclus 1769 Joseph Barthelemy Lebouteux

「ドイツ出身の画家作  17世紀」
その後、アキレスはアマゾンの女王ペンテレシイアと戦って討ち取ります。
彼女は美しい女性であった為、彼は殺害したことを後悔したそうです。
そのことを笑った仲間テルシテスにキレて、思わず殺してしまったとか。
アキレスはキレると何でもやらかします。
German School, late 17th Achilles and the dying Penthesilea

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1630‐35年」
しかし、そんなアキレスにも最期は訪れます。
王子パリスは兄の仇を討とうと、弱点であるかかとに矢を打ち込んだ
のです。アキレスは立ち上がってなおも戦い続けようとしますが、
そのまま絶命してしまいました。
Death of Achilles  Peter Paul Rubens 1630-35

ピエール=ナルシス・ゲラン派の画家作   1820年」
かかとに射られただけで死ぬのは変だ!と思ったのですが、どうやら
毒矢であったようです。不死の身体は攻撃を弾いても、かかとから
毒を入れ込まれたら全身に回ってしまうんですね・・・。
Circle of Pierre-Narcisse, Baron Guerin Death of Achilles 1820

「ギャヴィン・ハミルトン作  18世紀」
パリスを守護しているのはヴィーナスだと思ったのですが、ムキムキ
ですね。アキレスを射ったのはアポロンともされているので、アポロン
の方ですかね。でも、顔や髪が女性に見えるけど・・・。
うーん。ヴィーナスとアポロンが合体したのかな?←ぇ!?
The Death of Achilles 18th Gavin Hamilton 1723-98

 アキレスの死の絵画が多いかと思いきや意外に見つからず、パトロクロスの死に憤慨するアキレスの絵画が圧倒的に多かったです。あと、ヘクトルとアキレスが戦っている作品より、ヘクトルを引きずり回している作品が多くみられました。(ヘクトルの絵画で幾つか掲載しております)
 かかとに射られて絶命したり、決闘のシーンより、親友の死に嘆き悲しんだり、敵将を引きずるシーンの方が劇的で英雄としてのアキレスが浮き彫りにされるから題材として選ばれやすかったのかな、と感じました。(母テティスが武具を手渡す作品も多かったですが、女性も入れた方がいいかなという想いなのでしょうかね・・・)

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