Pedro Américo -

 「ハムレット」は1600年頃に書かれた、シェイクスピア作の悲劇です。
 デンマーク王が急死をすると、弟クローディアスが王位に就き、王妃と結婚します。父親の死と母の再婚に深く悲しむ王子ハムレットは、従者から夜に王の亡霊が現れると聞き、その場へ向かいます。父の亡霊に会ったハムレットは「私は弟に毒殺をされた」と真実を告げられました。彼は父親の復讐の為に狂気を装い、事件の証拠を掴もうと探りを入れます。王子の変貌に人々は心配し、宰相ポローニアスは娘オフィーリアに原因を突き止めるよう言いました。彼女はハムレットの恋人でした。そんなオフィーリアにも王子は冷たく当たり、彼女は深く傷付きます。

 やがて、毒殺の証拠を掴んだハムレットでしたが、母と会話をしているところを聞いていたポローニアスを刺し殺してしまいます。そして、オフィーリアは重なる悲劇に心を乱し、事故で溺死をしてしまい、兄であるレアティーズは怒り狂い、父と妹の仇を取ろうと考えます。王クローディアスもレアティーズと結託してハムレットを殺そうと画策します。毒剣と毒入りの酒を用意し、剣術試合に招いてハムレットを殺そうとしたのです。しかし、毒の酒を王妃が誤って飲んで死亡、ハムレットとレアティーズは毒剣で互いを傷付けてしまいます。ハムレットはレアティーズと和解してクローディアス王を殺し、この事を後世に伝えて欲しいと親友に頼み、命を落とします。
 四代悲劇の中の一つに数えられる、ハムレットの絵画12点をご覧ください。

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「フランシス・ヘイマン作  1708-76年」
悲劇ハムレットの演技をしている作品。王の広間でハムレットが狂気
じみたことをしゃべっている場面でしょうか。実際に劇場に足を運んで
描いたのでしょうね。
フランシス・ヘイマン 演技シーン 1708-76

ダニエル・マクリース作  1842年」
こちらも舞台上でハムレットの演技をしている作品。ハムレットは
デンマークの事績に掲載されている伝説の人物アムレートを下敷きに
しているとされています。北欧のサガは読んでいると血みどろです・・・。
Daniel Maclise  The Play Scene in  Hamlet'' exhibited 1842

ペドロ・アメリコ作  1843-1905年」
エルシノアの城壁にて父親の亡霊と会うハムレット。
霊は弟のクローディアスによって、寝ている間に耳の後ろに毒を塗られて
暗殺をされたことを語ります。
その後、ハムレットは復讐を決意し、狂気を装うのでした。
Pedro Américo

ベンジャミン・ウエスト作  1792年」
何故ハムレットが狂気に陥ってしまったのかを知る為、恋人オフィーリア
は尋ねますが、彼はオフィーリアに酷い言葉をぶつけ、「修道院へ行け」
と有名な言葉を吐きます。
Benjamin West 1792

「ジョン・リチャード・コーク・スマイス作  19世紀」
狂気は王妃である母親にも向けられ、親子は言い争いになります。
壁飾りの裏でポローニアスが「誰か来てくれ!」と言おうとした時、
ハムレットは「ねずみが、死ぬがいい!」と宰相を刺し殺してしまいます。
Coke Smyth 19th

「ウジェーヌ・ドラクロワ作  1854-56年」
ポローニアスの亡骸を前にするハムレット。彼は宰相をクローディアス
だと思って刺したのでした。「運が悪かったな、あばよ」と彼は軽ーく
言葉を残します。それは酷すぎるような・・・。背後では王妃が悲しんでいます。
ドラクロワ

「ウィリアム・ソルター・ヘンリック作  1807-91年」
またもや親子は言い争いになり、ハムレットは暗殺した相手と
再婚した母親の不節制をなじります。そこで現れたのが父の亡霊。
ハムレットは「あの姿が見えるか!」と言いますが、母には全く
見えていません。
William Salter Herrick

「Nicolai Abraham 作   1743-1809年」
「それは想像の産物よ」という母に対し、ハムレットは自らの正しさを
力説しようとします。母の容姿が半抽象的で、独特の描き方をしていますね。
どうやらフュースリに影響を受けているようです。
Nicolai Abraham

「ヨハン・ハインリヒ・フュースリ作  1785年」
こちらがフュースリの作品。彫像のような父の亡霊を目の当たりにした
ハムレットは頭を総毛立たせて狂気に陥っているように見えます。
→ フュースリの絵画をもっと見たい方はこちら
FUSELI, John Henry  1785

W・G・ウィルズ作  1828-91年」
ポローニアスが死に、オフィーリアは気がふれてしまいます。その姿に
兄レアティーズは悲しみ、父の復讐を深く誓い、クローディアスと共に
ハムレットを倒す計画を考えます。
Ophelia and Laertes by William Gorman Wills

「ジョン・エヴァレット・ミレー作   1852年」
しかし、その直後、オフィーリアが誤って川に落ちてしまい、溺死して
しまったのです。葬儀の際にハムレットが乱入し、レアティーズと大喧嘩に
なります。
ジョン・エヴァレット・ミレー  1852

「作者不詳  20世紀頃の挿絵」
剣術試合にて王子を殺めようとしたものの、毒盃を飲んだ王妃は死亡、
レアティーズとハムレットは毒の剣で互いを傷付け、クローディアスは
ハムレットに殺されます。顛末を後世に伝えるよう従者ホレイシオに頼み、
彼は息を引き取るのでした。
hamlet

 シェイクスピアの四大悲劇は「ハムレット」「オセロー」「リア王」「マクベス」です。
 そのいずれも愛と欲望、権力と嫉妬、疑惑と狂気に彩られ、王家の者達はバタバタと命を落としていきます。ハムレットは人間の闇や愚かさ、弱さ、浅ましさが皮肉や滑稽さで紡がれ、物語が構成されていますね。悲劇事態は嫌いではない(むしろ興味ある)のですが、どうしようもなく救いようがない悲劇は後味が悪いし、なんだか虚しくなってきます。でも、それだけシェイクスピアは人間の本質を見抜き、鋭い視点を持って物語を作ったのだと思います。上手い起承転結で感動的なラストだと、作為的なものを感じさせます。復讐や欲望の感情がいくところまでいって、悲劇を起こすのは非常に現実的な事だと思います。だからシェイクスピアの劇は現代まで愛され、上映され続けているのかもしれません。
 ですが、せめて完全な被害者であるオフィーリアだけでも救ってあげて欲しいように思います・・・。

→ オフィーリアについての絵画を見たい方はこちら


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