Mattia Preti (Il Cavaliere Calabrese), Francis Xavier 17th -

 おそらくこの名を知らない人はいないのではないでしょうか。フランシスコ・ザビエル(1506-52)はカトリック教の宣教師であり、イエズス会の創設者の一人です。また、キリスト教を日本で始めて伝えました。
 彼は現在の北スペイン辺りにあるナバラ王国で地方貴族の家に生まれました。パリ大学に留学し、聖バルブ学院に入っている時、イグナチオ・デ・ロヨラと出会います。彼から強い影響を受けたザビエルは聖職者になることを決意。そして感銘を受けた青年らが集まり、ロヨラを総長にして「巡礼と奉仕、教皇が望むところ何処へでも行こう」と誓いが立てられ、イエズス会が創立されました。

 世界への宣教を目的にしていたイエズス会はポルトガル王ジョアン3世の依頼で、早速インド西海岸のゴアへ旅立ちます。ゴアへ着いた彼等は布教を開始し、そこで日本人と出会いました。ザビエルらは彼の導きで日本を目指し、鹿児島県へ到着します。薩摩国の大名、島津貴久に宣教の許可を得て布教を行い、キリスト教の良さを伝えますが、仏僧との折り合いが悪くなり、肥前国、周防国、京の国へと渡っていきます。徐々に信徒は増えていき、600名程になったと言われています。日本滞在から二年後、ザビエルらは一旦インドへ戻り、日本で布教するには文化に影響を与えている中国から行う方がいいと判断し、中国へ渡ります。しかし、中国への道筋は思いのほか険しく、ザビエルは病を患ってしまい、志半ばで息を引き取ってしまいました。享年47歳でした。その後、遺体はマラッカ経由でゴアに移されて安置され、70年後に聖人として数えられるようになりました。
 異国の地で布教を精力的に行ったフランシスコ・ザビエルの絵画13点をご覧ください。

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「作者不明  17世紀初期」
みんなが知っているザビエル像。ザビエルの死後80年に日本人絵師に
よって描かれたそうです。頭頂部が禿げているのはカトリック修道士が
する髪形、トンスラ(剃髪)とされていますが、少し形が違います。
どうやら日本人絵師が想像とノリで描いてしまったようなのです・・・。
17世紀初期 作者不明

「ペルーで描かれた作品  17世紀」
そして、イエズス会はトンスラをしていなかった可能性が高いという
衝撃的な事実があります。ザビエルはハゲではなかったのです!
ハゲは濡れ衣だったのです!(?) こちらのザビエル像は髪の毛が
もっさり生えていますね。
 Francis Xavier, 17th century

「作者不詳  19世紀」
手に持った杖やホタテ貝のブローチは巡礼者を意味します。
若い頃は聖地イスラエルへの巡礼を夢見ていましたが、それは叶い
ませんでした。その無念さをバネにして、他国の宣教に力を入れたの
かもしれません。
Unknown Artist  19th

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作  1670年」
ザビエルが手に持っているのは炎の心臓で、信仰心と布教の情熱を
象徴しています。上空に飛んでいる天使はケルビムかセラフィム。
心臓やケルビムなどの構成は、一枚目の有名ザビエル画と似ています
が、お顔と髪形が全然違いますね。
Bartolomé Esteban Murillo, Saint Francis Xavier, 1670

ミゲル・カブレラ作  1695-1768年」
こちらのザビエルさんは手にホタテ貝を持っていますね。巡礼者の中の
最上級といった感じでしょうか。目線は神の住まう上空へと向けられて
います。彼の右側にいる男性は改宗者だと思います。
Miguel Cabrera

マッティア・プレティ作  17世紀」
美しい天使に囲まれたザビエル。右側のラテン語は手で隠れていて
分かりませんでした。ただ、DOMINEは主(キリスト)を意味するようです。
天使が持つ百合は純潔の象徴でマリアを意味します。日本を聖母
マリアに捧げたそうなので、それと関係あるのでしょうか。
Mattia Preti (Il Cavaliere Calabrese), Francis Xavier 17th

「José Avelar Rebelo 作  1635年」
ポルトガル王ジョアン三世と話すザビエル。インドのゴアはポルトガルの
植民地であり、そこの異教徒たちへ布教して欲しいと王は依頼しました。
ん、でもこの絵画のザビエル禿げているような・・・?
taking leave of King John III (1635) - José Avelar Rebelo

「Antoine Plamondon 作  19世紀」
インドの地で布教をするザビエル。ゴアでも改宗した者は数多く
いました。インドでの説教という題なのに、9割方が白人という
ミステリー・・・。右端のおじさんくらいしかインド感が感じられません。
 Francis Xavier Preaching in India  Antoine Plamondon

「André Reinoso 作  1619年」
インドの地で奇跡を起こすザビエル。真実の程は分からないものの、
彼は行く先々で病気を治す奇跡を起こしたと考えられていました。
言い方は悪いですが、聖人は誰もが奇跡を起こす存在と考えられていた
ような気がします。(だから聖人と呼ばれるのですけれど・・・)
André Reinoso, The Miracle of Saint Francis Xavier (1619)

「二コラ・プッサン作  17世紀」
画面中央で白い服を纏い、後光がある人物がザビエル。絵画に関係
ありませんが、ザビエルは航海中に十字架を落としてしまい、目的地に
着いた時にカニがその十字架を持ってきたという面白い逸話があります。
カニさん可愛いですね。
二コラ・プッサン 17th

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1617年」
ルーベンスもザビエルの奇跡を描いています。連なる人物たちの中、
病気で死にそうな人がちらほらおり、右側でザビエルが神のパワーを
発しています。画面背後の悪魔のような胸像が気になるところです。
Peter Paul Rubens The Miracles of  Francis Xavier  1617

カルロ・マラッタ作  18世紀」
インドから日本へ、そして中国へ行ったザビエルでしたが、中国の
上川島で病死してしまいました。インド人(アメリカっぽい…?)や白人、
中国人(?)の人々がザビエルの死を悼んでいます。

 Francis Xavier, 18th Carlo Maratta

「Giovanni Battista Gaulli 作  1676年」
ザビエルの遺体はゴアに移されましたが、ちょっとバラされて世界へ
聖遺物として散らばっています。なんと東京にも胸骨の一部がある
のだとか。ゴアでは10年に一度遺体が公開されており、次回は2024年
に公開予定となっております。
Giovanni Battista Gaulli (Il Baciccio) Death 1676

 想像していたよりザビエルの絵画は多くみられました。ルーベンスも彼を描いていたんですね。16世紀に生きたザビエルが17世紀の画家に描かれているなんて、いかに昔から人気の高い聖人であったかが分かります。伝道師、航海士、大学などの守護聖人でもあります。
 それなのに、日本であのハゲ頭の姿が歴史の教科書で掲載されたばかりに、違う意味で有名となってしまったザビエルさん。数多くの生徒に落書きされ、ネタにされ、某ゲームにおいて「これは奇跡なのデース!」とか言っている、そっくりというかそのまんま状態のキャラが登場しました。聖人信仰は根強く残っていますから、あれは信仰している人から見たら、マジ激怒のレベルのような気がしますね。カプ〇ンさん、罰が当たらなければいいですけれど・・・(^^;
 ハゲじゃないのにハゲって言われて可哀想すぎます。もし教科書に載った作品が違うものであったら、日本に対するフランシスコ・ザビエルの見方はがらりと変わっていたのかもしれませんね。



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