フアン・デ・フランデス  1514 -

 ラザロは死を迎えたものの、キリストによって復活した聖人です。
 「ヨハネによる福音書」によれば、ある日キリスト一行は友人であるラザロが病気であるという知らせを受けます。彼等は急いで駆けつけたものの、既に手遅れとなり、死後4日が経っていることを知りました。キリストは大層悲しんで涙を流しましたが、墓の前に立ってラザロの妹マルタに「石を取り除けて欲しい」と言います。彼女は「4日目なので臭っておりましょう」と拒否しようとしますが、キリストは「信じるなら神の栄光が見られます」と答えました。人々が石をどかすと、キリストは「ラザロ、出てきなさい」と言いました。するとどうでしょう。死んだはずのラザロが何事もなかったかのように、布を巻いたまま歩いて来たではありませんか。この復活を見た人々は仰天し、キリストの奇跡を信じたとされています。
 伝承によるとラザロはその後、トルコ南に位置する島キプロスの主教になったとされています。キプロス島にある聖ラザロ教会の地下にラザロの墓地があります。別の伝説ではマルタと末妹マリア(聖母とは別人)と共にフランスの都市へ着き、マルセイユで布教に臨んだとされています。
 キリストの奇跡の一つ、ラザロの復活の絵画14点をご覧ください。

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「作者不明  中世絵画」
「ラザロ、出てきなさい」と言った途端、本当に出てきちゃうラザロさん。
包帯でぐるぐる巻きにされているので、歩くのが難しそうです。
キリストの前にいる二人の女性はラザロの妹マルタとマリア。
The Raising of Lazarus

「作者不詳  ビザンツ帝国の作品  14-15世紀」
フレスコ画のラザロは包帯がほつれているので、どうにか進めそうです。
棺桶の上蓋を運んでいる男性、妹さんたち、キリストの遠近感を
見ていると中世の独特な空間法が見れて面白いです。
Byzantine (14-15th)

「作者不詳 モザイク画 6世紀」
ラザロさん、芋虫のようなお姿になられております・・・。
unknown-artist-the-raising-of-lazarus  6th

「作者不詳 スペイン東部のカタロニア地方の作品」
微笑むラザロさんが不気味めいている・・・!
手を合わせながら笑顔で棺桶から脱出しようとしています。
周囲の人々の顔のサイズ感もまちまちで不気味めいている・・・。
unknown century Catalan artist

アルベルト・ファン・アウワーテル作  1445年」
初期フランドル画家の彼は立体的で美しい作品を残しています。
棺桶ではなく、教会の床に開けられた棺というのが斬新ですね。
ルネサンス以降、ぐるぐる巻きのラザロの姿は失われてしまいます。
Ouwater, Aelbert van - The Raising of Lazarus -  1445

「フアン・デ・フランデス作  1514年」
ちょっとまだゾンビ色のラザロさん。妹の一人が駆け寄っています。
背後で睨みつけているのがユダヤ教の指導者たちで、この事例により
キリストを始末してしまおうという気概が高まったそうです。
フアン・デ・フランデス  1514

「Marco Pino 作  1570年」
くるまった布が全部はがされてしまったラザロさん。主要人物を
筆頭に、様々な人達が押し寄せているようです。
Marco Pino's The Resurrection of Lazarus  1570

ルカ・ジョルダーノ作  1634-1705年」
バロックの画家ジョルダーノはあえてラザロを前景の人物二人で
隠すという構図を取っています。全体の明暗バランスの為か、
もしくはラザロの輝きを強調する為なのでしょうか。
luca giordano

ミゲル・カブレラ作  1695-1768年」
まだ若者に見えるラザロさん。
こちらもちょっとゾンビ化しているように感じてすいません。

the raising of lazarus by miguel cabrera

「ヨアヒム・ウテワール作  1605年」
ぱっと見キリストの姿が探せず、どこだ!?と思ったら画面中央に
いました。赤と紫の服を着ていて、背景に溶け込んでいました。
画面左右に位置する謎の男性二名が目立って仕方がありません・・・。
The Raising of Lazarus 1605 Joachim Wt ewa el

セバスティアーノ・デル・ピオンボ作 1516-19年」
風景の中に群像を配置したラザロの復活。
ラザロさん結構いいガタイをしておりますな・・・。
Sebastiano del Piombo  1516-19

ハンス・ロッテンハンマー作  19世紀」
このラザロさんは飛び出すように棺桶から出てきました。
中央にいるお二人の妹さんよりも、手前にみえる子供と母親が
気になります。生と死の比較を描いたのでしょうか。
Hans Rottenhammer  19th

Jean Jouvenet 作  1644-1717年」
洞窟の奥に作られた墓石からこんにちは。
他のモチーフの絵画もそうですが、作者によって舞台が変わって来る
のが興味深いです。屋内や庭先、洞窟とバリエーションがありますね。
Baptiste Jouvenet The Raising of Lazarus

ヘンリー・オサワ・タナー作  1896年」
近代のタナーの作品は完全に奥まった洞窟の中になっています。
目覚めたラザロはまだ上手に身体が動かせないようです。
突然動き出さないあたり、現実味がぐっと増しているように思えますね。
Henry Ossawa Tanner  1896

 病死から一転、復活したラザロは墓堀人とハンセン病の守護聖人となっております。ハンセン病の方が聖人と祈るならともかく、墓堀人って・・・。一体何を祈るんでしょうかね・・・(恐)
 また、ラザロの名前は医術用語になっているそうです。「ラザロ徴候」は脳死と判定された患者が自発的に手足を動かす動作のことを指し、「ラザロ症候群」は心肺蘇生を失敗してしまっても、自発的に血液循環を行って回復を遂げることを指します。どちらも蘇生にちなんだ命名になっておりますね。それにしても脳死の方が手足や身体を動かしたり、心肺停止を自力で何とかしたりと、人間の身体はまだまだ神秘に満ちあふれていますね。



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