Guido Reni -

 アポロニアはローマ時代のアレクサンドリア(エジプト)で、歯を抜かれて殉教した聖女です。
 彼女はキリスト教会内で非常に尊敬を集めていました。しかし、248年のローマ建国1000年祭の式典で、詩人が「災難が降りかかるだろう」と予言します。それによって国内は混乱し、怒りの矛先はキリスト教徒へ向けられました。4世紀にコンスタンティヌス1世がキリスト教を国教と認めるまで、肩身の狭い立場にあった彼等は、民衆の恰好の餌食となってしまったのです。
 聖アポロニアは捕らえられ、異教に改宗しろと迫られます。しかし、彼女は拒否したばかりか異教の像を破壊したのです。怒った民衆は やっとこ で歯を全て引き抜くという拷問を行います。(殴って歯を折ったとも) 彼等は城門の外に薪をつみ、火を付けて「改宗しなかったら生きながら燃やしてやる」と脅しました。聖アポロニアは怯むことなく自らその炎の中へ入っていき、殉教したのでした。
 「歯」にまつわる聖アポロニアの絵画14点をご覧ください。少しだけ閲覧を注意してくださいね。

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ジャン・フーケ作  1445年」
異教の信仰を背いた聖アポロニアはぐるぐる巻きに縛られ、
髪を引っ張られ、巨大な「やっとこ」で歯を引き抜かれようとしています。
お、恐ろしい拷問ですね・・・。あと、手前の看板持つ人は誰だろう・・・。
1445 - Jean Fouquet

「作者不詳  中世の彩色写本の挿絵」
大の男たちが寄ってたかって彼女に拷問を加えています。
リアルではなく平面的な作品ですが、口から垂れる血が生々しさを
物語っています。
middle ages

「時祷書の挿絵  15世紀頃?」
女性のお腹を踏むなー!しかも生足でスネ毛生やして!
St Apollonia, from the Dunois Hours,

「時祷書の挿絵  15世紀頃?」
アポロニアさん、激おこな顔をしています。
この後すぐ天罰が起こりそうな感じですね。多分、上の木が全て
やっとこになって、男たちの歯を全て引き抜くという内容に・・・(え?)
Book of Hours

「フランスの時祷書の挿絵   1440 - 50年頃」
私は以前歯の矯正をやっていました。顎と歯のサイズが合わず、歯を
三本抜いて、装置で徐々に並びを綺麗にしていきました。それが
痛いのなんの・・・。よく口の中から血を出していました(;_:)
Book of Hours, France, 1440 - 50

「ヤーコブ・ヨルダーンスの追随者作  17-18年頃」
矯正や虫歯の治療だけでも痛いのに、麻酔なしで全ての歯を抜かれる
という行為は想像を絶します。歯を抜かれた状態で、火の中へ静かに
歩んでいった聖アポロニアの精神力の強さよ・・・。
after Jacob Jordaens

「グイド・レーニ作  1575-1642年」
ルネサンスやバロック時代になると、他の聖人のパターンに漏れずに
残酷な作品はほとんどなくなります。中世の方がエグいんです。
こちらの作品は背景が暗く、劇のワンシーンのような描写。
Reni Guido 1575-1642

「グイド・レーニ作  1575-1642年」
グイドさん二枚目。美しい風景の中、天使が聖アポロニアに
殉教の象徴である棕櫚と、勝利の象徴である月桂樹を手に
携えています。
Guido Reni

エルコレ・デ・ロベルティ作  1451-96年」
勿論、彼女のアトリビュートはやっとこと歯。
は、歯が耳のサイズほどあるぞ・・・。
→ アトリビュートについて知りたい方はこちら
Ercole de' Roberti

ピエロ・デラ・フランチェスカの工房作   1470年」
凄く不機嫌そうな表情をされている聖アポロニアさん。
何とも言えないオーラを醸し出しております。
Workshop of Piero della Francesca St Apollonia  1470

「ロヒール・ファン・デル・ウェイデン作  1445-50年」
優し気な様相をしている二人の聖女。
左は聖マルガレーテさんで、竜に食べられてもお腹が裂けて脱出が
できたという伝説があります。竜がうるうるとした目で訴えかけていますね。
→ 聖マルガレーテについての絵画を見たい方はこちら
 1445 - 50

ガウデンツィオ・フェッラーリ作  1475-1546年」
こちらはアレクサンドリアのカタリナさんとツーショット。
彼女は車輪に手足をくくり付けられて転がされるという拷問をされ、
助かったものの斬首刑にされました。
恐ろしい殉教をした聖女たちが
集まってお茶をしたら、積もる話がありそうですね・・・。
St Catherine of Alexandria and St Apollonia by Gaudenzio Ferrari

「Lorenzo Pasinelli  作  1670年」
聖アポロニアの年齢は定かではありませんが、聖カタリナは18歳で
殉教したとされています。大体聖女はそのくらいの若い姿で
描かれることがほとんどです。
Lorenzo Pasinelli  1670-

カルロ・ドルチ作  1670年」
上記とよく似た構成の作品。
肌や洋服の質感など輝いておりますね。歯もとてもリアルです・・・。
 Apollonia, 1670

 聖アポロニアは他の聖人の例に漏れず、自分の殉教に関係したものを守護しています。なので、歯の患者だけではなく、歯医者さんや歯を研究している人、歯磨き粉メーカーや歯ブラシメーカーなど、「歯」にまつわるもの全てを守護対象としているのです。きっと歯の矯正をしている人も含まれるでしょう。
 そう言えば、日本において、乳歯が抜けたら上は下へ埋め、下は上へ投げるという習慣の方が多いのではないでしょうか。西洋の一部では枕の下に入れておくと、コインに変わると信じられているそうです。抜けた乳歯をどうするのか、というのも国々で全く異なるので、調べてみるのも面白いかもしれませんね。



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