Dante and Virgil Flown by Ceron 1893 Roberto Bompiani - コピー

 「神曲」は13、4世紀のイタリアの詩人、政治家であるダンテ・アリギエーリが書した作品です。
 自分自身を主人公とした、一万以上の韻文から成る長編叙事詩であり、煉獄篇、地獄篇、天国編の三部に分けられています。中世イタリアの代表作と言っても過言ではなく、文学界でも特に有名な存在です。原題はLa Divina Commediaであり、英語だとThe Divine Comedy。日本語だと「神聖喜劇」と訳せます。だからと言って笑える話という訳ではなく、俗語で書かれたハッピーエンドの物語という事から付けられたそうです。

 内容としては、1300年の金曜日にダンテは深い森の中へ迷い込んでしまいます。そこで彼はローマの詩人ヴェルギリウスに出会い、地獄、煉獄、天国と三つの世界に案内されるのです。地獄の九圏には有名な英雄や歴史人が罰を受けており、彼等の物語を訊き、地球の中心部には魔王ルチーフェロが封印されております。ダンテは煉獄の頂上でヴェルギリウスと別れ、山頂でかつて愛した女性の現身である淑女ベアトリーチェと再会します。彼女の導きで天国へと昇天していき、天を巡って至高の天上へと昇りつめていき、天使や聖人達と出会いました。ダンテは永遠なる存在を前にして、見神の域へと達したのでした。
 では、「神曲」にまつわる絵画14点をご覧ください。

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「サンドロ・ボッティチェリ作  1480-90年」
「神曲」の地獄は漏斗状の穴になっていて第一圏から第九圏まであり、
下へ行くほど罪が重くなっていきます。ダンテはヴェルギリウスに
導かれ、罪人の説明を受けながらこの地獄を下っていきます。
Sandro Botticelli - La Carte de l'Enfer 1480-90

「サンドロ・ボッティチェリ作  1480-90年」
ボッティチェリは神曲を愛読していたそうで、自発的に100点近い
挿絵を描いています。こちらは地獄の情景。赤と青の衣服の人物が
ダンテ&ヴェルギリウスで、異時同図法となっています。
Bartolomeo Di Fruosino - Inferno

ドメニコ・ディ・ミケリーノ作  1465年」
多分教科書にも載っていた、最も有名なダンテの絵画。
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に描かれた壁画です。
左側は地獄、右側は出身地フィレンツェ、奥側は天上を表しています。
1465  Domenico di Michelino

「15世紀の中世写本の挿絵」
ダンテとヴェルギリウスが死者の川アケロンを渡っている場面。
神曲はギリシャ神話由来の伝説の人物が多く登場しており、
アケロン川の渡し守カロンもその中の一人です。
miniature 15th

「ウジェーヌ・ドラクロワ作  1822年」
ダンテは昏睡しながら船を渡ります。物語中、ダンテはしょっちゅう
昏睡状態に陥りますが、それは「生き人であり善人である」ダンテが
神の意志によって地獄より先に進む為の手段とされています。
恐怖でバタバタ倒れているかと思ったら、そんな理由があったのね。
Delacroix barque of dante 1822

フェリックス・ヒダルゴ作  1887年」
憐れな亡者たちを虐める渡し守カロン。
ギリシャ神話では1オボルス(500円くらい)を渡せば、船を漕いでくれる
不愛想な老人ですが、神曲のカロンは暴力的で恐ろしい存在として
表現されています。
Félix Resurrección Hidalgo La Barca de Aqueronte  1887

「Rafael Flores 作  1855年」
地獄の深部へと進もうとする二人。ダンテは奥を眺め、険しい表情を
浮かべていますね。地獄は9階層に分かれており、辺獄、愛欲者、
暴食者、貪欲者、憤怒者、異端者、暴力者、悪意者、裏切者などの
罪に分けられています。
Rafael Flores, Dante y Virgilio visitando el Infierno 1855

「15世紀の中世写本の挿絵」
第6圏の罪は異端者の地獄。あらゆる宗派の異端の信徒たちが、
炎によってさいなまれているそうです。正規のキリスト教以外の
宗教は全て罪で地獄行きだ!という考えは、現代の私達日本人
からしたらとんでもない思想ですよね・・・^^;
miniature 15th-2

「15世紀の中世写本の挿絵」
左側の朱色の服を着た角が生えた者は冥府の神プルート。
彼等はこの神が咆哮しているのを目撃します。次にダンテ達の目に
飛び込んできたのは貪欲者の群れ。ケチと浪費の悪徳の者達が
金貨の袋を転がしながら、悪口を言い合っているのです。
miniature 15th-3

アリ・シェフェール作  1855年」
地獄第二圏にいるパオロとフランチェスカの霊を見学する二人。
彼女は政略結婚をする事になったものの、義弟のパオロを愛して
しまいます。二人は政略結婚の相手に殺されてしまい、
禁断の愛は破れてしまうのでした。
Ary Scheffer - The Ghosts of Paolo 1855

ウィリアム・アドルフ・ブグロー作  1825-1905年」
「死人から盗んだな!」と怒って、錬金術師アポッキオの首に
噛みついたスキッキの場面。ダンテとヴェルギリウスがドン引きの
様子で眺め、奥では悪魔が楽し気に見ていますね。
Dante & Virgil en el infierno by William Bouguereau

「Roberto Bompiani 作  1893年」
ダンテとヴェルギリウスは第8圏へ行くために、人間と蛇と蠍と怪獣が
合わさったかのような、怪物ゲリュオンの背中に乗って飛行します。
かなり乗り心地が悪そうですね・・・。
Dante and Virgil Flown by Ceron 1893 Roberto Bompiani

「ギュスターヴ・ドレ作  1832-83年」
第9圏の地獄コキュートスは、最も重い罪である裏切りを罰しています。
罪人は絶対零度の氷に首まで漬けられ、永遠に苦しむそうです。
そして、その最奥にはあの存在が・・・。
Gustave Dore

ヘンリー・ジョン・ストック作  1923年」
コキュートスの中央には、かの裏切者の堕天使ルチーフェロ(ルシファー)が
半身氷漬けで幽閉されています。三つの頭を持つ悪魔はユダと
カッシウス、ブルートゥスの三人に噛み付き、世を恨んでいるのです。
Henry John Stock -  1923

 「神曲」はもともと、専門書ではなく民衆に読んでもらうような一般書でした。その故、ダンテはラテン語ではなく、俗語のトスカナ語を使ったそうです。しかし、日本へ神曲が紹介された際に文人の間へ広まった為、難しい文章が並んだ専門書のような扱いにされてしまいました。
 実際、2、3年前にリサイクルバザーで昭和51年出版の神曲を購入したのですが、文章が固すぎて内容についていけなくなり、ダンテが地獄の門についた辺りで挫折してしまいました。(私の読解力がなさすぎるだけかもしれませんが^^;) 昔の日本語の言い回しって難しいですよね・・・。 もうちょっと勉強しなおしてから再トライするか、新訳のものを入手して読んでみようと思います。

→ ルチーフェロについての絵画をもっと見たい方はこちら
→ カロンについての絵画をもっと見たい方はこちら


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