Agnolo di Cosimo di Mariano, dit Bronzino  1540-45 -

 キリストの十字架降下は、磔刑されたキリストを降ろし、悲しんでいる主題の事を指します。
 アリマタヤの町にヨセフという人がいました。彼はキリストの遺体を引き取らせて欲しい、とローマ帝国の総督ピラトに頼んだのです。その他の正しい人達もキリストの為に駆けつけました。ヨセフがキリストを十字架から下ろすと、聖母マリアは我が子の身体を愛おしそうに抱きました。遺体には没薬と香料が塗られ、布に包まれて、ヨセフが自分用に作っていた墓に葬られました。その三日後に、キリストは復活を果たすのでした。
 この主題はキリストの磔刑に引き続き、画家に人気で多くの作品が残されています。十字架降下の絵画13点をご覧ください。

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「中世の時祷書の挿絵より」
アリマタヤのヨセフが梯子を使い、キリストを十字架から降ろして
います。マリアは息子の手を取り、悲しんでいますね。右端には
さり気なく天使さんのお姿もみえます。
Book of Hours, Tempera

ジョヴァンニ・ディ・パオロ作  1426年」
キリストの色が・・・。たとえ亡くなっているとしても、この色は・・・。
中世の作品は構図や遠近感を無視しており、しばしばサイズが
変な小人さんが出没する時があります。メインが見えなくなる事への
配慮なのでしょうかね?
Giovanni di Paolo 1426

「ロベルト・カンピン作  1448-65年」
三連祭壇画の中央には十字架降下が描かれ、両脇には二人の
罪人と祭壇画の依頼者らしき人物&守護聖人が描き込まれています。
Descent-from-the-cross-Copy robert Campin 1448-65

「Master of the Saint Bartholomew Altarpiece 作  1500-5年」
装飾と十字架降下が一体化になったかのような美しい作品。
足元にある頭蓋骨はアダムの頭蓋骨を表しているようで、
メメント・モリ(死を想え)という意味ではなく、キリストがアダムとイブの
原罪を贖ったという意味が込められているようです。
Master of the Saint Bartholomew Altarpiece 1500-5

「ラファエロ・サンツィオ作  1507年」
彼方にあるゴルゴダの丘には十字架が立っており、キリストは皆の
力によって墓まで運ばれて来たようです。画面中央にいるのが
マグダラのマリアであり、右端にいる青い衣服の女性が聖母マリア。
この二人は殆どの場合描き込まれております。
Rafael, De Graflegging van Christus, 1507

ヤコポ・ダ・ポントルモ作  1494-1557年」
マニエリスムの画家らしく、身体をねじった複雑な姿でキリストを
担いでいます。構図や人体の向きなどが独特ですね。
キリストを持つ二人の視線が、画面外へ向いているのも意味ありげです。
Deposition from the Cross - Jacopo Pontormo

アーニョロ・ブロンズィーノ作  1540-45年
青の色彩が際立つ作品です。彼もマニエリスム期の作品で、天使や
人々が大変な格好をしていますね。それにしてもキリストを支える人
(ヨセフさん?)の首が折れてませんか・・・?
Agnolo di Cosimo di Mariano, dit Bronzino  1540-45

「カラヴァッジョ作  1602-3年」
バロックの巨匠カラヴァッジョは背景を黒にすることで、劇中の一コマ
のような作品を生み出しています。人体の表現、構成、色彩感覚
どれをとっても素晴らしい作品ですね。
Caravaggio, Deposition from the Cross 1602-3

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1612-14年」
ルーベンスの十字架降下といえば、フランダースの犬のネロを
思い出しますね。ネロが見たのは祭壇画で、この作品が中央部に
当たります。白と赤のコントラストが鮮やかで、臨場感が感じられます。
Peter Paul Rubens 1612-14

フェデリコ・バロッチ作  1535-1612年」
服や髪のたなびき方から、かなりの風が吹いている感じを受けますね。
風の音や男性達の掛け声、女性達の悲鳴が聞こえてくるようです。
Federico Barocci1535-1612

シャルル・ルブラン作  1619-90年」
十字架降下的には珍しく、馬に乗ったピラトさんが登場しております。
上記の作品たちは手動でキリストを降ろしていましたが、この絵画
ではロープを使っているようですね。マリアさんは既に気絶状態。
Charles Le Brun 1619-90

「Jean-Baptiste Jouvenet 作   1697年」
足元では白い布がスタンバイされ、キリストは没薬や香料が塗られ、
布に包まれてお墓へと行ったのでした。この布は「聖骸布」と呼ばれ、
キリストの全身が浮かび上がったとされています。
Jean-Baptiste Jouvenet - Descent from the Cross  1697

ニコラス・トゥルニエ作  17世紀」
布に包まれようとしているキリスト。暗闇の中から浮かび上がる人々は、
静謐な雰囲気を漂わせていますね。現代において「トリノの聖骸布」
と呼ばれる品は残っており、実際にキリストを包んだ布とされています。
真意の程は分かりませんが・・・。
The Descent from the Cross - Nicolas Tournier 17th

 磔刑や十字架降下の絵画を見てみると、手のひらに釘が打たれているものばかりです。手のひらに釘を打って磔にすると、体重が支えきれずに指の間が裂けてしまうので、最近では手首に釘を打たれたのではないかと言われています。しかし十字架の足元をよーく見てみると、台座が付けられている絵画があります。(キリストの磔刑の記事を見てみてください)
 もし台座があるなら、手のひらに釘が打ちつけられていても矛盾はないことになります。色々と調べてみると、そもそもキリストは釘で打ちつけられたのではなく縄で縛られたのではないか、という説もあるようです。ローマ時代の磔刑は釘だけではなく、縄も用いられたそうです。
 今となっては真相は闇の中。どんな磔刑図でも間違いではなく、信仰のこもった素晴らしい作品だと思います。(無理にまとめましたw)

→ キリストの磔刑についての絵画を見たい方はこちら
→ キリストの復活についての絵画を見たい方はこちら
→ 聖ヴェロニカについての絵画を見たい方はこちら


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