Très Riches Heures du Duc de Berry 15th -

  中世の時代、、病気の患者に医療と占星術が結びついた治療を行っていました。それは医療占星術(メディカルアストロロジー)と呼ばれ、患者の星座と現在の星の位置を考慮したうえで、診断や治療が為されたそうです。
 星座は人体の部位と関連しているとされ、一見して分かるように人体に12星座がくっついたかのような「獣帯人間(zodiac man)」という特殊な絵が描かれました。頭には羊が置かれ、肩には二人の男女、胸にはカニが配置されていますね。その部位に置かれている動物(人)が該当する星座とされ、特に健康面において気を付ける箇所と言われています。以下が一覧となります。

4月 牡羊座・・・頭部
5月 牡牛座・・・首
6月 双子座・・・肩、腕
7月 蟹座・・・胸
8月 獅子座・・・心臓
9月 乙女座・・・腸
10月 天秤座・・・腰
11月 蠍座・・・生殖器
12月 射手座・・・大腿、尻
1月 山羊座・・・膝
2月 水瓶座・・・ふくらはぎ、足首
3月 魚座・・・足、足の裏

 私は天秤座なので、特に腰に気を付けなければならないということですね。これから紹介するゾディアックマンを見ていただくと、腰の部分に天秤が描かれているのが確認できると思います。まだ腰は痛めていませんが、将来ぎっくり腰にでもなるのかな?気を付けなくちゃ・・・(^^;)
 では、これらを踏まえながら医療占星術のゾディアックマンの写本挿絵14点をご覧ください。閲覧注意風の部分がありますのでお願いいたします。

PR

 


「作者不詳 15世紀頃」
身体にまとわりつく12星座の動物たち。牡羊座とふたご座が
何だか可愛いです。かに座が全然蟹っぽくありませんね。
当時は蟹は珍しい存在だったのでしょうか。
Zodiac Man, 15th  by an unknown artist

「彩色写本の挿絵より  1387年頃」
キリストっぽい容姿をしたゾディアックマンさん。
星座のみんなもきりっとした表情で、ほんのりと格好いいです。
ただ、未確認生物状態なのがちらほらと・・・。蟹がメンダコっぽいし。
zodiac man 1387

「彩色写本の挿絵より  1477-96年頃」
なんか悪夢に出てきそう・・・。特にふたご座とか、みずがめ座とか、
右斜め上の太陽とか。医者がこの挿絵を見て、「貴方はいて座
ですから、お尻に気を付けた方がいいよ」とか言っていたと思うと
シュールすぎますね。
Gebete und BetrachtungenBavaria  1477-96

「大英図書館にある彩色写本の挿絵より  1486年頃」
凄く悟り切ったかのようなゾディアックマンさん。
星座の皆も素敵な表情をしています。特に山羊座が少女漫画の
ようになっていますね^^; それとさそり座がトカゲの怪物になっとるw
British LIbrary Egerton 1486

「彩色写本の挿絵より  1368 - 1405年」
医療占星術は古代ギリシャより始まったそうで、結構古くからの思想
のようです。ただ挿絵がシュールだからちょっと胡散臭く見えて
しまうだけで・・・。本当は歴史ある医療術なのです。
さそり座がアルマジロになっとるよ・・・。
Kalender und Praktika auf die Jahre 1368 - 1405

「彩色写本の天文カレンダーの挿絵より 1424年頃」
こんな人間が歩いていたら、全速力で逃げる自信があります。←ぇ
いて座はケンタウロスと結びついているので、半人半馬で描く
挿絵が幾つか見られますね。
しつこいようですが、さそり座がトカゲや・・・。
Lindo. Raro. Astronomical calendar. 2nd 1424

「ニュルンベルクにある彩色写本の挿絵より  1472年頃」
こちらのゾディアックマンは人体にくっついておらず、矢印で
星座を示しているようですね。お顔が少々不気味ですが・・・。
Nürnberg c 1472. A treatise on medical astrology

「彩色写本の挿絵より  15世紀頃」
身体の内部が露わになってしまったゾディアックマンさん。
医療占星術は内臓も関係しているとされているので、それを
分かりやすく見せる工夫なのでしょうか。
星座の動物たちが空中浮遊をしております。
zodiac man 15th

「彩色写本の挿絵より  1408年」
星座の関連よりも、ゾディアックマンが死んだ魚の目すぎて
気になってしまう・・・。髭もなんか変な形だし!
みずがめ座がダンベルだし!でもサソリはちゃんとサソリだ。
zodiacman 1408

「彩色写本の挿絵より  1493年頃」
なかなかリアリティのあるゾディアックマンさん。
作者が人体を観察しながら懸命に描いたことが想像できます。
ただ、魚や蟹はノリで描いたのでしょうか。あと、ふたご座の右側
は何で鎌を持ってるの・・・?怖いわ・・・。
zodiacman 1493

「ベリー公のいとも華麗なる時祷書より  15世紀」
最も美しいゾディアックマンと言っても過言ではない作品。
陶磁器のように白く滑らかな人体に描かれた12星座たち。
周囲にあしらわれた12星座も美しいです。前々から不思議に
思っていましたが、何故やぎ座は貝に入っているのだろう・・・。
Très Riches Heures du Duc de Berry 15th

「彩色写本の挿絵より  1434年」
時計のような形で12星座を示したゾディアックマンも存在します。
時間も12で表わされるので、きっと占星術に深く関わっているのでしょう。
Zodiac correspondences human body - Michael of Rhodes 1434

「北イタリアで製作された彩色写本の挿絵より  11世紀頃」
こちらは中央にキリストが、周囲に12星座が描かれ、一番
外側の四つは四季が表されています。星座は人体のみならず、
時間軸にも深く関わりを持っていたという事が分かりますね。
カニが可愛い・・・^^
Image of the 11th northern Italy

「ペルシャ帝国時代の挿絵  年代不明」
最後の極めつけはこれです。
な、何とも言えない凄まじい人体図であることか・・・。
ふたご座とか首が二つだし、牛はほくそ笑んでいるし、
かに座はノミっぽいし。怖すぎます。
zodiac man. Watercolour Persian artist

 国家や王家の吉報判断をする占星術そのものは、古代バビロニアが発祥とされています。その思想は古代ギリシャ、中国、アラブ、西洋へと伝わり、人の健康や体調を診断する医療占星術がギリシャで生まれ、西洋へと流れていきました。当時の人々はこれらの図式を本気で信じ、病気の治療に臨んでいたのです。
 現代の医学で考えると、とんでもない事だと思いますが、現代日本でも血液型によって気を付ける病気が違うという話があります。(A型:がん全般、胃潰瘍、心筋梗塞、脳梗塞、自律神経失調症。B型:膵臓がん、肺炎、気管支炎、インフルエンザ。O型:十二指腸潰瘍、糖尿病、自己免疫疾患。AB型:脳梗塞、がん、心因的な病)
 もちろん全ての人々にこれが該当するとは思っていませんが、血液型で注意が必要な病気が分かれるなら、星座でも気を付ける部位や病気があっても間違いではないかな~と思います。そうだ、腰をいたわろう。

<追記>
読者様が、ふたご座の二人が琴と鎌をどうして持っているかの謎を教えてくださいました!
ふたご座は水星の支配下にあり、水星(マーキュリー)はヘルメスを象徴しています。そのヘルメスの持物が琴と鎌ハルパーであるそう。なるほど!



  PR