Bosch 表紙

 2016年はヒエロニムス・ボスの没後100年の節目に当たり、様々なボスのプロジェクトが持ち上がりました。この赤外線の調査もその一環で、色を塗った下にあるモノクロの下地(グリザイユ)の部分が調べられました。(X線でも調べられました) すると、描かれていなかったものが浮かび上がった作品があったのです!
 もう2018年にもなって紹介が遅れてしまいましたが、赤外線によりスケスケになったボスの絵画をご覧ください。変化がないものと変化があるものがございます。では、レッツ、スケルトン!


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「放浪の旅人(放蕩息子)  1500~10年頃」
2017年の展覧会「バベルの塔展」に来日した作品。旅人は娼館へ
行こうか、先へ進もうか人生を迷っています。全体をセピア調に
まとめ、古ぼけた雰囲気を出しておりますね。

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赤外線にかけてみたらこうなりました。
下絵と完成図が全く同じですね。初期の油彩画は薄く何層も
塗り重ねる技法が用いられていました。その下地にあたるモノクロ
部分はグリザイユと呼ばれています。
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「聖クリストフォロス 1495‐1500年頃」
こちらも「バベルの塔展」で来日した作品。キリストを背負った
聖クリストフォロスがよいしょっと川を渡っています。
聖クリストフォロス

下地はこのような感じになります。こちらも変化はありませんね。
依頼人から「変わったモチーフを入れてくれ」という要望があって
周囲に不可思議なものを加えたとされていますが、
もう下地の段階で描き加えられていたのですね。
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「聖アントニウスの誘惑  1502年頃」
ちょっと祭壇画で細かい絵ですが・・・。
茶と赤を基調にして、怪物さん達がたかって聖人を虐めています。
→ 聖アントニウスの誘惑についての絵画を見たい方はこちら
聖アントニヌスの誘惑

この作品も際立った差異はありませんね。
この段階では岩肌はそこまで暗めではないですが、色が付くと
結構深くて暗いトーンになっていますね。
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「聖ヒエロニムス  1486年」
ボスの名と同じである守護聖人のヒエロニムスさん。
左下のは犬ではなくてライオンなんです。
→ 聖ヒエロニムスについての絵画を見たい方はこちら
hieronymus bosch  1486

この絵画も差異はありませんね。ただ、木が縦に割れていて、
悪い状態であることが分かります。修復された絵画は描きたて
であるかのように美しいのですが、中の木は500年の歳月を
物語っています。
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「荒野の洗礼者聖ヨハネ  1488年以降」
キリストの親戚であり、洗礼を施した聖ヨハネ。
荒野で肘をつき、物憂げな表情をしています。
そして中央には謎の植物が・・・。
Saint John the Baptist

うわああぁーー!人が出て来たーー!
描かれているのは寄進者なのですが、依頼人が変わるなどの
事情により、ボス自身の手によって植物に描き変えられたそうです。
人を植物に変化させてしまうボス師匠の技術凄い!
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「聖リベラータの殉教  1505‐15年頃」
異教徒との結婚を拒否し、磔刑された聖女。結婚が嫌すぎて、
キリストに「髭を生やしてください!」と願って実現しちゃったそう・・・。
ボスの作品はつるつるの乙女ですね^^
聖女リベラータの殉教

ぱっと見一緒かと思いきや。
両側がなんか違うーー!左の人が洗礼者ヨハネの時の寄進者と
そっくりなので、同人物と思われます。これも諸事情により、隠者の
お爺さんとおじさん二人に描きかえられてしまったのでした・・・。
Triptych of the crucified Martyr

「快楽の園  1503年」
言わずとも知れた、ボスの代表作。
この作品も赤外線をかけた結果、とんでもない発見がありました。
bosch -

地獄編の右下をアップ。この部分をよーく覚えていてください・・・。
bosch 快楽の園

な、なんかいるーーー!!
サンショウウオみたいな透明の怪物の腹の中にいる、何人かの
犠牲者たち。便器に座った鳥の怪物は暴食を表わしており、
当初はこんな生き物を構想していたみたいです。大発見だ!
bosch

 映画「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」を観て、サンショウウオみたいな怪物を赤外線で発見したと知り「うわーマジかっー!?」ってなりました。結構大掛かりな変更ですよね。どうしてサンショウウオをやめてしまい、便器の鳥さんになったのかはボス師匠のみぞ知る、ですね・・・。
 赤外線に関する画像を探していて、「BOSCH PROJECT」というサイトを見つけました。没後500周年のプロジェクトに関するサイトで、ボスの作品が大量に掲載されています。しかもデータが大きくて拡大ができ、仔細まで見ることができます。作品の下地も掲載がかなりありますが、残念ながらサンショウウオは見ることができません・・・。
 「BOSCH PROJECT」かなりお勧めなので、ボスの作品を見たい方はぜひ覗いてみてください!

→ グリザイユについての絵画を見たい方はこちら
→ 「BOSCH PROJECT」のHPはこちら<英語>


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