
アマゾン(アマゾネス)はギリシャ神話に登場する、女性だけで構成された部族です。
軍神アレスとニュムペーであるハルモニアを祖先とする部族とされ、未開の地に住んでいたとされています。アマゾンは馬に乗って狩猟をして生活する騎馬民族で、武器を持って様々な戦争に参加しています。女性のみで構成されたアマゾンは、他の部族へ行って男性と関係を持ち、子を成しました。子が女児だった場合のみは大事に育て、男児だった場合、殺すか奴隷にするか父親の元へ引き渡すかしたそうです。
ヘラクレスの試練やテセウスの冒険、トロイア戦争などでアマゾンは登場し、アマゾンの代表的な女性として、女王のヒッポリュテーやその妹アンティオペー、後の女王ペンテシレイアがあげられます。
では、女性だけの戦闘集団アマゾンの絵画13点をご覧ください。
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「フランスの彩色写本の挿絵より 1460-70年」
アマゾンなの!?といきなり目を疑いたくなる絵ですよね。
こちらは女王ペンシテレイアを描いたとされています。
当時のドレスや帽子に身を包み、剣を持つアマゾン・・・。
これで戦えるのかな?^^;

「書籍「聖職者と高貴な女性」の挿絵より 1488年」
こちらも女王ペンシテレイアを描いた作品。鎧に身を包み、
弓を持って勇敢な表情をしています。上の方よりも戦う気満々ですね。
馬がカメラ目線で可愛い^^

「オット・バン・フェーン作 1629年」
あ、あまぞん?こちらはアマゾンとスキタイという絵画。
アマゾンはスキタイ(イラン系遊牧騎馬民族)に近しい存在と
思われており、彼等の生活ぶりを描いた作品・・・なのかな?
なんか依頼者の下心が透けて見えるようですけど・・・^^;

「ルーベンスとヴァン・ダイクの共作 1615年」
打って変わって激しい戦争のシーン。アマゾンは戦争に秀でた
民族と考えられ、神話においてもしばしば戦いが起こっています。
何がどうなっているのか見るのが大変ですw

「アルトゥーロ・ミチェレーナ作 1891年」
トロイ戦争で戦う、アマゾン軍VSギリシア軍。右側の赤い服を着た
女性がペンシテレイア。手前でアマゾンの一人が倒れていても、
槌を振る方のおかげで圧倒的に強く見えます。

「アンゼルム・フォイエルバッハ作 1873年」
アマゾンとの戦い。肌色すぎて、ちょっとどうなっているのか
分かりませんねw←ぇ 背後では男女がつかみ合って戦っています。

「Pauwel Casteels 作 1656-83年」
狭い橋の中で密集して戦うアマゾンとギリシャ勢。
アマゾンは弓の他に、斧や槍を操り、半月系の盾を持って武装して
いたとされています。絵画だと満月ですね^^;

「ルーベンスとヤン・ブリューゲルの共作 17世紀」
有名画家二人の共作である、アマゾンとギリシャ軍の戦争。
見るからに人物はルーベンスが描いており、背景をヤンが
手掛けているようですね。なんか不思議な調和感があります・・・。

「ヨハン・ハインリヒ・ヴィルヘルム・ティシュバイン作 1751-1829年」
槍を手に持ち、楽しそうに馬を駆るアマゾン達。
弓を射る為に片側の乳房を切除したとされ、それがアマゾン
という名の由来になっています。

「ヨハン・ハインリヒ・ヴィルヘルム・ティシュバイン作 1751-1829年」
ヨハンさん二枚目。アキレスとペンシテレイアは一騎打ちをし、
彼女は亡くなってしまいます。その美貌を見て、アキレスは殺めて
しまった事に後悔したのでした。

「ピエール・ミニャールの追随者作 1660年」
伝説によると、マケドニア王のアレクサンドロス大王は
アマゾンの部族と出会い、友好的な関係を築いたとされています。
女王の手を握り、何やらいい関係に?(なりませんでしたが・・・^^;)

「Johann Georg Platzer 作 1704-61年」
こちらもアマゾンの女王の元を訪れる、アレクサンドロス大王の
作品。赤は大王陣営、青は女王陣営で分かれていますね。

「フランツ・フォン・シュトゥック作 1863-1928年」
ケンタウロスと戦闘し、負傷したアマゾン。ケンタウロスと戦争した
という物語は知りませんが、あるのかな?
アマゾンを含め、ギリシャの人々は裸で戦うという画家の
先入観が何故あるのかという疑問は永遠の謎となります・・・。

私達がアマゾン(アマゾネス)を思い浮かべようとすると、南米系の異国情緒あふれる女性が思い出されると思います。それもそのはず、一説には南米にあるアマゾン川は女部族アマゾンから由来し、初期の探検者フランシスコ・デ・オレリャーナによって命名されたとされています。アマゾン川のイメージが結びついて、ギリシャ神話のアマゾンも南米系の姿だと考えられるようになったのだと思います。現代での西洋やアメリカでも南米系の浅黒い肌の姿が定着しておりますね。
しかし、中世ルネサンス、バロック時代の人々は南米についての知識はほとんどなく、アマゾンは何処か違う国の女性騎馬民族と思うことしかできず、自分達と同様の白人の姿として描いたのかもしれません。中世の写本では貴婦人みたいな洋服を着ていましたしね・・・。(古代ギリシャにおいては、アマゾンを黒海沿岸に住んでいた民族だと考えていたそうです)
でも、ストゥックさんは19-20世紀の人なのに、アマゾンを白人の女性として描いていますね。アマゾンをワイルドな南米系の女性として考え出したのは、案外最近のように私は思います。
→ 英雄アキレスについての絵画を見たい方はこちら
→ 英雄テセウスについての絵画を見たい方はこちら
→ アレクサンドロス大王についての絵画を見たい方はこちら
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>> 美術を愛する人様へ
依頼する権力者は男性が多く、そして男性の画家が多い時代なので、女性が登場する物語はどうしてもセクシー狙いの作品がありますよね。
アマゾンは萌えというよりも、盛え燃えー!って感じですね(笑)