Jules-Élie Delaunay 1828 – 91 -

 サッフォー(サッポ―)は紀元前7₋6世紀頃に生きたとされる、古代ギリシャの女流詩人です。
 彼女の生涯は謎に包まれており、エーゲ海の北東に位置するギリシャ領であるレスボス島に生まれ、紀元前596年にシケリア島へ亡命し、その後レスボス島に戻ったとされています。サッフォーは女性しか入学できない学校をレスボス島に作り、そこでは文芸・音楽・舞踊などの教育が行われたとされています。また、彼女は女性に対する愛の手紙を残し、愛の詩を数多く手がけていた為、同性愛者であったという説もあります。女性の同性愛者を呼ぶ呼称である「レスビアン」も、サッフォーがレスボス島出身であることに由来しております。ですが、それらの事は推測に過ぎず、確証はありません。

 現に、彼女は男性との恋話が幾つか残されています。同じレスボス島出身の者にアルカイオスという詩人がおり、彼とは手紙の交換をし、恋愛関係の時もあったとされています。また、サッフォーはファオンという美青年に恋してしまい愛を伝えますが、彼の返答は「そっか」で終わってしまって絶望し、レウカディアの岸壁から身を投げて死んでしまったという逸話もあります。
 では、愛を謳う詩人サッフォーの絵画13点をご覧ください。

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アンゲリカ・カウフマン作  1775年」
愛の神クピドに気に入られし、愛を語る女流詩人サッフォー。
「アフロディテへの讃歌」という作品も残されています。愛が全てさ!
Sappho Inspired by Love by Angelica Kauffmann 1775

「シメオン・ソロモン作  1864年」
サッフォーは女性だけの学校を作り、詩や舞踊などの教育を
していたとされていた為、同性愛者として考えられ、レスボス島は
レズビアンの島とされてしまいました。こちらの絵画はミティリーニの
庭園のサッフォーとエリナ。レスボス島の首都の庭園で二人は・・・。
Sappho Erinna In A Garden Mitylene  Simeon Solomon 1864

「フランス出身の画家作  19世紀」
なんかもう、あからさまな作品ですよね^^;
ハイジよろしく二人は自然のブランコに乗り、愛を語らい合う・・・。
作者の妄想が沢山入ってしまった作品です。
Sappho and Ariadne by French School  19th

「グスタフ・クリムト作  1862-1918年」
愛をテーマにした「接吻」で有名なクリムトもサッフォーを描いています。
こちらは夕日を見ながら、サッフォーと少女は外を見ています。
妖しさは感じず、純粋な師弟の信頼関係が感じられますね。
Sappho by Gustav Klimt

「ジャック・ルイ・ダヴィッド作  1809年」
サッフォーと美青年ファオンの作品。狩人のような姿をしたファオンは
カメラ目線で、サッフォーは楽しそうにハープ(?)に手を伸ばして
いますね。クピドが二人を祝福しているにも関わらず、
二人の愛は成就されませんでした。
Sappho And Phaon by Jacques-Louis David 1809

メリー・ジョゼフ・ブロンデル作  1828年」
ファオンとの恋に破れ、寝込んでしまうサッフォー。今までの詩や
音楽の調べが甦り、絶望を感じる日々。このシーンはオペラで
上映されたもののようです。

Merry-Joseph Blondel Sappho recalled  life charm  music 1828

「Louis Ducis 作  1811年」
こちらも同様の作品。友人たちがいくら音楽で慰めようとしても、
サッフォーの心は癒えませんでした。愛に心を捧げた彼女は、
愛に破れた今、生きる気力を失ってしまったのです。
Louis Ducis 1811

ピエール=ナルシス・ゲラン作  1774-1833年」
レウカディアの崖の上に座り、悲しみに打ち沈むサッフォー。
詩の名誉も讃美も今の彼女には届きません。
Sappho on the Leucadian Cliff Guerin Pierre Narcisse

ジュールス・イーライ・ドローネー作  1828 – 91年」
ハープを手に抱き、心に静かな絶望を抱くサッフォー。
美しい作品ですね。個人的に好きかも^^
美青年ファオンや崖からの身投げは伝説の話ですが、多くの画家の
心を掴み、幾つかの作品が残されています。
Jules-Élie Delaunay 1828 – 91

「Jean-Joseph Taillasson 作 1745-1809年」
この作品は悪夢から逃げるように、崖から飛び降りようとしています。
足元には詩や楽器が置かれており、なんだか悲しい作品です。
物語上では劇的なシーンとなりえますが、身投げはダメ、絶対です。
Sapho Jean-Joseph Taillasson 1745-1809

Miquel Carbonell Selva 作 1881年」
荒々しい波を見下ろし、決意を固めるサッフォー。
どことなくエキゾチックな雰囲気を漂わせた作品ですね。
カモメ~が飛んだ~♪←ぇ
Miguel Carbonell i Selva - Safo lanzándose al mar, 1881

シャルル・メンギン作  1877年」
他の作品にはない、物凄いダークな雰囲気をまとったサッフォー。
服は漆黒で目は虚ろげ、ハープを持つ様は何処か投げやりな
雰囲気も感じられますね。目を合わせたら恐そう・・・。
Charles Auguste Mengin Sapphobn 1877

「ギュスターヴ・モロー作 1826-98年」
モローはサッフォーに心酔していたようで、彼女の作品を何枚か
残しています。豪奢な楽器を握りながら、静かに海へと落下して
いきます。死という重いテーマにも関わらず、聖人の昇天の
ような神秘的なヴェールを纏わせていますね。
Gustave Moreau - Sapho à Leucade 1826-98

 伝説上では愛の為に生き、愛の為に死んだサッフォー。
 彼女の詩はキリスト教の異教迫害の波で永遠に失われてしまったものもありますが、約2600年後の現代でも読むことができます。以下に一つ掲載します。

  ある者は騎馬隊が、ある者は歩兵隊が
  またある者は艦隊がこの世で一番美しいという
  しかし私は愛する者が一番美しいという

  誰にでもたやすく解ること
  女のなかで美においてたちまさっていたへレネーが
  最もすぐれた夫を捨てたのは

  トロイアへと船で去り
  子供のことも親しい親のことも考えようとしなかった
  キュプリスが愛によって彼女を誘ったのだ

  女神は人の心を撓め
  容易に人の思いを惑わせる
  そしていまも私に遠くのアナクトリアを思わせる

  彼女の軽い足取りと明るい面の輝やきを
  私は目にしたいものだ
  リュディアの戦車や青銅の武具持つ兵士よりも


 こちらは少女アナクトリアに対する恋愛の詩。うん、これを読むとサッフォーが同性愛者なのかな?と思うのが分かりますね。「ヘレネーが愛に導かれたように、私も心を惑わし、アナクトリアに思いを寄せている。力強い男なんかよりも」と。こちらが恥ずかしくなっちゃうほどの愛のアピールです。
 あれです。サッフォーは美しい者を全て愛していたのだと思いますよ!



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