A fortune teller by Gaspare Traversi 1722–70 -

 未来や運勢などを、道具や事象を使って判断しようとする行為である「占い」。古代ギリシャやローマでは占いは神の御告げとされ、占いで出た結果は絶対だと考えられていました。占いに逆らって行動し、その者が死んだ場合は「神の意志に反したからだ」と恐れられ、自業自得とされたのです。占いの方法は鳥やネズミの行動を観察したり、動物の臓器を使ったりと様々でした。 
 また、天体の動きであらゆる予言を行おうという「占星術」も、古代バビロニアやエジプトの時代から行われており、12世紀頃には西洋でも占星術が発展しました。手相占いも12世紀頃に伝えられたようです。占いの有名どころであるタロットカードは15世紀頃にゲーム目的で作製され、18世紀頃に現代のような用途で用いられたとされています。

 古代では占いは神聖視されており、占いをする者は神官でした。しかし、時代が経て唯一神の宗教が台頭するにつれ、「神が定めた未来を人間が予測できるはずがない」と占いの立場は神に反する行為、魔術的であるとみなされがちになってきたのです。医学や政界では占星術を使用することもありましたが、人間の運勢を視る占い師はインド周辺からの移動民族ジプシーや、いかさま師、魔女や魔術師などと怪しげな存在と思われるようになりました。16、7世紀の絵画には、怪しげな占い師に手相やカードで運勢を視てカモられる、貴族の姿が描かれています。それ以降になると、民衆にも定着してきたからなのか、怪しさが緩和された占い師も登場するようになります。
 では、占い師についての絵画14点をご覧ください。

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「ルカス・ファン・レイデン作   1508-10年」
美しい女性がカードを用いて青年の運勢を占っているようです。
題名は「Fortune-Teller with a Fool (愚者と共にいる占い師)」。
どうやら青年はカモられているようですね^^; 
Lucas van Leyden Fortune-Teller with a Fool 1508-10

「Jan Cossiers 作  1635-55年」
若き貴族の手相を見ている、ジプシーと思われる東洋風の占い師。
周囲には占い師の取り巻きと思われる人々がおり、青年の後ろの
人が財布を盗もうとしています。画家は占い師に対して、
良い印象を持っていなかったようですね。
Jan Cossiers - The Fortune Teller 1635-55

「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール作  1630年」
「僕の手相を見れるものなら見てみるがいい」と言わんばかりの
態度をする偉ぶった青年。老婆は「じゃあ見てやろう」という
感じですが・・・。周囲の女性が寄ってたかって貴族の持ち物を
盗む気満々。カモられるにもほどがあるw
Georges de La Tour 1630

バルトロメオ・マンフレディ作   1616-7年」
またもや東洋風の占い師に手相を見てもらう貴族男性。
彼も何やらカモられているようですが、占い師の背後にも
貴族の男性がおり、彼の手は占い師の背中に伸びています。
盗み盗まれ、騙し騙され、カモりカモられ。
Bartolomeo Manfredi - Fortune Teller  1616-17

シモン・ヴーエ作  1620年」
今度は貴族女性の手相を見る東洋風占い師。
盗みあっこをしている後ろの二人は、仲良くなっちゃってますねw
「黙っといてくれよ、な?」「俺のこれも言うなよ」と暗黙の誓いを。
Simon Vouet - The Fortune Teller 1620

「Valentin de Boulogne 作  1626–28年」
イケメン貴族男性の手相を見る、異国風の占い師。
その周囲の状況は以下略です(笑)
「占い師はインチキで盗人だ。侮らずやり返せ」的な感じですね。
16、7世紀の画家の占い師に対する認識が共通しております・・・。
Valentin de Boulogne 1626–28

「Gaspare Traversi 作  1722–70年」
18世紀に入ると、占い師の見方は少し変わります。
老婆に手相を楽しそうに見てもらう、黄色いドレスを着た女性。
背後では占い師の夫(?)の老人もにこやかに見ています。
・・・と、書いて老婆の手元に気付きました。ん、なんか持ってる?
A fortune teller by Gaspare Traversi 1722–70

「Jean-Baptiste Le Prince 作  1734-81年」
民族衣装を着た老人に手相を見せる女性。
羽飾りを付けた男性が見守り、周囲には様々な道具が置かれて
います。占いの状況を実際に見て描いたというよりも、
占いの現場を作って描いたという気がするのは私だけなのかしら・・・?
JEAN-BAPTISTE LEPRENS

「François-Joseph Navez 作  1787-1869年」
占いは国外からやって来た文化で、ジプシーが用いたからなのか、
占い=東洋という印象があるようで、東洋趣味(オリエンタリズム)の
雰囲気で描かれていますね。トランプを手に持つ老婆は
女性の手相を見て、なにやらアドバイスしている様子。
François-Joseph Navez

エドワード・ヴィラーズ・リッピンギル作  1790-1859年」
ザ・貴族!というキラフワ服装をした女性が、みすぼらしく思える
老婆に手相を見せています。この絵画には東洋的な雰囲気は
ありませんね。老婆は伝統的な土着信仰を守る、良い魔女的な
存在なのでしょうか。

Edward Villiers Rippingille

ニコラオス・ギジス作  1842-1901年」
オリエンタリズム的な空気漂う楽し気な占いの作品。
勝手な想像なのですがイスラエル系ですかね?
女性の手相の結果を、誰しもが楽しそうに見守っています。
現地の様子か、もしくは旅行に来た女性なのでしょうか。
The Fortune Teller by Nikolaos Gyzis

「Adele Kindt 作  1804-84年」
猫を抱き、カードを並べる老婆の占い師。
若い女性はお忍びで来た貴族の女性か、もしくはお弟子さん
なのかしら?少し怪しげな雰囲気を出しつつも、画家は占い師を
魅力的に思っているようですね。
The Fortune Teller by Adele Kindt

アルベール・アンカー作  1831-1910年」
トランプ占いで真剣に女性を占っている老婆。
女性も老婆の話を聞き入っており、重い悩みがあるようです。
占い師はイカサマという16世紀の認識から、180度変わっていますね。
女性にとって占いは信用に値する存在なのでしょう。

Fortune Teller by Albert Anker

アルフォンス・スプリング作   1843-1908年」
カードを相手に示すマジシャン風の男性占い師。
占われた男性は運勢が悪かったのか、鑑賞者に向かって
「わしはもう駄目だ」と言っているかのよう。周囲はそれを必死に
励ましているとか?男性ばかりの占いの現場も珍しいですね。
the fortune teller alfons spring 1843-1908

 占いの歴史は古代エジプトから考え、約5000年になります。人々は「この先の未来は」「私の運勢は」「戦争の結果は」「愛する人との関係は」と様々な動機と方法で、運命を占い続けてきました。文明が発達して便利な世の中になった現代でも、それは連綿と受け継がれています。

 現代においても、「エセイカサマ占い師」と「真面目な占い師」は分かれます。ある書き込みで「有料占いアプリを適当に作れば儲かる」と書かれており、お金目的の為にテンプレート的な占いを作る人が多くいることを知りました。電話占いやネットの依頼占い師にも、詐欺師が多くいるようです。(嘘八百でもそれっぽく言って騙せばお金を出させられる、という詐欺師にとっての恰好の隠れ場なのかもしれませんね)

 その中で、詐欺ではなく占いを真面目に勉強し、占う相手と真摯に向き合ってくれる占い師はいると思います。神秘的な能力については何とも言えないものの、「何か他とは違う」という雰囲気を持つ占い師はいるでしょう。 「占いは本当に当たるのか?」という命題は一生解けない問題かもしれませんが、少なくともお金目的のエセイカサマ師ではなく、占い師としての誇りを抱いている方に占ってもらいたいですね。
 何を言っているのかが段々と分からなくなりましたw とにかく騙されないように、占いを楽しもうと言うまとめとします^^;

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