Paris 1900 15th manuscript Jonah and the Whale -

 島国である私達にとってはクジラやイルカは比較的身近な存在であり、昔から共生して暮らしてきました。クジラの肉を食べたことがある人もいるのではないでしょうか。
 西洋においてもクジラやイルカは付近を回遊しており、決して見られない環境ではありません。しかし、中世初期時代の海は北欧のヴァイキングが席巻しており、海に乗り出すのは危険が伴う為に西洋の人々は好んでいきませんでした。彼等が次々と海に繰り出していったのは15世紀半ばの大航海時代以降のことであり、それ以前は海は未知の怪物が潜んでいる恐ろしい場所だと思われていたのです。
 クジラやイルカの存在を旅人や宣教師の話で聞いた事はあれど、見たことがない人が大部分を占めたと思います。見たことがない人がクジラのような巨大な海の生物を描いたらどうなるか。「これがクジラなの?」と思うようなとんでもない姿になってしまいますよね。
 では、シュールなクジラ&イルカと思われるの写本挿絵13点をご覧ください。

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「中世彩飾写本の挿絵より  1460年頃」
クロンファートのブレンダンは楽園を探す為に長期の航海へと
でかけました。そこで出くわしたるは島魚ジャスコニアス。
この巨大魚は自らの尾をくわえ、ぐるりと取り囲んでいます。
きっとクジラが伝説化し、このような怪物魚が生まれたのですね。
St. Brendan atop Jasconius 1460

「大英図書館に収蔵されている写本より」
大魚(クジラ?)の上に船を停め、火を焚いている人々の図。
こちらは「千夜一夜物語」や「動物誌」に登場する、伝説の怪魚
アスピドケロンだと思います。巨大な島のような姿で船乗り達が
上陸して火をおこすと、怪魚は海の底へ潜っていってしまったそうです
British Library

「フランスの動物寓意譚より  13世紀頃」
こちらもアスピドケロンと思われる怪魚を描いた作品。
人と怪魚と船の比率が色々とおかしいですが、おそらく火を
焚こうとしているシーンなのかな・・・?
13th century French bestiary


「大英図書館に収蔵されている写本より」
クジラかもしれない怪魚に乗って波乗りざっぱーん!
人々の表情を見ると何やら楽しそうですが、この後転覆する
ような気が物凄くします。
medieval illuminated manuscript, British Library

「中世彩飾写本の挿絵より」
大量の魚をはむはむしている怪魚。鱗や牙、髭はドラゴンを
思わせますね。アスピドケロンの作品よりも哺乳類寄りで、
まだクジラを思わせる容貌・・・なのか!?
medieval illuminated manuscript

「中世彩飾写本の挿絵より」
クジラかどうか分かりませんでしたが、この表情がシュールで
可愛くて思わず掲載してしまいました。←ぇ
この表情を見ているとじわじわ来ます・・・。
medieval illuminated manuscript 2

「パリの中世彩飾写本より  15世紀のものを20世紀に複製」
旧約聖書のヨナ書より。預言者であるにも関わらず、
神の言葉に従わなかったヨナは船人たちに海へと放り投げられ、
大魚(クジラとも)に呑み込まれてしまいます。龍?犬?魚?
Paris 1900 15th manuscript Jonah and the Whale

「中世彩飾写本の挿絵より」
怪魚に呑み込まれたヨナは三日三晩お腹の中に入り続け、
改心してやっと吐き出されたのでした。
マグロ風の大魚がヨナをおえっと出していますね。
Jonah and the whale

「ラシードゥッディーン著の「集史」の挿絵より  1400年頃」
こちらは珍しいアラブの人が描いたヨナ。
シーラカンスみたいな姿の大魚がヨナをぽんっと吐き出しています。
(既にクジラじゃないですね^^;)
それにしても魚が小さすぎるような気がする・・・。
Jonah and the Whale Folio from a Jami al-Tavarikh 1400

「大英図書館に収蔵されている写本より 1490年頃」
天の川の近くにある星座、いるか座を描いた作品。
い、イルカ?と思うようなお顔をしていますね。人間のような歯が
あるし・・・。ヒレも多いし・・・。
Constellation of Delphin British Library  1490

「大英図書館に収蔵されている写本より」
こちらもイルカと紹介されていた作品。
形こそイルカに近い感じですが、顔!この無表情な顔!
こんな顔のイルカが泳いでいたら、全然可愛くない・・・。
Delphinus Poster british library

「アイスランドの写本挿絵より  17世紀頃」
おおっ!若干背びれや表情が気になりますが、ぱっと見で
クジラと分かる作品ですね!額からは潮もちゃんと吹いています。
北欧アイスランドは日本と同じく火山島で、海に面しているので
クジラを見る機会も多かったのでしょう。
Icelandic 17thcentury manuscript

「アイスランドの写本の挿絵より   1574-1658年」
こちらも線はシンプルだけど凄くクジラっぽいですね!
海の男ヴァイキングの末裔の実力はさすがです。
Icelandic 17th-century manuscript  1574-1658

 深海に暮らす巨大な生き物代表と言えば、マッコウクジラとダイオウイカですよね。
 近世の挿絵でクジラと巨大イカが戦う姿が描かれているものを見て、双方はライバル的な存在なんだなぁと思っている人がいるかもしれません。(かつての私がそうでした) しかし、最近の研究でマッコウクジラの大好物がダイオウイカであることが分かり、あの戦闘シーンは「食べるぞ~♪」と襲いかかるマッコウクジラと、「やめて~!」と必死に抵抗するダイオウイカの姿だったのです。勿論ダイオウイカもただ食べられる訳ではなく、マッコウクジラの肌に幾つも吸盤の跡をつけているそうなので、その戦闘は激しいものであったと推測できます。
 そうであっても、食物連鎖な世界にちょっぴりと残念に思った管理人でした。(絵画関係ないですねw)

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→ 中世写本のシュールな象についての絵画を見たい方はこちら


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