Edvard Munch 1899 -

 ギリシャ神話に登場するハルピュイアはハーピーとも呼ばれ、アルゴナウタイの航海やアイネイアスの冒険のシーンに現れています。上半身が女性で下半身が鳥の姿とされ、翼で上空を飛んでいます。
 地母神ガイアと海神ポントスの子タウマスと、オケアノスの娘エレクトラの間に生まれたとされています。人間に未来を教えた為に、神の怒りを買って盲目にされたピーネウスという王がいるのですが、更に苦しめようと神々はハルピュイアを遣わしました。王が食事を食べようとする度に、上空からハルピュイアの大軍がやってきて、食べ物をさらっていきました。残った食物も臭気が凄くて食べられたものではなかったとか・・・。地味に酷い嫌がらせです。

 その後、ハルピュイアはアルゴナウタイの遠征隊によって追い払われ、違う島に移住しました。そこに上陸したのは英雄アイネイアスと仲間達。彼等が食事をしようと準備すると、同様にハルピュイアがやってきてご飯をかっさらいました。彼等が剣で切りつけようとしても、素早いし固いしで無駄に終わります。ハルピュイアは「旅の終わりに恐ろしい飢えが起こる」と予言して飛び去ってしまいまいした。アイネイアス達は予言通り飢餓に襲われましたが、終着点へ着いて事なきを得たそうです。
 では、怪鳥ハルピュイアについての絵画13点をご覧ください。

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「スペインのリリアの考古学博物館所蔵  床板の装飾 13世紀」
中世時代のハルピュイアと思われる図。なんか、人面ダチョウ
といった感じですね^^;
Archaelogical Museum of Lliria 13th 床板

「中世彩飾写本の挿絵より  1350年」
こちらも中世のハルピュイアの挿絵。人面鷲のような感じですね。
お、おじさんに見えるんですけれど・・・。
Medieval art of a harpy 1350

Melchior Lorck 作  1582年」
こちらはだいぶ立派なハルピュイアさんです。元はクレタ島に
伝わる竜巻やつむじ風を司る女神だったとされ、虹の女神イリスの
姉妹ともされています。確かに見た目的には天空の女神と
言った感じですね。
Melchior Lorck,c. 1582

「ウリッセ・アルドロヴァンディ著の「怪物史」の挿絵より 1642年」
な、なんか翼を閉じて生真面目な顔をされると、シュールさが
醸し出されますね。鳩人間っぽい・・・。
Ulisse Aldrovandi's Monstrorum Historia, Bologna, 1642

ヴィンチェンツォ・カルタリ作  1531-69年」
ハルピュイアの「うししっ」って表情にウケました(笑)
男性を襲って食べようとしている蛇女性はラミアでしょうか?
同じ女人の怪物として積もる話でもあるのかな。女子会?←ぇ
Harpies

ミテッリ,G.M が彫りアンニーバレ・カラッチが刷った版画  1663年」
アエネアスとハルピュイアの戦いの図。島に降り立った彼等が
そこにいた家畜を料理し、食べようとしたところハルピュイアが
奪ってきたのです。ハルピュイアは素早くて硬くて、攻撃を加える
事が全然できなかったとされています。
Giuseppe Maria Mitelli Annibale Carracci 1663

フランソワ・ペリエ作  1646-47年」
こちらもアエネアス達とハルピュイアの争い。アエネアスは女性や
子供に「大丈夫だ」と英雄的な態度を示しており、戦士達が
果敢にも立ち向かっていますね。
François Perrier, Aeneas Companions Fighting  Harpies 1646-47

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1636年」
二人の天使がハルピュイアを追い立てている作品・・・かと思ったら、
彼等は北風の神の息子カライスとゼーテースであると、読者様から
教えていただきました!感謝です。二人はピーネウスと義兄弟の
仲で、ハルピュイアを追い立てたそうです。
Peter Paul Rubens - The Persecution of the Harpies, 1636

Erasmus Quellinus(子)作 1678年」
ルーベンスの作品をお手本にしてエラスムスさんが描いた作品。
二作品を見比べてみると、忠実に描いたことが分かりますね。
ハルピュイアの足が七面鳥の丸焼きに見えてしまうのは私だけ・・・?
Quellinus, Erasmus 1678 rubens

「Paolo Fiammingo 作  1540-96年」
こちらもハルピュイアが島を追い出される場面を描いた作品。
北風の神の息子二人はアルゴナウタイの遠征中に活躍した
そうです。それにしてもこの作品はハルピュイアを追い立てて
いる翼の人が5名ぐらいいるような気がする・・・^^;
Landscape With The Expulsion Of The Harpies by Paolo Fiammingo

「ギュスターヴ・ドレ作  1861年」
ダンテの「神曲」にもハルピュイアは登場します。地獄の「自殺者の森」
において、自ら命を絶った者が樹木に変化させられ、ハルピュイアに
よってついばまれるとされています。モノクロも相まって怖く見えます・・・。
Harpies in the infernal wood  Inferno by Gustave Doré 1861

「エドヴァルド・ムンク作  1899年」
「叫び」で有名なムンクもハルピュイアを描いています。死の間際と
思われる男性の元に現れています。死の象徴であるカラスに
変身できるケルトの戦女神モーリガンのような雰囲気がありますね。
ハルピュイアは予言もできるようで、死の予言をしたのでしょうか。
Edvard Munch 1899

Johan Pasch 作  1747年」
ハルピュイアとは直接的な関係はありませんが、気になりまくった
ので掲載しました。そのタイトルは「鶏の絵」。いやいやいや、
絶対に鶏じゃないでしょうww 宮廷のご婦人方と画家がふざけて
仕上げた作品なのかしら。シュールで面白い作品です^^
Représentation des Harpies suédois Johan Pasch, 1747

 上記の「鶏の絵」について色々調べてみたら、ヨハンさんはスウェーデンの宮廷画家で、モデルの一人はホルシュタイン・ゴットルプ朝の初代国王アドルフ・フレドリクの王妃である、ロヴィーサ・ウルリカ・アヴ・プレウセンさんらしいです。王妃様をこんな鶏にしちゃったんですね・・・。


「Ulrika Pasch 作  1735-96年」
本物のロヴィーサ王妃はこのようなお姿。きっと真正面で決め
ポーズを決めている彼女ですね。ちなみに、この肖像画を
描いた女流画家は、鶏の絵を描いたヨハンさんの姪っ子です。
Ulrika Pasch 1735-96

 こんな綺麗な王妃を鶏にしちゃって、国王は怒らなかったのかしら。むしろ楽しんで見ていたのかも。御心が広いお方ですね^^ ハルピュイアに全く関係ない話になっちゃいましたが、
私もそんな面白い肖像画を描いてもらいたいなぁ・・・。←ぇ

→ アルドロヴァンディの「怪物史」の怪物についての絵画を見たい方はこちら


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