Belshazzar's Feast Rembrandt 1635-38 -

 ベルシャザルはカルデア人の新バビロニア王国の王です。
 旧約聖書の「ダニエル書」によると、ある日、ベルシャザルはが1000名もの貴族や後宮の者達と宴を開き、ワインを飲んでいました。突然、人間の手の指が表れ、壁に字を書くという超常現象が起こります。ベルシャザルは戦慄し、その字が読める者を探しましたが、誰も現れません。母親が「父ネブカドネザルの治世中にダニエルという神官長がおりました。彼ならいけるかもしれません」と進言した為、ベルシャザルはダニエルを呼び、文字の意味を聞いてみました。

 すると、ダニエルは「神はネブカドネザルに栄光を与えた。しかし、彼は横暴に振舞い王位を追われ、世界を総べるのは神という事を知った。ベルシャザル王、貴方も神に従おうとしなかった。故に神は手を遣わせ、文字を書いたのです。貴方の王国はメディアとペルシアに分けられるでしょう」と答えました。そしてその日の夜、ベルシャザル王は殺されてしまい、国はその通りになってしまったのでした。
 新バビロニア王国の終末をもたらした神の御告げの場である、ベルシャザルの饗宴の絵画13点をご覧下さい。

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「ベルギーのブルッヘにある彩飾写本の挿絵より」
景色が丸見えの西洋風の宴会場の中、ベルシャザルの前に
突如表れる不審な手!その手はさらさらと何かを書き出し、
「メネ・メネ・テケル・ウ・パルシン」と文字が表れました。
Netherlands, S. Bruges

「フランスのロレーヌ地方の工房作  17世紀」
一点透視法を使い、かなり奥まで饗宴が続いている事を
表現しています。王はおそらく左から四番目の横を向いている人で、
文字は中央寄りの右上にあります。かなり見にくくてすみません^^;
Lorrainian School 17th BELSHAZZAR'S FEAST

ハンス・フレーデマン・デ・フリースの工房作  1527-1607年」
中央をよーく見ると、灰色の雲からにょきっと手が出ているのが
分かりますね。こちらも遠近感を用い、饗宴の長さを表そう
という意思が感じられます。
Circle Hans Vredeman de Vries

「Pieter de Grebber 作  1625年」
人体や構成、色彩の用い方などルーベンスを想起させる作品
ですね。右上に手が表れ、指でさらさら文字を書きます。
ベルシャザルの両手がグーになっており、乙女チックですね^^;
Pieter de Grebber, Belshazzar’s feast, 1625

Pietro Dandini 作  18世紀」
こちらの神のメッセージはそれとなく分かりますね。
人々はどよめき、混乱の極みになっています。
Dandini Pietro 18th

「オランダの工房作 17世紀」
蝋燭の明かりを頼りに催されている宴会の最中、空中に白く
浮かぶ神からのメッセージ。上記の作品とは異なり、静かに
怯えている感じのベルシャザル。
Dutch School, 17th Century

「レンブラント・ファン・レイン作  1635-38年」
レンブラントの描く饗宴には、これでもかとばかりに近く神の文字が
出現しています。近視の人でもこれなら見やすいです!←ぇ
Belshazzar's Feast Rembrandt 1635-38 

「ヒエロニムス・フランケン三世作  1611-71年」
おそらくベルシャザルは右側の赤い服の人で、そして神の手は・・・。
・・・なさそうですね^^; あの手は何だったんだろうと考え、
ダニエルを推薦しようとしている最中なのでしょうか。
Francken, Hieronymus III

バルトロメウス・ストロベル(子)の工房作  17世紀」
ベルシャザルは宙を仰いで恐れている。中央の夫人も何かを
見ているようです、だが、神の手はどこだー!?

circle of Bartholomeus Strobel the younger

Andrea Celesti 作  1637-1712年」
ベルシャザルはこの文字を読み解く為、神官長ダニエルを呼び
ます。中央で指を指しているのがダニエルなのかな?
Feast of Belshazzar  Celesti Andrea

ワシントン・オールストン作  1817年」
「神の御手はメネ・メネ・テケル・ウ・パルシンと書かれた。
つまり貴方の王国がメディアとペルシアに分かれるのです!」
とダニエルは断言します。こちらの作品ではベルシャザルが
若き王子とされていますね。
Washington Allston 1817

ジョン・マーティン作  1821年」
こちらはお城の中庭で行われている饗宴。逃げ惑う人々の中、
ダニエルが中央で神の御告げを宣言しています。

John Martin, Belshazzar's Feast, c. 1821

アントーニオ・モリナーリ作  1655-1704年」
ダニエルの迫力ある読み解きに押され、おののく人々。
その日の夜、預言通りベルシャザルは殺されてしまったのでした・・・。

Antonio Malinari

 ベルシャザルの饗宴の絵画を見たのは、レンブラントがはじめてでした。なので、彼の作品のように謎の手の文字がバーン!と出てくる絵画が沢山あるのだろうなと想像していたら、「どこに書いてあるの!?」と探さなければならないような、さり気ないものが多かったです。重要な神の御告げなのに、ちっちゃく描いちゃっていいのかな・・・と私は思ってしまいました^^;
 当時の西洋では絵画のテーマを読み解くのが貴族のたしなみの一つでした。だからこそ「これはベルシャザルの饗宴だ!」とぱっと見で分かるのではなく、「これは何の絵画だろう。うーん、よく見ると神の手と文字があるな。これはベルシャザルの饗宴じゃないか?」と思わせるような作品にしたのかな~と勝手に考えてしまいました。オランダのバロックから黄金時代の作品が目立つように感じたので、この時代ではそういった遠回しな表現が好まれたのかな?他のテーマでもそうですが、同じ主題なのに構図や強調する場面、人物が変わって来るのは興味深いなぁと思います。



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