Joseph Wright of Derby - Eruzione del 1771 da Portici 1774-6 -

 太古より、地球は地殻変動を繰り返して姿形を変化させてきました。大規模な火山噴火により大陸は海中より姿を現し、森林、草原、寒冷、砂漠など様々な地帯を生み出してきました。
 地球に人類が出現してからも、火山や砂漠などの自然災害は猛威を振るい、時として人類の存在を脅かしてきました。熱気と砂塵が支配する砂漠地帯は人々を暑さや飢えで朽ちさせ、火山噴火は溶岩や煙などで多くの命を奪いました。イタリアのヴェスヴィオ火山は79年に大噴火してポンペイの町を呑み込み、同国にあるエトナ山も17世紀に多大な犠牲者を出しています。日本やインドネシア、フィリピンなどの全国の火山も同様に大噴火が起こり、犠牲者が生まれています。
 そんな砂漠や火山などの自然に西洋の画家たちは魅了され、幾つかの作品が残されています。突如起こり迫りくる自然の脅威と、その中でたくましく生き文明を築いていく人々。
 では、砂漠と火山噴火にまつわる絵画13点をご覧ください。

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ジェイコブ・ジェイコブス作  1812-79年」
夕暮れ時のギザのスフィンクスに近付いてくる砂嵐。
古代文明が残る砂漠で砂嵐が起き、人々は懸命に逃げ延びようと
しています。日没のように恐ろしい災害が起きようとも、
文明は滅びないというメッセージが込められているのでしょうか。
Jacob Jacobs Sandstorm approaching the sphinx at Gîza at sunset

カール・ハーグ作  1820-1915年」
砂漠での遭難。ラクダは倒れ、水袋は空になり、背景は海水。
たった一人残され、まさに四面楚歌の状態です。サハラ砂漠の
真夏は40℃以上になります。常に死とは隣り合わせなのです。

Shipwreck In The Desert  Carl Haag

ジャン=レオン・ジェローム作  1824-1904年」
砂漠のキャラバン(隊商)。荷物を積んだ駱駝の列は延々と続いて
おり、広大な砂漠を一歩一歩進んでいます。ただ、日が落ちかけた
奥に、砂嵐の予感が・・・。

Jean-Léon Gérôme CARAVANE DANS LE DESERT

「Frank Catano 作  1880-1920年」
砂漠の中のラクダの疾走。恐ろしい砂嵐が発生してしまいました。
砂嵐に呑み込まれると一寸先も見えず、命の危険が伴います。
Frank Catano 19th  Racing Camels in the Desert

ヴィルヘルム・コタルビンスキ作  1848-1921年」
ラクダに乗る騎兵隊。激しい砂嵐の中、足元には一羽のカラスと
散らばった骨。彼等は遭難者を助けに来た救世主か、はたまた
商隊を襲う賊であるのか・・・。
Camel cavalry Wilhelm Kotarbiski

ジャン=レオン・ジェローム作  1824-1904年」
ここからは山にまつわる作品。
シナイ山の頂に神が出現するのを、
イスラエルの民が目撃する場面です。古来より山は神の住まう場と
して神聖視されてきました。神の登場は噴火を想起させますね。
Jean-Léon Gérôme The Mountain of God

「Pierre Jacques Volaire 作  1771年」
ヴェスヴィオ火山の噴火を描いた作品。膨大な溶岩が流れている
中、左下には何名かの見物人がいるようです。危なすぎる!
Pierre Jacques Volaire A Vezúv kitörése 1771

「Pierre Jacques Volaire 作  1777年」
同画家が6年後に描いた作品。こちらもヴェスヴィオ火山です。
噴火山は遠景となり、近景には船や人々の暮らしが描き込まれて
いますね。山の麓にも町があり、呑み込まれているのが分かります。
Pierre-Jacques Volaire The Eruption of Mt. Vesuvius 1777

ジョセフ・ライト作  1774-6年」
イタリアのポルティチから見た、1771年のヴェスヴィオ火山の噴火。
暗闇の中から噴きあがる火柱。真っ赤な炎と黒煙が、禍々しくも
神秘的な雰囲気を醸し出しています。
Joseph Wright of Derby - Eruzione del 1771 da Portici 1774-6

ルイス・ジーン・デプレ作  1743-1804年」
これまたヴェスヴィオ山の噴火。町並みの目と鼻の先で、
恐ろしい程の噴火を起こしています。雲の合間に雷が起こり、
実際に目の当たりにして描いたのが感じられます。

The Great Eruption of Mt. Vesuvius - Louis Jean Desprez

「ウィリアム・ターナー作  1817-21年」
イギリスの風景画の巨匠ターナーもヴェスヴィオ山の噴火を
激しいタッチで描いています。彼は1819年の44歳の時に
イタリア旅行へ行ったそうで、もしかしたらその時に噴火を目撃
したのかなぁと思われます。
Joseph Mallord William Turner  A Vezúv kitörése 1817-21

ヨハン・クリスチャン・ダール作  A Vezúv kitörése 1821年」
ノルウェーの画家ですが、ヴェスヴィオ火山を描いています。
彼も1821年にイタリアへ渡ったそうで、その時に山の状況を
見たのでしょう。大噴火とは言わないまでも、まだ熱そうな溶岩が
くすぶっています。すぐ近くには人が・・・。大丈夫なのかしら?
Johan Christian Dahl A Vezúv kitörése 1821

ジョン・マーティン作  1821年」
ポンペイとヘラクレニウムの破壊という題の作品。ヴェスヴィオ山の
噴火を扱っていますがローマ時代にさかのぼっていますね。
描いた時代はダ―ルさんと同じ1821年なので、実際の噴火を見て、
ポンペイ崩壊の題材を描いたのだと思います。

John Martin Pompeji és Herculaneum pusztulása 1821

 日本の情報を見ていたら、紀元後のヴェスヴィオ火山の噴火は「79年のポンペイ崩壊と、432年、1631年、1822年、1944年」の5回しか載っていませんでした。紹介した画家の多くは18~19世紀の画家で、この年代を照らし合わせてみると、ほぼ被っていないことが分かりました。
 「あれ、18世紀に一回も噴火していないの?この時代に噴火ってなかったのかな?画家は実際に見た訳ではなく、伝聞や文献、写真を見て想像したのかな?」と思ってしまいましたが、海外版のwikiで調べてみるとそうではありませんでした。犠牲が生まれていない噴火を含めると、1700~1800年の100年間の間に「18回」も噴火が起こっているそうです。5~6年に一回は噴火が起こっている計算ですね。ヴェスヴィオ火山ってそんなに噴火しているのですね。想像以上でした・・・。それだと、画家がこんなにも迫真に迫る噴火の絵画が描けたのも頷けますね。
 


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